中垣:
松田:はいはい。
中垣:松田さ、おれのことを変って言ってたこと、ちょいちょいあるやんか。
松田:うんうん。
中垣:おれ、あんまりそれ自分では分かってなくて、
2000歩譲っても普通ではないと思う
中垣:会社で同じ部署に同期が5人おるねんけど、このあいだ同期会があったときに、
松田:はあはあ。
中垣:で、そしたらみんなが…
松田:笑
中垣:「かわいそう」「あんなに可愛かったのに」って次々言ってて
松田:まあそうやんな。
中垣:
松田:うんうん。
中垣:
松田:はいはい。
中垣:そういうふうに頭で考えなくても「いや、だってかわいそうじゃん🥺」って思えてるんじゃないかって。
松田:どうなんやろう。
中垣:そう。
松田:はいはい。
中垣:それで思い出してんけどさ、高校生のとき、同級生のお父さんが亡くなったやん。そのとき、家に帰ってそのことを話したら、
松田:笑
中垣:びっくりするやん?
松田:そうやんな。
中垣:
松田:たぶんそうやねん。それができる人って、
中垣:うん。
松田:たださ、そういう共感って強度はあるんかな?
中垣:強度もあるんじゃない? だって泣いてるし。
共感の強度とか言ってるやつ、まさに共感能力低そう
松田:それは共感に強度があるっていうより、メーターが上がりやすいみたいな話じゃないん? 共感の閾値が小さいから、わずかなインプットですぐ泣く。
中垣:
松田:…みんなとの差が大き過ぎて、相対的にはほぼゼロってことではなく?
中垣:いや、違う。おれの心は動いてない。
松田:笑
中垣:そらそうやん、当たり前やん。
松田:まあ分かるよ。おれもそう思う。
中垣:友達の親が死んでも、別に悲しくない。そこで、もし自分の親が死んだら…とか考えだすとまあ悲しいけど、
松田:そうやんな。
中垣:まあ男女の差みたいな話は多少あるかもしれへん。
松田:あー。
中垣:とにかく、この前彼女とめんどい感じになって話し合ってるときも思ってん。
松田:
中垣:笑 村上春樹っぽい。なんかそんなんがあるねん、「あなたは月から来たんでしょ」「早く月に帰りなさい」って。
c 村上春樹(2004)『ダンス・ダンス・ダンス(上)』講談社文庫
松田:共感能力なぁ。
中垣:そう。でもそれがあるとしたら、ある意味すごいよな。
松田:はいはい。言ってたな。
中垣:でもね、
松田:笑
中垣:そういうことはよくある。
松田:ごく個人的にはやけど、自分は自分が直接関われる範囲をきちんと認識していて、その範囲の外にあることは自分にとってはどうでもいいことだと思っているから、いまいち他人に共感しきれないって解釈してるな。
中垣:いやー、おれは能力の欠如やと思ってるよ。これはコントローラブルな領域ではない、
松田:うーん。
中垣:それに、共感した方が自分にとっても都合がいい場合だってあるから、
松田:でもまあ猫死んだって言われてもな、共感はできひんな。
中垣:そうやんな。
きょう‐かん【共感】
(sympathyの訳語)他人の体験する感情や心的状態、あるいは人の主張などを、自分も全く同じように感じたり理解したりすること。同感。「―を覚える」「―を呼ぶ」
Source: 新村出編『広辞苑 第六版』岩波書店
こんなん無理やん
松田:やっぱ考えるにつけ、
中垣:そうやんね。
松田:
中垣:まあそうね、そうなんだけど…
松田:ただ普段からするもんではないし、そんな瞬発力をもってできるもんでもない。
中垣:うん。
松田:このあいだ、親戚が死んだとかで彼女がさめざめと泣いててんけど、それもいまいち意味分からんかったもん。
中垣:そうやねん。人が泣いてるときとか、
松田:そうそう笑
中垣:「やれやれ」やで。
松田:ゲームにしちゃう笑
中垣:そうそう。あとこれ完全に余談やけど、植竹にムカつくポイントが今はっきりした。
植竹ごめん
松田:笑
中垣:あいつ別に共感能力高くないのに、
松田:なるほど笑
中垣:でもこないだも言ってたやん、自分の中に陰キャな部分があるって。
松田:合コンでタバコ吸いに行っちゃった話とかな。
中垣:そう。結構こっち側というか、
植竹ごめんって
2020年7月3日
Aux Bacchanales 紀尾井町
1960年代の香港を舞台にしたウォン・カーウァイによる不朽の名作、『花様年華』。2000年公開。艶やかなチャイナドレス、慎重でありながらも強烈な慕情、昼夜問わず湿っぽくベタつく香港の空気、トニー・レオンの諦念、これらを楽しめるっていうのは大人になったってことなのです。
九鬼周造の『「いき」の構造』との親和性が非常に高い。