松田:
デイヴィッド・ドイッチュ(2013)『無限の始まり ひとはなぜ限りない可能性をもつのか』インターシフト
c 子供を作る意味
中垣:うんうん。
松田:あれの中で、動物の進化と人間の創造を比べてる箇所があるねんな。で、そこで言っているのは、
人間の脳にある知識と、生物学的適応としてある知識はどちらも、広い意味での進化、つまり交互に起こる「選択と既存情報の変化」という進化によって生み出されている。人間の知識の場合、既存情報の変化は推量、選択は批判と実験によるものだ。一方、生物圏の場合、既存情報の変化には遺伝子の突然変異(ランダムな変化が関係している。また自然選択では、その生物の繁殖能力を最も大幅に向上させる変種が有利であり、その結果、その変異体の遺伝子を集団に拡散させることになる。
Source: デイヴィッド・ドイッチュ(2013)『無限の始まり ひとはなぜ限りない可能性をもつのか』インターシフト
中垣:うんうん。それはこう、主体的なというよりはシステムとして、
松田:そうやね。だからこれのナンセンスなところは、選択される
中垣:うんうん。
松田:し、それを新しい知識として次世代に遺す過程で、
中垣:うんうん。
松田:でも人間の知識創造はそうじゃないですよねって言うわけ。人間は個体が死なずとも、
中垣:うんうん。
松田:適当に乱数を生成して全部をテストするのではなくて、
中垣:はいはい。
松田:もちろん人間と動物の違いはいわゆる知性だと言うことはできるんだけど、実は動物も似たようなことはしてる。なんだけれど、随分と筋の悪いやり方をしていて、そこにこそ違いがあると。
中垣:思った、動物も同じようなことはしてるよな。
松田:で、さらに人間による新しい知識創造と動物の進化には、その手段だけではなく目的にも違いがあるわけ。動物の進化は生物学的適応のためでしかないねんけど、
動物による新しい知識の創造の目的は個体とは関係がありませんが、人間による新しい知識の創造は個人の意志と期待に後押しされます。
中垣:そうやね、まさにそうやね。
松田:っていう話があって、そのことを考えると、YouTubeでオーディエンスウケするコンテンツ作りに精を出すのとか、キュレーションサイトのSEO対策に勤しむのってどうなん?っていう。
中垣:あー、そういうことね。はいはい。
松田:新たな知識の創造という視点から言うと、手段も目的も、かなり動物寄りの原理に基づいてると思うねん。
中垣:うんうん。まあ、かなり雑な話ではあるけどね。
松田:まず手段の点で、
中垣:うんうん。
松田:し、
中垣:うんうん。
松田:なんて言うんやろう、オーディエンスに寄せたYouTubeのコンテンツを作るのもそうやし、SEO対策とかにも同じことが言えると思うねんけど、なんか、
中垣:
松田:うーん、それって程度問題なんかな。おれの持ってる違和感としては、より質的なものな気がしていて、それについて何かしら説明をつけたいねんけど…
中垣:
松田:それはそうやな。
中垣:だから具体的にしていることがどうこうというよりは、
松田:そうやね。
中垣:でもそれを言い出すと「世の中全員死ね」みたいな話になっちゃうし…まあむずいな。
松田:そうやね。だから結局、人間の本義とはみたいな話やねんけど…
中垣:言うたらね、サラリーマンは5年10年も勤めたら同じ仕事をルーティンでこなせるようになるんだけど、それはそれでまあいいかとか言い出すと、それは犬畜生と変わらんぞ、と。そういうことを言い出したら、
実効性のあることが言いたい
松田:なんかね…例えばSEOってさ、言うたら検索エンジンのハックなわけやんか。
中垣:うんうん。
松田:でも環境をハックするって、それは犬とか猫でもやってるやんって。今ある条件に自身を最適化するんじゃなくて、
“Life has no meaning a priori… It is up to you to give it a meaning, and value is nothing but the meaning that you choose.”
– Jean-Paul Sartre
Source: goodreads
中垣:だからまあ、SEOにしろアフィリエイトにしろ、そういう最適化ビジネスのくだらなさをどう説明するかってときに、人間と動物の本質的な違いに照らすことはできる気はするよね。
松田:そうそう。
2020年8月21日
Aux Bacchanales 紀尾井町