西川:
松田:あー、西川の死ぬ話ね。
西川:あれに関して、
中垣:あかん、既におもろい笑
西川:
マルクス・ガブリエル(2018)『なぜ世界は存在しないのか』講談社選書メチエ
中垣:あー、なんか聞いたことある。
松田:
グーフィースタンス
西川:そう、新進気鋭の若い哲学者。親が「新しい哲学者が出たよ」って。
倉留:笑
文化資本に恵まれ過ぎ
松田:でもそういう意味ではちょっと興味あった。哲学なんてなかなか更新されへんイメージあるし。
倉留:更新されたんや笑
松田:
西川:そうそう。
松田:読んでどうやった? おもろかった?
西川:まあおもしろかったよ。「自分は既存の哲学をこう解釈した」っていう本で、私は哲学についてよく知らないけど「へー」って感じだった。知ってる人にとってはより面白いんだろうなって。
つまり本書では、一般的な哲学入門を論じたり、認識論の歴史を説くのではなく、できるだけ誰にでもわかるように新しい哲学を示してみせたいのです。ほとんど理解できない哲学の古典に取り組んで悪戦苦闘しなければ本書の議論はわからない、などということはありません。むしろ前提知識なしに読み進められるように書いたつもりです。
Source: マルクス・ガブリエル(2018)『なぜ世界は存在しないのか』講談社選書メチエ
丸腰で読んでも理解できるって言ってるぞ
松田:はいはい。
西川:要するにその…「世界ってなんだ?」ってなったときに、普通は今生きてる部分の全体像をまるっと世界って呼ぶけど、でもそれって日々刻々と変わっていくし、それを認識する人の主観もあるしっていう意味で、
主張を解釈される哲学者の気持ちよ。「いや、一意に説明したじゃん…」って
松田:うんうん。
西川:でも、
松田:なんで生きてるかって、そらママとパパがピー
西川:笑
中垣:西川の読み方は独特過ぎるねんな。
西川:それに対して得られた回答としては、人は自分のしていることを通して周りの世界を作ってるし、自分の意識もそこから生まれているから、
松田:それ前言わんかったっけ?笑
中垣:言った言った。
そういう意味においては
Source: 人生の意味ってなんなん – commmon人生の意味みたいな、主語が誰か分からん一般化された価値なんてない 。ただ全くの真っ白だからこそ、自ら人生の意味を主体的に決定していきましょうねっていうのが、人生の意味みたいな主題について僕の考えることです。
西川:笑 改めて別の方向からもそう言われたからさ、「やっぱりそうなんだな」って思ったってこと。そういう意見の人は多いんだなって。
中垣:他人事…
松田:でもマルクス・ガブリエルは読んでみるわ。最近本屋で平積みになってるの見て、ちょっと興味あったし。
中垣:
松田:そうやんな。
中垣:設計ミスにも程がある。
倉留:笑
西川:あと前にさ、もう一個なんか言ってなかったっけ。
松田:あー、言った気がする。
西川:「苦じゃないだけまし」みたいな説なかったっけ。
松田:それは僕の考え方ではないよ笑
他人と比べて幸せとか不幸とか言ってたらダメなんだよ。自分の人生に関しては誰も代わりになってはくれないんだから、もっと絶対的なものとして、主体的に責任を持って向き合わなきゃならんのです。
倉留:笑
松田:ただまあ一つの見方として「人生は苦である」っていうのはあると思うよ。いずれにしても、
西川:あ、カレーとラーメンの話…
生きる死ぬって釣り合いの取れた二択じゃないやん。昼飯にカレー出てきてそれ食ってんのにさ、「これはもしかするとラーメンの方が…」って言ってるみたいなとこあるやん。
Source: 生きるの大変だし、いっそ自殺しちゃう? – commmon
松田:そうそう。
中垣:是も非もないよね。
松田:そうね。そういうもんとしか言いようがない。それを仏教では、突っ込んだ表現で
中垣:あー、そうね。
松田:ただまあ、それが逐語的に仏教の主張というわけでは決してない気もするけど。
中垣:西川の話を聞いてると、
松田:そうやん。オムレツ食ってたやん。
西川:美味しかった。
紀尾井町「オーバカナル」のミックスオムレツ – 東京弁当生活。
中垣:なのに勝手に頭だけ死にたいとか言ってんのは…ね。
西川:だから答えを探そうとしてる。
中垣:ちゃうちゃう、それは逆効果やって。
松田:まあ西川はね、別に見ててそんなに悲壮感があるわけでもないよね。
西川:そう、趣味みたいなもんだよ。
中垣:
なんて人間らしいんでしょう
松田:だとしたら村上春樹っぽくてなんかいいな。
中垣:確かに笑
西川:
松田:今でも暇なんや。働き出したら解決されると思ってたのにね。
西川:ね。私はたぶん毒され過ぎてて、
松田:はいはい。
西川:
中垣:それこそ、
松田:あー、ミヒャエル・エンデのね。
知的存在である、つまり物事に因果関係を見出し、抽象的な目的のために具体的な手段を講じることを知っている我々は、行動を選択するにあたってその合目的性や合理性を追求せずにおくことはできず、ときにその追求を徹底するあまり、逆説的にいかなる選択もできなくなり硬直してしまいます。
みたいな悩みに対して大いなる示唆を与えてくれるものとして、この一冊をおすすめします。お金とか時間とか合理性とか、そういう近代以降に人間をモヤモヤさせてるっぽいものには一言あるミヒャエルエンデによる、晩年の傑作短編集です。
中垣:あとなんかフロムもそういうこと言ってたよね。
松田:
西川:…私それ読んでないからさ、もっとなんか詳しい話してよ笑
倉留:笑
松田:ミヒャエル・エンデの『自由の牢獄』は短いし読みやすいから読んだらええよ。フロムの『自由からの逃走』は古過ぎて版が潰れて古代文字みたいになってるから読みにくい。やめといた方がいいと思う。
西川:笑
中垣:古代文字笑
西川:
松田:そうそう。
西川:えー、『モモ』大好き。
松田:でしょ? だってお母さんが好きそうやもん。
西川:うん、お母さんも好き笑
「『モモ』が好きな人」っていうペルソナは結構分かりやすいのです
松田:でもミヒャエル・エンデはね、
西川:うんうん。
松田:だからミヒャエル・エンデは前澤友作のおもちゃにされるねんって。
中垣:笑
2020年7月10日
Aux Bacchanales 紀尾井町
ドイツの哲学者、マルクス・ガブリエル。