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いいこと思いついた 思索 生きづらさ

新品を開封するのが好きじゃない

4 years

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中垣:これは河東とか松田っぽい話でもあるねんけど、なんかさ、Apple製品とかはまさにそうやけど、開封前が一番完璧な状態なわけやん

c 強迫ピープルの生態

松田:うんうん。

中垣それをおれが壊していくのがすごい嫌って話。

松田:分かる、分かるよ。使い出すのに一線超えんとあかんもんな。

中垣:そうそう。だから買ってそのまま渡される系のものはすごい嬉しい。開封せんでいいもん。

パタゴニアは2020年4月1日よりお持ち帰り袋を廃止することを決定しました。来年4月からは、パタゴニア直営店ではいかなる種類のお待ち帰り袋もご用意がありません。

Source: patagonia

お気に入りのマイバッグを持ち歩く – patagonia

サンキューパタゴニア

松田:おれさ、その辺の意味でもインディアンジュエリーが好きやねんな。

中垣:そんな感じなんや。

松田:やっぱり人の手で作ってるものやからね。パーフェクションを期待せずに済むねん

中垣:うんうん。

松田:最初から傷とか入ってるし、箱とかないし。あくまで人の手で作ったもので、そこには一人のアーティストがおるわけ。マニュファクチュアなものでさえないわけよ。

c Cippyのブレスとクロムハーツのネックレス

中垣:なるほどね。なんかiPhoneの箱とかやったらさ、「説明書は最初の並び順で戻した方がいいんかな…?」みたいなんあるやん。あれが嫌。

松田:分かる分かる笑

中垣:あとはさ、紙製の箱って開けるときここが絶対曲がるやん。分かる?

紙 箱 フラップ
Image: 高田紙器製作所

ここ

松田:分かるよ。

中垣:あれがすごい嫌。なんでこんなことすんの?って思う。

松田:iPhoneってさ、開けてすぐに傷がついとったらそら嫌やけど、自分の使用に伴って傷がつくんなら別にいいわけやん。で、どのタイミングでその使用が始まるとするべきかっていう問題があるねん。

中垣:あー。

松田:おれにとってそのスタートは、SIMカードをトレイに載せて挿入した瞬間やねん。

中垣:はいはい。

松田:それでSIMカードを挿入するまではすげえ緊張するわけ。で、さらに言ったらさ、使用に伴う傷はいいって言ったけどそれは外側の話で、いくら外見に使用感が出てきても機械の内部はパーフェクションが保たれているって想定できるわけやん

中垣:うんうん。

松田:だからSIMカードを入れるとき、SIMトレイとかカード自体に自分の指先の皮脂が絶対につかんようにせなあかんねん。SIMカードは綺麗に洗って水気を取ってからじゃないと入れられへん

キムワイプとエタノールと指サックを使う

中垣:あー、それは分かるわ。おれはそこまではやらんけど、気持ちは結構分かる。

松田同じ理由でバッテリーの交換も絶対にしたくないし、ディスプレイパネルの交換も絶対にしたくない。一度でも開けると中のパーフェクションが損なわれるやん。人の手が入るからさ。

即買い替え

中垣:笑 まあ人の手で組み立てられてるんですけどね。

松田:だから中国の工場で何が起こってるかはおれは知らんことになってる

中垣:なるほどね。最初から完璧な状態で生まれてきたものなのね。

Foxconn iPhone
Image: THE VERGE

松田:そうそう。

中垣:でもこれって、もちろん神経質的な話でもあるけど、そもそも開けたら汚くなるものをなんでそんなに綺麗に梱包してんのって話でもあると思うねん

松田:そう、確かにね。

中垣:なんか、そんなん虚構やん。だからほんまは買った店で開封してもらって「箱は捨てといてください」って言うのがいいよね

松田:うんうん。なんか、ロレックスってそんな感じらしいで。最初は傷防止のフィルムが貼ってあるねんけど、それは絶対に店頭で剥がさせられて、傷が無いか確認させられるらしいで。

ロレックスに毎日通って買えた2人の「デイトナマラソン対談」 – FASHIONSNAP.COM

中垣:ほうほう。

松田:真っ新の状態で買って持って帰ることはできないねんて。

中垣:なんで? 転売防止?

松田:かな? おれもその辺の事情は知らん。でもそういうルールになってるのはちょっといいよな。それならもう傷は無いって信じることにして、全然確認せんと「おっkーです」って言えるし

中垣:そうやんな。でも、人類はいつからこんなに完璧を求めるようになったんかな。例えばさ、昔やったら同じ商品でも全部ちょっとずつ違うわけやん

松田:まあそうやな。

中垣:それをさも同じものかのように、同じ値段をつけて売ってたわけやん。そういう世界なわけやん、わらじとかもさ

松田:うんうん。

中垣:これは別に「手作りの温もりが〜」みたいな話じゃなくてやで。でもいつの間にか綺麗にパッケージされるようになって…それがすごい嫌。

しかし一方、iPhoneの品質に完璧を追求する価値観を捨ててしまうことは「ニュートンの理論があるんだからアインシュタインとかどうでもよくない?」と言うことと同じ、つまりより高い解像度で世界を認知し同定することを諦めることでもあるので、完璧の追求は原理的には否定されるものでなく、あくまで別の合理的な理由に基づいてのみ否定されるものだと思います。

松田:おれさっきインディアンジュエリーがいいって言ったけど、同じものがひとつしかないっていうのも大きいねん。良くも悪くも他と比べようがないやん。

中垣:うんうん、そうやんな。

松田「それはもうそういうものやから」って思えるやん。

中垣ロフトマンでは、ジーパンは絶対にお店でワンウォッシュするらしいで

ロフトマン 梅田
Image: LOFTMAN COMPANY

LOFTMAN COMPANY

c スコーシャのシグネットリング

松田:まじ?

中垣:ロフトマンにリジッドはないねん。お店にでっかい洗濯機があって、ぜーんぶ一回洗濯してから店頭に出してるらしい

松田:すごい、それは分かりやすくていいね。確かに一時期はジーパンはリジッドにこだわってたけど、あれは実際のとこワンウォッシュでいいよね。

リジッドのジーンズは服好きのはしかのようなものなのです

中垣:ね。

松田リジッドはパーフェクションを追求するあまりしんどくなるもん。「今回乾燥機失敗したな…」とか、ほんまは思いたくないもん。

Source: @CNNBusiness/Twitter

中垣:乱雑なんは嫌やけど、シャツにしたって綺麗に畳まれて積まれてさえいたらそれでいいねん。あんな綺麗な包装なんていらんねん。

松田:あとはあれ、都内やったらたまに見るけどさ、ある程度高い車って一台しか車を載せられない車に載ってやってくるやん。あれアホらしいよな

Source: X17onlineVideo/YouTube

中垣:はいはい。

松田上に載ってるその車、車やねんで?って。オーナーがディーラーまで行って乗って帰って来いよ。

中垣:そうやんな、ほんまそうやんな。古着はそこがすごい楽やねん

松田:そうやんな、古着って最初っからストレートに愛着持てるよな。馴染み待ちとかないもん。

物に十分な愛着を持つには、それを持ってる自分が自分的にしっくりこないとダメなの。分かる?

中垣:あとあれは結構好きやねん。機械製品とか買ったときの、パルプを整形した型でバコッと挟まれてるやつ

梱包 パルプモールド
Image: JAPAN STAR

松田:あー、はいはい。

中垣:あれはさ、どうせ紙やからなんも考えんと捨てられるし、でも物はしっかり守ってくれるやん。あれはすごいいい塩梅。

松田:確かに。iPhoneの箱やとああはいかんよな。もっと大事な気持ちになっちゃうもん。

中垣:そうそう。

松田:おれメガネを店頭でフィッティングされるのも超嫌やな。おれの眼鏡はおれが曲げたい。だからフィッティングはなしで渡してくださいって毎回言ってる。

そもそも自分の方が絶対に上手い

中垣:へー。

松田:でもそんなこと言うやつ他におらんから、言うたびに店員さんは当惑してる。

中垣:でもこれさ、同じように思ってる人は少ないけどおると思うねん。

松田:うんうん。

中垣だからAppleもさ、最近SDGsってうるさいねんからさ、省エネ仕様のiPhoneを出せばいいねん。箱も業務用みたいな薄いやつで、それだけ2,000円くらい安いみたいな。

なら綺麗な箱の方買うでしょ

松田:Appleって整備済製品あるやん。あれのパッケージってそんな感じじゃない?

中垣:いや、前に整備済製品のMacを買ったときは全然ちゃんとしてたよ。

松田:まじ? じゃああれは? iPhoneが本体交換修理になったときに、交換機が入ってる箱。あれは結構いい線いってるで。

中垣:それ分からんわ。

松田:中身は整備済製品で、箱も薄くてiPhoneしか入ってへんねん。あれは結構いいよ。

このまんま製品化してくれApple

中垣:はいはい。

松田:あと家具な。ヴィンテージの家具がまるいっていうのはそこもあるよな。

中垣:そうそう。

松田:大きいものになればなるほどしんどい。

中垣:そもそもなんでこの話を考えたかって、百々千晴っていうスタイリストがYouTubeやってて、その人の動画でダイソンの掃除機を買う回があってんけど、「私こういうのほんと嫌い」って言っててんな

Source: DODOTUBE/YouTube

松田:はいはい。

中垣:で、それ見ながら「ダイソン絶対買いたくねー」って思って。

松田:ダイソンは嫌やな。ゴミ吸い込む機械やのにiPhoneのノリの製品やもん。絶望やで。

中垣:そうそう。ほんまやめてほしい。

松田:おれさ、前にインスタのストーリーにフィンランドのポリエチレン容器アップしてたやん。あれ系は超好きやねん。

 MEHUKAS 容器
Image: PUUILO

まずポリエチレンが超好き

中垣:あー、あったね。

松田:作りはすごい雑でバリとかめっちゃついてるねんけど、まずもって業務用やし、メイドインフィンランドやし、「これはこういうもの」って思いやすいわけやん。

中垣:はいはい。

松田:そういうのがすごい好き。

中垣:たばこって結構よくない? 一応ちゃんとした箱に入っててフィルムで覆われてるけど、あんまなんも考えんとピュッて剥がして吸えるやん

松田:あー、なるほど。

中垣新品を感じられるし、でも開封するのに抵抗もない

松田:確かに、たばこの箱もいいな。

2020年7月24日
Aux Bacchanales 紀尾井町


iPhone 箱
HeaderImage: Apple TLD

一般的な紙箱とは設計思想から全く異なったiPhoneの外箱。構造となる硬い板紙に薄手の化粧紙を貼った「貼り箱」と呼ばれる種類の紙箱だが、通常の貼り箱では一体であるはずの板紙が面ごとに別々のパーツに切り離されており、つなぎ目の角をシャープに見せるため板紙の辺はV字にカットされている。
さらに化粧紙は箱の内側を完全に覆うように折り返されているが、内側への折り返しを左右同時に行う一般的な自動製函機ではこの加工はできず、紙を貼る一つ一つの動作を個別のモーターで制御する特殊な製函機によって実現されている。