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ファッション 生きづらさ

ジュエリーは実在

3 months

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青山:今の話とは全然関係ないんですけど…ジュエリーは最初どういう感じで入ったのかなというか

来てくれたのほんと超嬉しい

松田:あー…それ自分でもあんま分かってないんですよ。ただ事実の話をすると、一番最初のジュエリーは高校3年生のときに買った JAM HOME MADE のスカルリングでしたね。JAM HOME MADE 分かります?

青山:はいはい。

ジャムホームメイド スカル
Image: JAM HOME MADE

JAM SKULL ITEM – JAM HOME MADE

松田:その当時はそれがどんなブランドかは何も分かってなかったんですけど、たまたまZOZOTOWNで見つけて、なんかええ感じやからということで買ったんですね。だからジュエリーの入りはそこなんですけど…

青山:はいはい。

c 今買うべきジュエリー

松田:もちろん、この説明でもって即ジュエリーだということにはならないと思うんですけど、もう少し広い話として、素材は硬い方が好きなんですよ

青山:うんうん

松田:やわらかい素材は嫌い…つまり、すぐにボロボロになって形が変わっちゃうようなものはあまり好きではない。ただとは言えセラミックとかチタンまでいくと加工性が低過ぎるので、ある程度造形の可能性に幅があって、その形がそれなりに一定に保たれるという点で、シルバーが結構好きなんですよね。一方同じ理由で、18Kはあんまり好きじゃないです。

青山:うん。

松田:18Kは僕の感覚からすると硬過ぎます、ゴールドであれば22Kかそれ以上柔らかくないと嫌かな。ただもちろん、それだけでジュエリーが好きだということの十分な説明にはならないんですけど。

クロムハーツが22K使ってるの、ほんと分かってんなとしか言えん

青山:はいはい。

松田:でも確かに、なんで好きなんかな。まあ分かんないですけど、高校生のときから、『蛇にピアス』みたいなというよりはナショナルジオグラフィックが出してる世界の民族ビジュアル本みたいな、ああいうのに載ってるような身体変工には興味があったんですよ

青山:シンプルなやつですよね。

松田:そうそう。で…自分にとって服とジュエリーとの違いとして、そういうところはある気がしていて。

青山:うんうん。

松田:僕の場合、何かのジュエリーを身に着けているときは一定の期間にわたってほとんど外さないんですよね。寝るときも着けてるし、シャワーを浴びるときも風呂場に入ってやっと外すくらいで。

青山:うんうん。

松田:…なんて言うのかな。あとは僕、爪が伸びたりするのってすごく嫌いなんです。

青山:うん。

松田:だから3日に一回はやすりを使って爪の形を整えてますし。他には髪が伸びてくるのもすごく嫌いで…そうやって日々少しずつ変化しちゃう感じに、ある種の脆弱性というか、「…一意じゃねーじゃん」みたいな気持ちを覚えるんですよね

青山:うん笑

ブラジェク 爪やすり
Image: Amazon.co.jp

これさえあれば爪はいつでも同じ見た目です

ブラジェク ガラス爪やすり 140mm

松田:ジュエリーはそれに対するアンカーって感じがある、うん。普段わちゃわちゃと考えていることとか日々の些事とか、その全てをもって私なんだけれども、それを常に意識していると抱えきれなくなるので…

青山:うんうん。

松田鏡に映っている自分を見て、特定のジュエリーを身に着けていることを確認することで、そこに自分がいることに不安を覚えずにいられるというか。あるいは祠に入っている御神体の石と言ってもいいんですが、まあそんな感じですね。

青山:はいはい。

松田:だからジュエリーを何も身に着けていないと、やっぱりちょっと不安にはなります…てか今喋ってて気付いたけど、今朝シャワー浴びたときに外した指輪、そのまま風呂場に置きっぱなしやん。なんかすげえ嫌やな。

青山:笑

松田:でもまあその程度と言えばその程度です。そうやってしれっと忘れちゃうこともあります。

青山:うん。

松田:あとそれとはまた別の話として、「どういう作り方をすればこんな造形を生み出すことができるんだ」みたいな、そういう人の創造性が発揮されている物としても好きです。まあこれは普通の話ですけど。

青山:うんうん。

エルメスの(そしてその他のあらゆる)ジュエリーを評価し得るのはこの点においてのみであり、それに当てはまらないものはどれだけ古くて珍しくてもただのゴミやからね。

松田:てか服とかがむしろ無理なんですよ。もちろん着る分にはいいんですけど、自分で作るってなったら…生地を裁って端から糸が綻びてくる辺りからもう無理、ほんと受け入れられない。

青山:はいはい。いや、分かります。

🤝

松田:それを制御しながら服という形でアウトプットするのはどうにもちょっとしんどくて、程度においてそれほどではないっていうのが、最初に言った硬い素材の救いですね。

青山:うん、めっちゃ分かります。僕もやっぱりある程度は服が好きだから、どうやって作るんだろうっていう興味も一時期はあったけど、それこそ端が解けてくるとか糸が絡まるとか、そういうのに身体的に耐えられないなって

松田:ボンバージャケットみたいので、キュッとなったリブが袖とかについてる服あるじゃないですか。ああいうやつの縫い付けとか、5万回やっても納得できなそうですもん。やっぱどこまでも観念的なんで、何かを作ろうと思うとCAD的な世界の捉え方から入っちゃうんですよね

青山:うんうん。

コトハ:ただ確かに、事前にちゃんと計画を立ててやるタイプの人は、最終的なアウトプットが計画からずれてるのにそれを見せるしかない場合、「ほんとは違うんですぅ…」ってなると思うんだけど、でも自分の作った物に責任を持てるのは自分だけなんだから…

松田:いや…うん、偉過ぎん?

コトハ:誰だってプライドはあるから、自分の失敗を出すっていうのは辛いとは思うの。それが自分の全てだってその場の人に思われるのは確かに嫌なんだけど、でもやるしかないっていう。

Source: commmon

師と仰ぎたい

c 頭で考えるだけじゃ作れないもの

松田:それこそジュエリーなんて、最初からCADで作ってそのままアウトプットすることだってできるわけじゃないですか。自分の手で作るにしたって、やっぱり硬い分なんとかなるんですよ。でも服はそこが無理過ぎて。

青山:そうですよね。

松田:まあいざ自分で作ってみたら、ジュエリーだって結構際どいというか、糸が絡まるのとほぼ同様のことは硬い素材でだっていくらでも起こりましたけどね。

青山:うんうん。

松田:半年くらい前に金のピアスを作りたくなったんですよ。自分にとって理想のピアスっていうのは完全な丸のフープピアスで、エンドとエンドがピタっとくっついてるようなやつ、もうそれしかあり得ないと。でもそんなの存在しないから自分で作ってたんですね。

青山:うんうん。

松田:まずは金線を買ってきて、それを螺旋状に芯金に巻き付けて形を作って、最後に上下重なっている部分を切断して、エンド同士をずらすようにして合わせるんですよ。そうやってエンド同士を合わせるときに、そのまま耳に着けるんです。だから一度着けちゃうと非破壊的に外すのはまず無理なんですけどね。

青山:うんうん。

松田:ただそうやって作ると、やっぱり芯金に巻きつけるときに螺旋状になっちゃうから、それをずらしてエンド同士を合わせても、どうしても平らなリングにはならない。どうしても少しだけ歪んじゃうんですよ。

青山:うん。

松田:そこの平らさをいかに出すかとか、断面同士を合わせるときに少しでもずれると耳に引っかかる感じが出ちゃうから…みたいなことが、試行を重ねるたびにどんどん気になるようになっちゃって

青山:うんうん。

松田:結局10回くらい作り直した末に、自分には無理という結論に達しましたね。

青山:うん、なんかもう医療製品っぽい世界観ですね。

来世は歯科技工士か義肢装具士になります

松田:そう…しかもこういうのって、とにかくやってみないと分からないっていう状況で一番最初に勢いで作った物であれば、そういう粗さも飲み込めるわけですよ。でも回数を重ねちゃうと頭が先行しちゃって、「理想的にはここはこう仕上がり得る」みたいなことがあらゆる点で言えるようになってしまって、ついに理想は手の届かない遠くまで離れてしまうんですよね

青山:うんうん。

松田:それこそそのピアスも、一番最初に作ったやつは細かいことなんて気にせず、結構気に入って着けてたんです。今から考えると絶望的なクオリティなんですけど、でもそんなことは全く気にならなかったし。

青山:はいはい。

松田:ただなんか…MRIに入らなければいけないイベントが突如発生したせいで、念の為ということで泣く泣く切らされちゃって。あれはほんと不幸でしたね。

青山この世にそれしか存在しないんだったら、作る過程とできた物が一致している感じがあるけど…

松田:あー、そうそう。

松田:それでね、これも手にした瞬間はもう感動したわけ。「ほんまにすごいなぁ」とか思っててんけど…

中垣:はいはい。

松田:でも、既に持っていた同じ人の作品と並べておいた瞬間、one of themになってもうてん。

中垣:あー…

松田:それまでは一つ一つの作品の、それがそれであることのリアリティと向き合えててんけど、3つ以上になると「そのアーティストのジュエリー」がいくつも並んでいるっていう、そういう光景になってしまってんな。

みなと:あー。

中垣:逆にね、NASAの椅子ならそれがいいねんけど…

Source: commmon

c マジカルナンバー“3”と、複数性とラベリングの罠

青山:でも同じものがいくつも作り得るみたいなことになってくると、可能性が無限であるかのように感じられて、その先には本当にイデアルなものがあると思っちゃうっていう

松田:そう、まじでそう。

青山:それはありますよね。

2022年1月2日
Aux Bacchanales 紀尾井町


ジャムホームメイド ナンバーナイン
HeaderImage: JAM HOME MADE

NUMBER(N)INEとJAM HOME MADEのコラボレーションによるスカルリング。発売当初は瞬く間に店頭から姿を消し、木村拓哉が着用していたことでも話題になった、半ば伝説のアイテム。
写真の最もシンプルなモデルだけでなく、ブラックコーティングが施されたものや目に天然石のセットされたモデルが存在する。現在では復刻しており、オーダーすることで購入することができる。

× NUMBER(N)INE SKULL RING – JAM HOME MADE