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いいこと思いついた 思索 生きづらさ

マルジェラの四つ糸、あれを切れるようにならないといけない

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中垣:でもさっきの話からすると、iPhoneがいくら傷ついても、それは情報量が増えたって言って喜べばいいよね。「複雑性が増した」みたいなね。

c オリジナルの持つ複雑性とそれを複製する難しさ

松田:うん、間違いない。でもiPhoneに傷が入るのってなんで嫌なん? やっぱ高いから?

中垣:まあそれはあるやろうけど…

松田:でもそれやと、iPhoneだけことさらにケアする感じは説明できひんよね。

中垣この疑問、何かの芯を捉えてる気がするな。なんやろう…iPhoneってすごいCADっぽいというか、完璧っぽい形で提案されているというか。

松田:うんうん。

中垣:これ前も話したけど、例えば昔に草履を買うときって、完璧なそれっていうのがそもそも存在しないから、その状態を大事に保存しようとも思わないわけやん。

松田:あー…うんうん、確かにね。でもiPhoneの場合、アップルのウェブサイトにはCGの画像が上がってるもんね。

iPhone 12 Pro Max
Image: Apple

箱から出した瞬間だけこの見た目

iPhone 12 Pro Max、iPhone 12 mini、HomePod mini、金曜日より注文受付を開始 – Apple

中垣:しかも開封したときにCG通りの完全な無菌状態で対面するから、それが最上のコンディションだって思えちゃうよね。

松田:iPhoneってさ、開けてすぐに傷がついとったらそら嫌やけど、自分の使用に伴って傷がつくんなら別にいいわけやん。で、どのタイミングでその使用が始まるとするべきかっていう問題があるねん。

中垣:あー。

松田:おれにとってそのスタートは、SIMカードをトレイに載せて挿入した瞬間やねん。

中垣:はいはい。

松田:それでSIMカードを挿入するまではすげえ緊張するわけ。で、さらに言ったらさ、使用に伴う傷はいいって言ったけどそれは外側の話で、いくら外見に使用感が出てきても機械の内部はパーフェクションが保たれているって想定できるわけやん。

中垣:うんうん。

松田:だからSIMカードを入れるとき、SIMトレイとかカード自体に自分の指先の皮脂が絶対につかんようにせなあかんねん。SIMカードは綺麗に洗って水気を取ってからじゃないと入れられへん。

中垣:あー、それは分かるわ。おれはそこまではやらんけど、気持ちは結構分かる。

Source: commmon

c 新品を開封するのが好きじゃない

松田:そうやんな。昔の草履やとその製品の原点がどこなのかは分からへんけど、iPhoneはCADの3Dデータが原点やもんね

中垣:そうやね、分かりやすい原点があるかどうかは大きいやろうね。あとはそれで言ったら、カルビーのポテチよりもプリングルズを食べるときの方が緊張するとかがあれば、その説明をより補強できると思うねんけど…

松田:うん、プリングルズの方が緊張するな。

中垣:やっぱそうやんね笑

松田:それにプリングルズ、開けたときに上の方の何枚かが割れてたら「あちゃー」って思うもん。

中垣:そうやんな。プリングルズは草履よりもiPhoneに近いね

松田:笑

中垣:ただまあ、別に汚れているのはいいことではないよね。清潔であるのは大事なことやから。

松田:そうね。だから家具なら古いテーブルは肯定されるけど、なんかをこぼしたままの天板とか、変なカスが詰まったソファの隙間とかは肯定されへんよね。

中垣:そうやんね。あとはこれ、車にも思うことあるねんな…

松田:それならちょっと聞いて。この前ほんまに頭おかしい動画を見つけてしまって、それをぜひここで告発したい

中垣:はいはい。

松田:ヒカキンのお兄ちゃんのセイキンっておるやん。あいつがなんか、新しく買ったフェラーリに飛び石の傷を防ぐための透明のラッピングをするとかいう動画をあげてて…

中垣:ほうほう?

松田:透明のフィルムをボディー全体に貼ってるねん。頭おかしいやろ。

中垣:やばいな、買うなよ乗るなよとしか言えんな。そんなん毎日ディーラーに行って綺麗な展示車両見ればそれでいいやん

松田:あれは不幸やで。

中垣:いやぁ、不幸やね。だからヘビーデューティー系の車はそこがいいよね、凹んでてもそれがかっこいいというか。

松田:うんうん。

つまりカリナンで泥水に突っ込める人、マルジェラの四つ糸を切れる人になろうって話です

TEST DRIVE: Rolls Royce Cullinan — Don’t Call it an SUV – BMWBLOG

中垣:やっぱiPhoneにしてもフェラーリにしてもおかしいねん。フィジカルよりもバーチャルに理想的に存在できる物を、フィジカルに実現しようとしてるねんで。そんな物は作るべきじゃないねん

松田:だからiPhoneもさ、段ボール箱に入った検品ガバガバモデルをリリースすべきやんな。多少の傷とかも所与の条件だと思えるようなやつ。インドの工場ではそれ作ればいいのに。

アップル製品生産するインドの工場で暴動-労働者150人余り逮捕報道 – Bloomberg

中垣:iPhoneのあの箱も嫌やんね。あの箱が部屋にあるだけで緊張するし、しかもあれ、なんか捨てられへんねん。

松田:あー、確かに捨てられへんね。あれも良くないよな。

中垣:そうやろ。

松田:おれエルメスの箱とかなら邪魔やし全部捨てられるねんけど、でもiPhoneの箱だけは捨てられへんねん。

エルメスの箱を捨てる瞬間超好き、あれを全部クローゼットに置いてるやつ超嫌い

中垣:まあiPhoneの箱はリセール的な話もあるからあれやねんけど、それを差し引いても捨てられへんねんな。

松田:うんうん。

中垣:あとそれで言うと、最近になってSupremeの本を買ってんけど、その本のカバーがあんまりかっこよくなくて、でもカバーをとったら白地にちっちゃくSupremeって書いてて、全然そっちの方が良かってんな。

松田:うんうん。

Supreme 本
Image: Supreme

Supreme (Vol 2) – Supreme

中垣:で、そのカバーの裏側にはでっかいデッキの写真がプリントされてて、そのままポスターになるみたいな感じやってん。

松田:あー、それはむずいな。

中垣「これまじで捨てたい…けどどうしよう」って。それで、そのとき部屋に彼女がいたから本を渡して、「カバーとって」「とった」「くしゃくしゃに丸めて」「丸めた」「そのまま捨てて」って言って、なんとかしてもらった笑

松田:笑

中垣:でもね、気分は結構良かったし、そのあと何回かそういう機会があったけど、そのときはすぐに捨てられるようになってたよ。

松田:あー、いいやん。

2021年2月11日
外苑前 J-COOK

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マルジェラ 四つ糸 タグ
HeaderImage: GRAILED

メゾン・マルジェラのアイコニックなカレンダータグ。例えば14が「男性のためのワードローブ」であるように、それぞれの数字に特定のラインが対応しており、丸で囲まれた数字がその服のラインを意味している。
このタグは一連の糸で四隅を留められているだけであるため簡単に取り外すことができる。なんでそうなっているかって、大手古着屋のやってるキュレーションメディアによると、「服そのものに価値を見出してほしい」というデザイナーの想いが込められているんだって!!!

Master Class: Maison Margiela – GRAILED