中垣:この前
松田:はいはい。一昨日にあの全共闘の映画? あれが新文芸坐でやってたみたいやね。
中垣:あー、それおれ知らんわ。
太郎:まあおれが中高時代にもっとも影響を受けたのは三島だね。
中垣:おれは何も読んだことがないから、
太郎:おれは三島を読むまでシンプルに読書習慣がなかった中で、
中垣:はいはい。
太郎:すごく細かいところで言うと、ある小説では、中学校一年生か二年生の男の子の「おれは世界についてなんでも知ってるぞ」っていう感じで臨む態度、それをすごく上手く描いていたりね。
中垣:はあはあ。
太郎:中高生ながらに感じていた、「こういう人間ってこういうときこうするよな」とか「人間ってこういう状況でこう考えがちだよな」みたいなことを、
中垣:はいはい。言葉っていうと…作品が好きなん? それとも三島本人が好きなん?
太郎:彼自身の生き様が素晴らしくて…というのはあんまりなくて、基本的には作品だね。
中垣:はいはい、なるほどね。
松田:おれもね、太郎に言われてからちらっと文章を読んでんけど、確かになんか、
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中垣:あー、なるほどね笑
太郎:そうそう。
中垣:なるほどね。
太郎:でもその濃いのがいいって人にとっては、それが気持ちいいんだと思うし。
中垣:なんかさ、
祖母の強い希望で三島は初等科から高等科まで学習院に通った。多感な時期を過ごしたここでの時間が、三島の内面に劣等感を植え付けることになったと佐藤教授は分析する。
「乃木希典(陸軍大将/日露戦争を指揮)が院長をやっていたことの影響が学内に長く残っていたということを、三島自身も後に書いています。つまり『質実剛健』なんですね。戦前の学習院は皇族や華族が通い、平民でも高級軍人や高級官吏の息子たちが通ったわけですが、華美な学校ではなく『質実剛健』という気風のため、体の弱かった三島はコンプレックスを抱かざるを得ないところがあったはずです」
Source: NHK
太郎:うん、彼はコンプレックスの塊だね。
中垣:筋トレをするのもそれだとか言うやん? コンプレックスを認めた上でそれが原動力になるのはすごいと思う一方で、自分はちょっと…と思うところもあるのね。
太郎:うんうん、分かるよ。彼は結構特殊な環境で育ってて、
松田:なんか言うてたよな、
太郎:あー、そうそう。
松田:そんなん地獄過ぎるで。
太郎:笑 で、
中垣:そのNHKの番組で彼の書いた文章の一説が引用されててんけど、
太郎:うんうん。
中垣:で、
太郎:うんうん。
中垣:「あっ…」みたいな。
松田:そうやな笑
彼ほどの言語能力もパリピほどの素直さもないので、一生茶をしばきながら偉そうにのたまうことしかできません
中垣:「そうかあ…」とか思ってさ。
太郎:青白い文学少年だったときの自分は運動部のやつらを馬鹿にしてたけど、
松田:笑 そこまで緻密かつ自在に言葉を扱えてなおそうなんだから…
中垣:いや、そうやで。
太郎:そうねぇ。とっかかりはどれがいいだろう、軽く読める小説があんまないんだよな。
中垣:それこそ
太郎:ああ、あれもまあいいと思う。
なつき:エッセイの方がいいの? 小説の方がいいの?
太郎:うーん、どうだろう。それは読む人の読書遍歴にもよるかな、小説を読むのに慣れていれば小説でいいと思うんだけど。
なつき:なるほどね。
太郎:
中垣:
松田:笑
太郎:で、最後に復讐を果たすっていうストーリー。まあストーリー自体はどうでもいいんだけどね、おもろいよ。
なつき:なんか『金閣寺』を読んだんだけど…あれは自分のアイデンティティーを他者との関係性の中にしか見出せないっていうことを理解しつつもそれが嫌で、みたいな内容なの?
太郎:
なつき:知り合いのおっちゃんには
太郎:まあそれはそれでいいけど…でも学生が読む本ってねぇ?
なつき:「生き方に悩むのは学生までだよ」って、そういうテンションだった。
太郎:うわー、だるいな。
中垣:
太郎:そんなの死んでるのと一緒じゃん。
松田:
太郎:笑
なつき:あー。
中垣:「それが結婚」とか言いそうになった笑
太郎:まあ結婚したとて、必ずしもその精神は死なないんじゃないかとも思うけどね。
松田:いずれにしてもそれと背反な形で結婚したいとは思わないよね。
孤独は最高のラグジュアリー、理由のない単身赴任が理想の結婚生活
太郎:うん、おれは結婚しても commmon は続けられると信じているよ。
中垣:でも
松田:でもずっとそういうことにしてると、いつの間にか忘れちゃうんじゃない?
たぶん悪いことするやつって、 最初ちょびっと悪いことして、ううって思って、でも慣れて、もうちょっと悪いことして、慣れて、最後にはめっちゃ悪いことするねんけど、「まあでもこれはこれで自分なりに正義やし」とか思うようになるわけやん。
Source: commmon
中垣:そうなんかな。
太郎:笑
松田:確かに笑 主題としてあげた時点で負けてるよな。
中垣:ね。
なつき:ただ、俯瞰的な視点を持たないっていうのは羨ましくもあるけどね。モヤモヤしたときに「なんかよく分からないけど」に留めておけるというか。
中垣:まあねぇ。
松田:とは言えさ、最初から主客分離の知的な営為が無いのであれば、それはやっぱり犬畜生の生と同じなわけやし。知性を乗りこなせないからってそれを捨てるのも違くない?
c Let’s 禅
2020年11月27日
Aux Bacchanales 紀尾井町
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1969年5月13日に東大駒場キャンパスの900番教室で行われた、三島由紀夫と東大全共闘との討論会。TBS が保管していた映像をもとに『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』として映画化され、2020年3月20日に公開された。