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DXの難しさを図解する

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中垣DXがどうして難しいのかって話ね

松田:はいはい。

中垣:まず最初に企業のリソース、まあ研究成果でも技術力でも不動産でもデータでもいいねんけど、それがあるわけやん。

DX 図解
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松田:うんうん。

中垣:で、細かいところは端折って説明するけど、リソースのインプットがあるところに、例えば北方向にアウトプットが欲しいとするやん

DX 図解
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松田:うんうん。

中垣:このとき、このインプットとアウトプットを歯車で接続することを考えるねんな。まだ厳密に体系化はできてへんねんけど、だいたいのノリとして、インプット1に対してアウトプット3が欲しければこういうふうに歯車を噛ませるねん。要はトルクみたいな話やねんけど。

DX 図解
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トルク – Wikipedia

松田:はいはい。

中垣:これが例えば企業の創業当時やねん。でも創業して10年も経つと、サービスが増えて今度は別の方向にアウトプットが必要になってくるやん

DX 図解
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松田:あー、はいはい。なるほど分かった。

松田もメイクセンスしたみたいだし、ここで書き起こしやめにしてもいいですか?

中垣:で、そうこうしてるうちに、今度は全然違う、最初のリソースからは直接繋がらないアウトプットが出てくることもあると

DX 図解
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松田:うんうん。

中垣:そういうふうにしてどんどん広がっていくねんな。で、どこかのタイミングでDXしたいってなるねん。そのとき、理想を言うなら一箇所のリソースから複数あるアウトプットそれぞれに直接繋げたいんだけど…

松田:し、だいたいそういうものとしてしか語られないよね。

中垣:そう。側から見てシンプルに考えるとそう思うねんけど、実際そうはいかへんねん。新しくローンチするXっていう点を中心にするサービスに関しては、元のリソースから直接インプットしようにもそのための余白が無いからしゃあなしC経由でインプットすることになって、しかもAの顧客データもいるからそことも強引に繋いで、結局2系統からインプットするしかないみたいなことになるねんな。

松田:うんうん。

中垣:そうなると、すごいややこしいことになるやん。だからいっそ全部を統合できるように組み替えたらいいねんけど、それも無理やねん

松田:はいはい。

中垣:実際は、例えばAサービスには1万人の利用者がいて、そのサービスについてなら分かってるエンジニアがいるわけやん。

松田:うんうん。

中垣:それはBサービスについてもCサービスについても同様で、サービスごとに膨大なユーザーと、自分の担当してるサービスについてなら分かってるエンジニアがいるわけね。

DX 図解
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松田:なるほどなるほど。

中垣:それを全部統合するには一回丸ごとばらさないといけないねんけど、そんなん無理やん。むっちゃ金がかかるわけ。でもXをCに繋いでAとの間には歯車を一個足すだけなら、そんなんその場しのぎのダメダメの策っていうのは分かってるねんけど、とは言え金はかからんしすぐにできるねん

松田:はいはい。

中垣:丸ごとばらして統合するには例えば20億円かかるところ、この歯車を足すだけなら1億円くらいでできるねん。

松田:うんうん。

中垣:そりゃそうに決まってるわけ。今はそれぞれのサービスについては分かってる担当者がいるのに、丸ごとばらして組み替えると、業務の内容も一から学ばんとあかんねん

松田:なるほどね。

中垣:…みたいな話があるねん。DXって言ってみんながイメージするのは右やねんけど、そんなんできないんですよ。ほんまはそうしたいけど歯車一個だけ足してその場をしのぐっていうのを、今までずっと繰り返してるわけ。そこにDXの難しさはあると思う。

DX 図解
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松田:うんうん。

中垣:しかも古い歯車の系統には摩耗とか油切れとかも出てくるねん。いかんせん古いから。

松田:はいはい。

中垣:30年前のシステムを使ったサービスとかが平気であるわけ。もうほんまにダメダメやねんけど、それでも組み替えるよりは油差したりしながらだましだましやる方が、金も時間もかからずに済むねんな。

松田ほんまに理想的なDXのためには、一回システム全体が止まるしかないもんな

日経コンピュータ(2020)『みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史』日経BP
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IT界のサグラダ・ファミリア

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中垣:そう。それを止めずにDXを完了するには、全体のコピーを作ってそれを仮想的に回しながら本体を組み替えていかなあかんねん

松田:そうやんな笑 一時的にとはいえシンプルに倍の資源がいるよな。

中垣:そう、これはもう尋常じゃなくお金がかかる。だからできないんですよ。

松田:まあな、もちろん言われたら分かるねんけど、とは言え理想論でのみ語られてるところはあるよなと思うわ。

中垣:こういうジレンマは政策とかにも結構あるんじゃないかな。

松田:あー、いかにもそうやろうね。

トリチウム水…

中垣なんしかDXはむずいんすよ。「今持ってるデータとやりたいことから考えるとこういうシステムが理想だよね」「いやそれは分かってんすけど…」って。

2020年12月6日
Starbucks WITH HARAJUKU店

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