みなと:僕、松田に勧めてもらった中で
松田:あー、はいはい。
みなと:結構あれも象徴的な本…
松田:なんぼ言うても半分はヤクザの話やからな笑
ヤクザが出てくる漫画が好き
みなと:もうちょっといい方法あるだろって気持ちはあるけど、それでもなんか、手段を選ばないという意味においては素晴らしいというか、
松田:そうそう。
みなと:最後にさ、死にかけている主人公が敵のジジイに首相に選ばれるシーンあったじゃん。
松田:あったね。
みなと:まあなんて言うのかな、
松田:うんうん。
みなと:そうだよね。途中までは敵は殺していくというか、
松田:そうやんな。綺麗にまとめやがって、みたいな見方はあり得るけど、でも最終的にどう読むかはこちらの自由である以上我々としてはそう読みたいなと思うし、そう読む余地があるのは救いがあるなと思う。
みなと:あとはサンクチュアリのいいところでもあり悪いところでもあるのはさ、なんと言ってもヤクザが出てくるじゃないですか。
松田:そうやんなぁ。
みなと:そうそう笑
*話がやや分かりにくいと思うのですが、要は何かを正しいと信じてそれを実現するにあたって、その正しさに対置されるものを排除するようであれば、その正しさは全く空虚な理論の域を出ないという話です。例えば多額の税金を納めることに辟易した富裕層のみで人工島にユートピアを作ったとしても、その中でも相対的に持たざる者がいる以上、より多く持つ者が全体のために犠牲になる(それをそう呼ぶとしたらですが)ことは避け得ず、極論すれば、その思想のもと最も優れているとされる最後の一人になるまで排除は続きます。そのため正しさの実践にあっては、決して背反なものを排除しないこと、背反なものに対してはその正しさを不可避的に受容させるように、質的、構造的に説得力を担保しなければいけないと思います。
史村翔・池上遼一『サンクチュアリ 1』(ビッグコミックス)小学館
2019年10月4日
Starbucks 東京ミッドタウン店
史村翔原作、池上遼一作画の漫画『サンクチュアリ』。戦禍のカンボジアから日本に帰国した北条彰と浅見千秋の二人が、一方はヤクザとして、一方は政治家として、希望を持てない日本の社会を変革するため表と裏の世界から成り上がっていく物語。
ヤクザと政治家の役割分担がジャンケンで決まったこと、あらゆるシーンにおいて手段を選ばないことなど、大きな目的に焦点が合った人間のすごみが見事に描かれている。