倉留:コンサルからコンサルに転職する人って何を考えてんの?
松田:笑
西川:それめっちゃ思ってた。
中垣:キャリアを上げるというか、単純に自分の職階を上げていくって感じなんじゃない?
倉留:あー、そういうノリか。
中垣:もっと給料上げたいとか。
倉留:別の会社に移っても求められる能力って変わらへんの?
中垣:基本的には変わらへんのじゃない? 風土が違うとは言われるけど、おれもそれは分からへん。
倉留:そんな変わらへんよな。
松田:でもさ、コンサルの人って最初入った会社に一生いるわけじゃないやん。そこでさ、コンサルの線で「こいつ出世しきったな」というか、「人生仕上げたな」ってなるのはどうなることなん? つまり、コンサルのゲームで最強のゴールってなんなん?
中垣:えー…
西川:私はそれ、経営者になることだと思ってました。コンサルって上がっていったらどんどん上流を担当するようになっていって、そうなったら最終的には自分でコンサルファームを運営するとか、どこかの外部取締役として引き抜かれるとか…そういうのがエリート街道なのかなぁって。
中垣:まあね、コンサルの志望動機で経営企画に行きたいとかプロ経営者になりたいとかって結構あるねんけど、でもコンサルを20年もやっちゃうと経営者にはなれないよ。
西川:へー。
中垣:結構違うと思うよ。
倉留:ほんまに、全く違うよな。最近それめっちゃ思うな。経営者はやらな始まらへんもん。
中垣:それこそ自分でけつ拭けるかやから。事業に失敗して従業員をクビにするときの悲しみを受け入れられるかって話で。でもコンサルって人ごとやん。「クビ切ればいいじゃないっすかー」って言う人やから。
西川:確かに。
松田:なるほどね。
中垣:だから経営企画行きたいって言う人もおるけど、それは別に上がってるとは思わんかな。経営者になりたいなら今すぐなれよって。
西川:笑
松田:それはそうやな。
倉留:事業系の会社で結構言われんのがさ、コンサルは綺麗に解き過ぎておもしろいものが出てこないって。
中垣:まあ言うよね、うん。
倉留:筋は通せるけど、組み合わせの気持ち悪さから逆に出てくるようなおもしろいものがないというか、綺麗に解き過ぎてて「ですよね」としか思わへんっていう。課題を解決することと事業としておもしろいものが出てくるかはまた別やなって。
松田:まあそらそうやんな。
中垣:なんかコンサル幻想みたいなのって今でもあると思うねんな。前にも言ったけどコンサルって実際はなんもやってなくて、コンサルティング業務に最適化してるだけやねん。だからなんも出てこないっていうのはそれはそうで。
中垣:コンサルの上がりな、なんやろうな。やっぱコンサルを続けるっていうのはありやと思うけどな。変なしがらみとかないし、今の会社が嫌になったら他の会社に行っても同じような仕事がいっぱいあるし、お客さんは一度つけばどこ行ってもついてくるし。
松田:うんうん。
中垣:それで40手前で役員とかになってもうたら、結構安泰やから。
松田:それで年収なんぼなん?
中垣:一例やけど、3,000万円以上とかじゃない? たぶん。
パークマンション買えないじゃん、ファントム買えないじゃん
松田:ふーん。
西川:たっか。
倉留:それは結構むずいん?
中垣:おれが40まで続けてたらなれると思う。
倉留:へー。
松田:でも3000万円やもんな。
口座残高数百円のくせに不遜過ぎん?
中垣:そうね。ただひとつの生き方としてはありやと思うし、彼は彼なりに結構いい感じやなって思える人はいるよ。
松田:はいはい。
中垣:うちでも、職階が下半分のうちはまあザコいというか、必死でコンサルやってますって感じやねんけど、上半分になると諦めが出てくるというか、「まあやってみなよ」みたいな、いい感じにヤレた人が多いよ。
松田:なるほどね。
倉留:へー。
中垣:「コンサルなんて誰にでもできるよ」とか言ってる。おれはコンサルで頑張って優秀になるんだ、みたいな、そういうウザさがなくなってる。
中垣:いやーでも、コンサルでの上がりなんてない気がするな。そらコンサルで上がる人はいるけど、それは別にコンサルじゃなくても上がってた人で、コンサルだからこそっていう話ではない気がする。
松田:なるほどね。
2020年6月5日
Aux Bacchanales 銀座
株式会社ディー・エヌ・エー創業者の南場智子。津田塾大学卒業、ハーバード大学でMBAを取得、マッキンゼーではパートナーにまでなるなど、まあ華やか。
著書の『不格好経営』の中で、「事業リーダーにとって「正しい選択肢を選ぶ」ことは当然重要だが、それと同等以上に「選んだ選択肢を正しくする」ということが重要となる」と述べている。コンサルじゃなくても上がっていた人に間違いない。