
横澤琴葉
ファッションデザイナー
中垣が大学時代にインターンでお世話になったブランド「kotohayokozawa」のデザイナー。
かつては手を動かして物を作ることが大好きだったのに、頭でっかちになり過ぎたせいで何も作れなくなってしまった中垣や松田にとって、多くを学ぶべき相手なのである。
中垣:いろいろ聞きたいねんけど…
コトハ:それがないんだよねー。
松田:まあなさそうな喋り方してますよね笑
コトハ:それどういう意味?笑
中垣:今のは彼的には褒め言葉です。
コトハ:あ、ほんと? 嬉しー。でも実際
第14回 女性が選ぶ“なりたい顔”ランキング – ORICON NEWS
松田:“““ファッションデザイナー”””になりたいみたいな、そういうやつは…まあなさそうですよね笑
コトハ:あー、でも
これ、確か川久保玲の座右の書

アゴタ・クリストフ(2001)『悪童日記』ハヤカワepi文庫
WEB特集 コロナ 川久保玲が語ったこと – NHKニュース
中垣:笑
松田:それもたぶん違うやつなんですよね笑
コトハ:まあそうだよね。川久保玲になりたいって言ってる人って、見た目からあれになっちゃうもんね。
中垣:笑
コトハ:だから川久保玲とかTOGAの古田さんとか、あとはちょうど展覧会やってる石岡瑛子とか、そういうすごいと思える人はいて…

TOGAのボーダーレスな創作 デザイナー古田泰子が、二択を超えたハイブリッド美学を語る – SSENSE

松田:うんうん。
コトハ:だってもう違うじゃん、顔から別人だし。
松田:笑
コトハ:
松田:うんうん。シンプルに無理ですよね。
今日のライフハック
自分を他人に照らさない
コトハ:そう。で、私は芸人さんがすごく好きなんだけど彼らの何が尊いかって、自分の生まれ持った見た目とか声の高さとかでやってるわけじゃん? そこと向き合っている人達だからこそ出てくるおもしろさみたいなものはあると思うのね。
中垣:確かに、確かにな。
コトハ:私はそういう人が好き。
人は何か「になる」前に、既に何か「である」のです
中垣:その話で言うと、例えば芸人は「“““芸人”””になりたい」っていうのが最初にあって、それに対して微調整を繰り返して適応をしていくとも言えると思うんですけど、コトハさんの場合、そういう「“““ファッションデザイナー”””になりたい」みたいなのがあってそれに対する適応として今があるのか、あるいは Just Do It の積み重ねというか…
コトハ:必然的…まあそうだね。
松田:はいはい。
コトハ:そこで「もっとこうするべき」っていうのが出てきても、それに到達できるかは分からないから…結局はやっていくしかないよね。
松田:うんうん。
コトハ:だって、最初から自分のことが分かってて「私の持ち味はここなのでこうします」とか言われてもって感じじゃん。
中垣:「自分はこうだから」とか「お客さんはこうだから」が先にあるというよりは、まずはトライ…というか
コトハ:うーん、まあ基本はそうだね。
中垣:なんか、それこそkotohayokozawaでインターンしてたとき、その感じが全然分かんなかったんですよ。
コトハ:あー…
中垣:「とりあえず作ってみよう」みたいなのがどうしても分かんなくて。
コトハ:うんうん。
中垣:最近になってやっと、考える前にやってみることを意識してはいるんですけど、そこの苦しみは今でもやっぱりあって。
松田:分かるわぁ。
中垣:コトハさんの場合、
コトハ:これは能力の問題なんだけど、でも私の場合はあんまりできないね。
中垣:できないんですか?
コトハ:なんかね…諦めじゃないけど、
中垣:いや、それがすごいよなぁ。
コトハ:「これ思ってたのと違うじゃん…」ってなっても全然いいんだよね。仕方がないというか、
松田:はいはい。
コトハ:想定したようにやって想定した通りの結果になったらそれだけの経験しか得られないけど、想定した通りにいかなくて初めて、どこでどうなったとか、それで自分がどう思ったとか、どうしたらよかったのかとかが考えられて…
松田:いやー、うんうん。そういうスタンスの方が、結果としてはより生々しいリアリティが作ったものに反映されますよね。
コトハ:そう。その生々しさを追求すると、
中垣:そうですよね。
コトハ:もちろん偶然は受け入れつつ、
松田:うんうん。
コトハ:そういう感覚も大事にしつつ、基本的な知識とかはちゃんと持っていて、地に足着いてるって感じじゃないとね。
松田:破天荒なだけの人って、
コトハ:うんうん。
松田:だから理想は、偶然とかによって最終的な結果が当初の想定からずれたとき、どうしたら想定通りになったんだろうっていう反省はきちんとしながら、とは言え結果は結果として受け入れることができればいいですよね。
コトハ:そう、そうそう。
松田:で、それができないのが僕らなんです。
納得できないから同じ物何回も作って素材を山ほど消費します
コトハ:うんうん。
松田:それがなんでかって…最初にゴールを描いてそのための手順をきっちり組むんですけど、そもそも想定さえできていない何かもあれば偶然起こるトラブルもあって、当初の想定通りにゴールすることはまずないわけですよ。
コトハ:うんうん。
松田:このとき、
中垣:
松田:そう、その結果何も作れなくなりました。
中垣:元々は手を動かして何かを作るのはすごく好きだったはずなのに…
松田:勉強し過ぎたせいでバグった笑
中垣:そこを今になって必死で取り戻そうとしてるんです。
コトハ:まあそれを取り戻すのが最適なことかは分からないけどね。私はそもそも
中垣:まあまあ。
コトハ:ただ確かに、事前にちゃんと計画を立ててやるタイプの人は、最終的なアウトプットが計画からずれてるのにそれを見せるしかない場合、「ほんとは違うんですぅ…」ってなると思うんだけど、
松田:いや…うん、偉過ぎん?
このサイトのコードがぐちゃぐちゃなのほんと耐え難いんだけど
コトハ:誰だってプライドはあるから、自分の失敗を出すっていうのは辛いとは思うの。それが自分の全てだってその場の人に思われるのは確かに嫌なんだけど、でもやるしかないっていう。
大切なのは、他に対してプライドを持つことでなく、自分自身に対してプライドを持つことなんだ。
他に対して、プライドを見せるということは、他人に基準を置いて自分を考えていることだ。そんなものは本物のプライドじゃない。たとえ、他人にバカにされようが、けなされようが、笑われようが、自分がほんとうに生きている手ごたえを持つことが、プライドなんだ。
相対的なプライドではなくて、絶対感を持つこと、それが、ほんとうのプライドだ。このことを貫けなかったら、人間として純粋に生きてはいけない。
Source: 岡本太郎(2017)『自分の中に毒を持て』青春文庫
松田:いやー、もうほんまそれやねんな。
中垣:
話の抽象度と高尚さをともに下げる最悪のまとめ方である
コトハ:そうそう笑
そうなんだ…
松田:僕ね、大学一年生のときに2~3日だけYUIMA NAKAZATOでお手伝いをさせてもらったことがあるんですけど…

コトハ:うんうん。
松田:そこでも、僕のしてる作業も全体でやってることも、仕上がってみると
コトハ:笑
松田:でも、それはもうそれってことで現場は進行するんですよね。今なら分かるんだけど、当時はあれが受け入れ難過ぎて。
中垣:おれもkotohayokozawaで思ったよ。DMをデザインしたとき、
コトハ:笑
中垣:でも「そういうとこだぞ中垣」って、今なら思えますけどね。
コトハ:そういう人が世の中にいるって知られたのは、お互いによかったよね。「え、細か…」とか思ってたもん。
中垣:笑
コトハ:「私がいいって言ってんだからいいじゃん?」って思ってた。
松田:笑
コトハ:そんなのいちいち気にしてたら、生きていくの普通にしんどそうだし、毎回理論武装してるの大変そうだし、
中垣:笑
2021年1月23日
Aux Bacchanales 紀尾井町
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2015年にスタートした、即興的な製作による1点ものを中心に展開するウィメンズブランド「kotohayokozawa」。
2019年にデビューした写真の「somebody」は、「あるもので作る」というルールのもとサンプルやB品を再利用した素材のみを用いたラインで、ブランドのアーカイブやリサイクルアイテムを用いたトップスや、ショーで使用した背景のターポリン素材を用いたトートバッグなどを展開する。