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自分を過小評価してはいけない

4 years

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中垣「心の中のVC」っていうのが先週出てきてんけど…

松田:これ結構いいよな。

中垣:なつきは結構効くタイプやと思うで。

なつき心の中の…ベンチャーキャピタル?

中垣:そう。先週おれが提唱してん。

倉留:松田はばり効いたらしいで。

松田:おれはすごく怠惰なわけ。やらないといけないと分かっているけどやらない、みたいな。それは学校の宿題的な意味でもそうやし、本当に自分がやりたいと思ってることに対しても腰が重い。で、先週中垣が言ってたのが、心の中にVCがおればいいって。

倉留:笑

松田VCに言われんねん、「松田くん、しっかりしてね」って。そんな感じ。

なつき:笑

松田:そのおかげでこの一週間、まあバイタリティに溢れる日々を過ごすことができてんな。「これする?めんどいからやめにしとく?」みたいな、そういうのが一切ない、JUST DO ITな一週間やってん。

c the only easy day was yesterday

松田:で、なんでかなって思ってたわけ。それで考えたんが、今までは取り組んでいることへの自己同一化が自分にとっての問題になっていたというか…心身の二元的な乖離があったって言えばええんかな、自分が「したいと思っていること」と自分が「取り組んでいること」の対応が完璧には取れていないことで硬直していたというか、なんかそういうのがあってんな

c やっていることが「したい」こと

松田:でも、その心身のうち「心」がVCの担当になって、おれは「身」だけを担当することになったから、なかなかうまいこといったんやと思うねん

結構ぶっ飛んだこと言ってんな

なつき:それさ、人に命令されてやるってことになるけど、それは苦じゃないの?

松田:命令すんのも言うておれやからな。

倉留:笑

松田:いやまあね、最初はそら、「…松田くん?」って心のVCに言われて、「ですよねー」って言って渋々やるって感じやってんけど、なんか週の半ばくらいから風向きが変わってきてんな

倉留:笑

松田最初はVCに言われてやってるっていう体やってんけど、途中からはおれがVCなんちゃうかって感じになってきてんな。おれがVCで、おれの言うことを絶対に聞くもう一人の松田が生まれたって感じ。

中垣:入れ替わったんや。

松田:うん。そっからはもう早いよ。…なつき、あんましっくりけえへんみたいな顔してんな?

当たり前やんけ

なつき:いやいや笑 まあ分かる気もするんだけど、多重人格の発症理由って結構そういう感じじゃない?

松田:そうなん?

なつき:強烈に辛い体験があって…

中垣:強烈に辛いはずはないけどな笑

なつき:おれがそれをやるなら、今仕事がめちゃくちゃ嫌だから、その対処として、別人格が仕事をやるっていうふうになると思って…

松田:あー。

中垣これはね、ネガティブ方面に使うものじゃないねん。別に厳しい自分を持つみたいな話ではないねん。

倉留:あー、そうやねそうやね。

中垣:VCっていうのがすごい大事で、要はなつきっていうリソースがあったときに、それをいかに最大化して世の中にインパクトを与えられるかってことが大事やねん

中垣:…ていうか、なつき痩せたな。

倉留:仕事で?

なつき:そう。

😿

松田:今なつきが心のVCを飼っちゃうと、会社辞めちゃうと思うよ

中垣:絶対辞める。

なつき:笑

松田心のVCっていうのは、本当はやりたくないことに無理やり取り組ませてくれる何かではないよ

なつき:なるほどね。

中垣「もっと他にできることがあるし、やるべきことがある気がするねんな」とか感じたときに、VCを捕まえてきてその気持ちを爆発させるねん

中垣:人間を爆発させなければいけないねん、おれたちは。パンピーで終わってる場合じゃないよ

なつき:いやー、そうだよね。その問題はあるよね。

中垣:その人が他の人と比べてパンピーかじゃなくてさ、自分をパンピーやと思ってるやつおるやん。いっちゃん嫌いやねん

星野リゾート、豊洲のタワマン、BMWの5、これらは悪しき「そこそこ豊かな人生」精神の象徴です

松田:心のVCによって爆発した先にあるものの好例はね、岡本太郎の『自分の中に毒を持て』に描かれているよ

倉留:うんうん。

松田:自分はどれほどのことができるか考えるべきだ、甘んじてはいけない、みたいなことをすげえ言ってる。

自分はどのくらいの能力があり、どのくらいのことをすべき器であるかということを見極めようとしないで、つまり、自分のことが自分でわからないのに、勝手に自分はダメだと見切り、安全な道をとってしまう。

このように自分を限定してしまい、その程度の人生で諦めてしまえば、これは安全な一生。だが、自分がいまの自分を否定して、更に進み、何か別な自分になろうとすることには大変な危険が伴う。

そして、ほとんどの人はこの危険に賭けようとはしない。それは、いままでにこの危険に賭けて失敗した人がいたり、また危険に賭けない方がいいというムードが日本人全体にあるからだ。このムードに従って、みんな自分の分限を心得てしまい、消極的にしか生きていない。ただマメに働いて、質よりも量で自分の働きの価値づけをしようというようなところがある。

Source: 岡本太郎(2017)『自分の中に毒を持て』青春出版社

今日を充実して生きるには、昨日の自分をぶっ殺さないといけないんだよ

中垣:うん、甘んじていてはいけない。世の中のバイタリティあふれる人って、結構そこが楽しくてやってるんやと思うで

松田:うんうん。

中垣:なんかスピってきたけどさ、そういう人らって、自分という枠を決めてその中で最大化するみたいなゲームではなくて、その枠をいかにビヨンビヨーンって拡げていけるかのゲームをやってみて、実際にできちゃってる人やから

Image: commmon

倉留:はいはい。

中垣:それを拡げるゲームが楽し過ぎるんやと思う。やってることはほぼVCやで

松田:なるほどね。

中垣だから失敗しても、別に失敗したこと自体には執着しないんやと思う。「まあ次頑張ればいいんじゃない?」みたいな。

松田:そうやんな。前も言ったけど等差的な人生と等比的な人生って話でさ、やっぱなんか、みんな自分の人生を直線的に捉えてるよな

中垣:そうね。

松田直線的な人生の特徴っていうのは、10年後まで見通しが立つってことやねん

10年後の見通しが立つってことは、その間に全く新規的なものは何も期待していないってこと

Image: Amazon.co.jp

デイヴィッド・ドイッチュ(2013)『無限の始まり ひとはなぜ限りない可能性をもつのか』インターシフト

中垣:それはおかしいよな。

松田:そういう人達は、10年後にBMWかレクサスに乗れていればそれで満足なんやろうな。

中垣:豊洲のタワマンに住んで、サ高住に入って…

倉留人生頑張ったで賞笑

中垣:まじでどうでもいいよな。そんなん、生まれてこなくてよかったやん

松田:メゾンカイザーを朝食に食べることが豊かな人生だと思っている人達。

倉留:二子玉川。

中垣:やっぱね、人生燃やさないと。燃やそうぜ?

なつき:仕事辞めずにってことだよね?

中垣:辞めてもいい。別に今すぐじゃなくてもいいから。

松田:それも込みやねん。辞めずにとか辞めなくちゃとか、そんなん関係ない

なつき:あー…

松田:だからさ、24時間365日があったときに、ここまでは仕事で、それ以外のところで充実した人生を…とかじゃないねん

ぼくは日常からとび離れたトッピな行動をすすめているわけじゃない。

確かに冒険というと、何か威勢がよいように聞こえるし、若者達がロマンチックな夢に誘われるのも当然だろう。だがムード的にただ素朴に冒険、冒険と憧れるのには疑問を感じる。ある意味では無責任な感じがするからだ。

冒険は賭けである。ならば一生を通しての闘いであるべきだ。それを一定の目的だけに限定して、あたかも事件のように、冒険が行われたりする。つまり、いわゆる「冒険」の前提には何か甘えがある。

現代の小市民生活の単調さ、空しさは、一般的だ。だから束の間にもせよ、そこからの脱出をねがう気持ちはわかるのだが、「冒険」では実は己自身も、社会の運命も、小ゆるぎもしない。そういう安定した社会、生活、ふだんの土台に、いつでも戻ってきて心身を休められる。それを期待し、頼りながら、ただ一時期、羽目をはずしてみるだけ。全体的、全運命的責任はとらないのである。

(中略)

ぼくなら冒険と言わない。そんな些細なバランスの上でいい気になっているお遊びより、生涯を通じて、瞬間瞬間の「危険に懸ける」のが真の人間のあり方だと思うのだ。

Source: 岡本太郎(2017)『自分の中に毒を持て』青春出版社
Image: Amazon.co.jp

岡本太郎(2017)『自分の中に毒を持て』青春出版社

倉留全部やんね

松田:そうそう。

中垣:前に言ったやん、落合陽一が「ゾーンに入る瞬間が楽しくて生きてるんすよね」って言ってるって…

Image: NEWS PICKS

落合陽一〝集中力・ゾーン〟を考える – NewsPicks

松田:うんうん。

中垣:「ぼくの知り合いの囲碁とか将棋のプロの人達も同じこと言ってて…」って。それはほんまにそうなんやと思う。だから仕事やっててゾーンに入らないのなら、それはもう、その仕事は辞めた方がいいと思う

松田おれさ、大学行かんとずっとスターバックスで本読んでた時期があってんな。5時に起きて、7時から12時までスターバックスで本読んで、昼はそこから歩いて30秒のファミマのイートインスペースでカップラーメン食って、またスターバックスに帰ってきて夜まで本読む、みたいなことしててんな。

文化村前のスターバックスの座敷童子やってた

なつき:やば。

松田:でもね、そのときはすごく楽しかった。本読んでてバイブス上がってくると、崇高なアイデアの体系に脳がダイレクトに繋がるような感覚を覚える瞬間があるのね

中垣:うんうん。

松田:「っあ、キタこれ⭐️」みたいな。「真理ゲトった」って感じ。

スピッた

中垣:うん、なんかほんまにそうやと思う。求められるものはスピッたところにしかないと思う。だから、自分の一日とかキャリアをはかる上で、「成長した」みたいな指標で考えるのは絶対間違ってて…

松田:うんうん。

中垣:当たり前やん、そんなん成長するに決まってんねん。アホじゃないねんから。でも残念ながら、そういう意味での成長スピードは機械の方が圧倒的に早いねん。

倉留:はいはい。

中垣だからそういう成長にあまり意味はなくて、やっぱりゾーンに入ることを目標にするしかないと思う。それをいかに体験するかやと思う。それができさえすれば、そのときにやっていることが将来何にアプライできるかなんて考えなくていいねん。それそのものが価値なんだから

松田:そうやんなぁ。

中垣あー、仕事辞めたい

Source: Stanford/YouTube

I have looked in the mirror every morning and asked myself: “If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?” And whenever the answer has been “No” for too many days in a row, I know I need to change something.

Source: goodreads

松田:成長とかほんまクソやんな。10年後のために今日を犠牲にして、10年後にはそのまた10年後のためにその日を犠牲にしてるねんで。最悪やん。

中垣:成長ってまじでなんなんやろうな。それってなんて言うか、人間を過小評価し過ぎているよね

そう。さっきの『無限の始まり』を読みましょう

松田:そう、ほんまに笑

なつき:はいはい。

中垣人間がどうして人間なのかっていう部分をきちんと考えないとダメやね

2020年6月12日
Aux Bacchanales 紀尾井町


HeaderImage: TARO OKAMOTO MEMORIAL MUSEUM

彼のことを芸術家というのはやや抵抗があり、いつものように簡潔にまとめるのは難しい。
彼のアウトプットの中でも特に勧めたいのは『自分の中に毒を持て』。