松田:
中垣:あー、そうやね。河東ともよく、サーフィンに行くのはペットを飼うことと同じっていう話をするねん。サーフィンも死ぬときは死ぬというか、
松田:なるほどね。
河東:サーフィンで潔癖とか言ってられへんもんね。海入ってもうてるし。
松田:そこまでいったら諦めるもんな。
河東:松田もたぶんそうやろ、諦めるときは諦めるやろ。
松田:そうやんな。
風呂に入るのは秩序の零点規正
河東:でもそれで思うのが、
中垣:うんうん。
河東:「今日は掃除をしないデイ」って思ってるねんけど、
松田:分かる笑
河東:これってなんなん。
中垣:
松田:だからペットの話でさ、中垣はサボテンとか世話できるやん。
(2020)『BRUTUS 合本 新・珍奇植物』マガジンハウス
中垣:そうやね。
松田:おれサボテンでも結構しんどいもん。たまごっちがギリギリ。
iPhoneの設定も、全てのパラメーターを把握している
中垣:笑
河東:けどおれはこの解決法について、一回ちゃんと松田と考えたい。
松田:いやー、おれはこのままやっていこうと思ってるよ。
ケアする対象が多くなると認知資源が死ぬので、狭い部屋に少ない荷物で暮らすしかない
河東:おれは今度タカと一緒に湘南に住むねんけど、今住んでる部屋も残したままにするねんな。家賃補助もあるし。
松田:はいはい。
河東:で、
松田:あ、なるほどね笑
河東:
自分のものじゃないから秩序に固執する必要がないってこと。独特の理論である
中垣:あー…なるほど…
松田:分かるわ。
河東:で、別にタカが部屋を汚くするわけでもないねんけど、それでもおれの基準よりは圧倒的に散らかったりするわけよ。でもおれのことじゃないから、それに指図することはできない。
中垣:笑
河東:かつ湘南の家は自分の部屋も最小限で、寝袋持っていってそれで寝るしさ。で、
ハードコア曝露療法
中垣:あー。
松田:めっちゃ分かるよ。
河東:仮にこれが、
松田:バックアップが必要やもんな。
河東:でも今回は、今までの環境をキープしたままこれができるわけ。だからワクワクしてる。
松田:めちゃめちゃ分かるわ。今のおれの生活は自分の部屋と彼女の部屋の二本立てって感じやねんけど、これがほんまにいいねん。
河東:そうやんね。
松田:
タイで着るためだけに新しい服買って、日本に帰ってきたら捨てた
中垣:なるほどね笑
河東:ほんまそれやねん。
どれだけぐちゃぐちゃになっても、シャワーを浴びたらチャラになる
中垣:でもちょっと分かるかも。おれ掃除でそういうことはないんやけど、
松田:はいはい。
中垣:前の部屋に住んでたときとか、毎日インテリアのこと考えてたもん。「あれをこうしたら…」って。
松田:笑
中垣:でも、「壁紙の色はこれじゃない…」とか「なんでここの幅が2メートルしかないねん…」とかがめっちゃあって、
勝手過ぎでわらう
松田:あー、なるほどね。
中垣:その後も、別の友達の家の階段の下の押し入れに住んでたりしてんけど、
中垣:「よし、これならいける」って思って引っ越したら、今度は隣が統合失調症やってんな。
松田:笑
河東:ごちそうさまです笑
中垣:超絶望やった。
松田:でもさっきの河東の湘南プラン、それ絶対効くと思うで。
河東:普段の生活でってこと?
松田:うん。なんて言うか諦めやすくなった。「まあそれはそういうもんなんじゃね」みたいな。
河東:それをすごい期待してるねん。おれ朝起きられへんやんか、だから朝5時に起きてサーフィンしてから会社に行くみたいなことはおよそ不可能やと分かってるねんけど、それでもなんで引っ越すかって、
常人には難しい話をし出した
松田:はいはい。
河東:おれ前の部署のとき、
中垣:やば。
河東:
松田:笑
中垣:なるほどね笑
河東:だからそのことを考えたら、掃除にさえこだわらなくなればおれはもっと早く寝られるはずやし、サーフィンのために朝5時に起きられるようにもなる可能性が存在するねん。
服畳んでクイックルワイパーかけてシーツのシワ伸ばして3時間
中垣:なるほどね、なるほど。
松田:ほんまそれやんな。おれ今はそんなことないけど、一時期朝起きてから家出るまで2時間以上かかってたことあるもん。でもタイに行ってからは、
中垣:笑
河東:誰しもさ、仕事の飲みでどうしようもなくつぶれて、酔って帰ってきてトイレで吐いてまう夜とかあるやん。家のトイレで吐いてそのまま寝てもうた、みたいな。これは意思ではどうしようもないやん。
中垣:そうやね。酔ってるもんね。
河東:おれはそういうとき、ほとんどの場合は次の日帰ってきてから必死で元に戻すねんけど、
中垣:はいはい。
河東:で、その飲み会でも吐いてはないけどつぶれて、二日間にわたってトイレがゲロっててん。
もちろん放置と言っても、トイレを流すくらいのことはしているわけで、ただ少しでも飛沫が飛んだ可能性のある部分を全て拭くとか、便器を漂白剤で洗浄するとか、そういう除染レベルでの掃除を一週間せずにいたという話
松田:おお。進歩やね。
河東:その間おれは、
中垣:笑
河東:けどその後の土日にちゃんと掃除をしたら、もう元に戻ってもうてん。
中垣:なるほどね。
発達障害系の本には「生き辛いと思ってたら障害でした〜」的な弱者が傷を舐め合うためのエッセイとか、「発達障害の人が〜するための本」みたいに網羅性の低いハウツー本めいたものが多いのですが、これは簡潔で過不足がなく、大学の学部生向けの入門授業っぽい内容でおすすめです。
小野次朗・上野一彦・藤田継道編(2010)『よくわかる発達障害 – LD・ADHD・高機能自閉症・アスペルガー症候群』ミネルヴァ書房
松田:おれこれ系で一個やばいエピソードがあって、やば過ぎてあんま人には言いたくなかってんけど…
河東:
松田:前にすごい疲れてる日があって、そのまま家に帰っても、
掃除もそうだし、ストールとニットをブラッシングするとか、そういう強迫ルーティーンが山のようにある
中垣:はいはい。
松田:でもそれを守らないと部屋の秩序が崩れるわけ。
河東:うんうん。
松田:「どうしよう…」って思って、
中垣:笑
河東:ビジネスホテルに泊まったことはないけど、
松田:そうそう、そうやんな。
中垣:笑
河東:このまま家に帰っても、自分がしなければいけない日々のルーティーンをこなそうとすると確実に明日遅刻するってなったら、
河東:「なんで家帰らへんの? 家じゃないと疲れとれへんやん」って言われるけど、
松田:そうそう、ほんまそう笑
中垣:なるほどね。
河東:おれが同期の家に泊まるのもそれやで。
松田:おれもそのノリで人の家泊まることあるな。
中垣:今日河東と話してて思ってんけど、おれと行動パターンがすごい似てんねんな。朝眠いとか、準備遅いとか、もう一服したいとか、全部一緒やねんな。
松田:はいはい。
中垣:だから気を使わんで済むみたいな話をしとってんけど、今の話を聞くと、
松田:うわ地獄やん。
中垣:地獄やで。
河東:
中垣:笑
河東:毎日めっちゃ忙しいねん、ほんま。
中垣:あかんおもろい笑
河東:だからおれには社会人なんてできるわけないねん。寝る時間なんて無いに決まってるねん。
中垣:そうやね。
河東:ほんまに不適合過ぎるわけよ。
河東:けどな、たぶん松田は分かってくれるけど、
松田:分かるよ、育ちいいやつがグレたときの気持ちやんな。
中垣:なるほどね笑
河東:おれは今、あっちの自分に勝ってると。しかもなんなら、おれらの厄介な敵、
毎日同じ服を着るために加えて洗濯の頻度を減らすため、同じシャツを2ダース持ってたことがある
2020年5月30日
Aux Bacchanales 銀座