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東京でしっくりきていない人を地方に移住させるには

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脇山:地方移住のまとめサイトとか、それを誘致してる自治体のサイトとか見てて思うんだけど、なんか地方移住とか空き家活用とかってちょいちょい盛り上がってはメディアで取り上げられたりするけど、結局は東京への人口流入の方がずっと多いわけじゃん

東京都の人口、1400万人を突破 コロナ禍でも一極集中 – 日本経済新聞

松田:うんうん。

脇山:この5月か6月だけちょっと逆転したけど…みたいな。それで…じゃないけどひとつ思ったのは、地方の人が地方をプレゼンしたり、地方に移住した人が地方移住をプレゼンするときのやり方を、もっと真摯にした方がいいと思って

東京人口流入に急ブレーキ、コロナショックで一極集中は変わるのか – Bloomberg

松田:はいはい。

脇山:東京と地方を比較するとき、本来は東京の良いところと悪いところ、地方の良いところと悪いところの4つを比べないといけないんだけど…

松田:あー、はいはい笑 上下にずらしてるよね

Image: commmon

「都市」ってなってるのが気になる…

脇山:そうそう笑 そこに真摯じゃないから、都市から移住しようとしてる人も結局納得しきれないっていうのはあると思う。だからそこはちゃんと提示した方がいいと思う。

松田:なるほど、そらそうやね。

脇山:この一ヶ月、地方移住も含めていろんな選択肢があるなって考えてたのね。例えば岡山のパン屋なんだけど、パン屋の窯とかの設備込み込みで300万円で事業承継します、とかもあって。

松田:へー、すご。

脇山:一応年間の売り上げは1000万円くらいは出てるとか。だから1~2年も働けば最初の300万円は回収できるし。

松田:でもそれちょっと謎やな。パン屋の資産をバラ売りしたらもうちょっとええ値段になったりはせんのかね。あるいは自分の作ったパン屋がそこにあり続けるってことにそれなりの意味を見出してるのかな?

脇山:あー、確かにね。

松田:ちょっと難しいなと思うのがさ、東京での暮らしと地方での暮らしを比較しますってなったときに、もちろんメリットデメリットがあってそれらを比べるわけだけれども、例えば生活コストが安くて空気も綺麗だっていうメリットが地方にはあって、そのためなら東京の便利さは捨てられるっていうふうに、ある評価軸におけるメリットのために別の評価軸におけるデメリットを受け入れるっていう判断をするわけやんか

僕は徒歩圏内にコムデギャルソンもロンハーマンもバーニーズもある環境を絶対に捨てられません

脇山:うんうん。

松田:そうやって部分を変数として全体を判断するには、変数同士の重み付けを主体的にしなければいけないんだけど、これがなかなか難しいんやと思うねんな

脇山:あー、うんうん。そうだよね。

松田:むしろ、自分の経験している総体を部分に分けて、それら全ては自分が責任を持つパラメーターだっていう認識って、普通は持たないと思うねん。

脇山:うんうん。

松田:そういう認識がない限りは、東京と地方を厳密に比較するなんてできないわけ。もちろん、なんとなくのぼやっとした比較ならできるし、「確かに地方には地方の良さがあるよね」くらいのことは言えるんだけど、結局その程度では現状を大きく変えるほどのインセンティブはなかなか見出せないよね

脇山:確かに確かに。そもそも比較ができていないから、地方に移住するという判断もできないよね。

波頭亮(2004)『思考・論理・分析』産業能率大学出版部
Image: Amazon.co.jp

地方移住を検討するなら一番最初に読みましょう

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松田:パラメーターがひとつで、それを定量化して両者を比べるだけでいいってわけにはいかんもんね。最後には主体的な価値判断をせんとあかんねんもん。

脇山:うんうん。

松田:そう言えばこのあいだ、携帯電話の契約におけるMVNOの割合が今でも2割に満たないみたいな数字を見たのね。もうびっくりして。

2020年 MVNO 割合
Screenshot: モバイル社会研究所

スマホユーザーのMVNO比率18.9%に:50代・70代は昨年より減少 – モバイル社会研究所

2020年 MVNO 割合
Screenshot: 総務省

電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和2年度第1四半期(6月末)) – 総務省

数字が違うのは、契約者単位での調査か契約単位でのデータかの違いだと思う

脇山:あー。

松田:でもそれもたぶんそういうことで、いろいろ考えなあかんことがある場合、ひとつの軸における多少のインセンティブ程度では人は動かないねんて

脇山:特に今なんてあんまり外に出ないんだから、キャリアだろうとなんだっていいのにね。

松田:いや、ほんまに。だから結局、東京でしっくりきてへんやつを地方に送り込むことをゴールとしたとき、もっとも誠実なのは「きちんと比較して主体的に選択できるようになりましょう」やねんけど、たぶんそれは無理やん。

脇山:うんうん、そうね。

松田だからレトリックが必要だなとは思うよ

脇山:そう、それはそう。

松田:みんながそれをできるようになりましょうって、それはもう教育を変えなきゃどうしようもないみたいな話になるからさ。実効性はないよ。

脇山:だからやっぱり、東京での生活にもやもやしてる人とその人にとってモデルになる人との間にアクセスを提供して、それをきっかけに地方移住させるしかないよね。そうやって、東京での生活を納得しようとしている層の周りにもそういう人が2~3人出てくるようになると、みんなが「あれ…?」って思えるんじゃないかって。

松田:それはそうやね。一般化された「都会暮らし」と「田舎暮らし」をエクセルの上で比較するんじゃなくて、「彼みたいになりたい」ドリブンでなら具体的な行動に移り得るのかなと思う

脇山:そうそう、みんな別にロジックで考えてるわけじゃないしね。

2020年9月27日
Aux Bacchanales 紀尾井町


奈良 奥大和 移住
HeaderImage: Local Life in Nara Okuyamato

「奥大和」と呼ばれる奈良県の南部・東部地域。多少は調べたけど、いまいちよく分からなかった。

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