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結婚は自由と背反なのか(たぶんそんなことはない)

1 year

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山本

中垣の大学の友達。「身近で似た境遇の人間、かつ結婚している」というザル過ぎる理由で、金曜日の仕事終わりに愛知から東京に呼び出された。
結婚を信じられない面々が、別に信じて結婚をしたわけではない先人に教えを請う回です。

中垣:例えばさ、奥さんがいるのに、すっごい綺麗な人に求愛されたらどうする?

松田:やめろよ笑

山本:そもそも、そんな超美人に言い寄られることがないと思う…今までの人生でもそんなことなかったし。

中垣:ちゃうちゃう…じゃあ言い寄られたとかじゃなくても、「これは…もしかすると今の奥さんよりもええかもしれんぞ」っていう人が、例えば同じ部署に異動してきたら?

山本:でもそんなこと言ったらきりがないからさ

中垣:いや、もちろんそうやねんけどな。

山本:ぱっと見はよくても、付き合ってどうかは分からないっていう話もあるし。

中垣:それはそうやねんけど、もしそういう状況になったら…おれならモヤっちゃうねん。「ぱっと見はよくても実際どうかは分からんし、そんなことより今の奥さんを大切にしよう」って思えるかってなると、「いやでも、ワンチャンこっちの方が…」って思っちゃうわけ

松田:それは中垣がセコい気がするで。

きゅー:笑

松田:そんなに一般化できる感覚ではないと思うな。

山本:笑 でも僕もあんまり分かんないな。そもそもどちらかというと草食だし、綺麗な人がいたら綺麗だなとは思うけど、それだけだよね。

きゅー:私は分かるよ、分かるけど…そこを超えてなお好きだと思えるかどうかじゃない?

中垣:自分は超えられんの?

きゅー:今超えてるから。

うーん、ラブい

中垣:でも婚約はしてないでしょ?

きゅー:だって相手学生だからね。

中垣:そんなん、言ってしまえば付き合ってるだけやん。もっといい人がいたらどうなるかなんて分からんやん。超えてるとは言えないよ。

うーん、嫌なやつ

きゅー:笑 でもそれはスタンスの問題じゃん。いい人が現れたとしてもそっちに流れない、って思えるかが大事じゃん

中垣:思えんの?

きゅー:うん、思えるよ。

山本:それは…どんどん大きい魚を釣っていくじゃないけど、より良い選択を追い求めていくって感じなの?

中垣:うーん、そういう明確な意識があるわけではないけど…というより、もう少し一般化すると、可能性を捨てられないんかもしれんな

山本:可能性を捨てられない…?

中垣:うん、ある意味では子供なんやと思うねん。子供って可能性だらけなわけでさ…

松田:あー、まあ確かになぁ。

中垣:シンプルに、会社を決めるとか学部を決めるとかもそうやけど、何かを選ぶっていうことはそれ以外の可能性を捨てるってことやんか。そういうのをできるだけペンディングしたいと思ってるというか…

中垣:子供の頃ってなんでもできると思ってるわけやん。「プロ野球選手になる」とか言っちゃってさ。あるいは別に高校生のときだって「ノーベル賞とる」とか、言おうと思えば言えるわけやん。

ファッションデザイナーになる、言っていましたねぇ

次郎:あー。

中垣そういう意味での可能性って、目には見えないねんけど年を経るごとにだんだんと狭まってくるやん。例えばいまさら野球選手になれるわけなんてないし。

山本:まあそれはそうだよね。

中垣:それを直視できないっていうのがあります…で、結婚もそのひとつなのかなって

松田:…そう聞くとむしろ結婚は素晴らしいものな気もするけどな。

次郎:笑

何かに取り組むときは、「おれはこうすることに決めた」って言って、その限りにおいて排他的に取り組むしかないと思うな。

Source: commmon

c 選択とその排他性

中垣より綺麗な人を選ぶ可能性を捨てたくないし、それだけじゃなくて、自分の時間を自由に可能性も持っておきたいし…これはあれなんかな、離婚してもいいやっていう発想がなくて、結婚が不可逆なことだと思っているのもあるんかな?

次郎:あー。

松田:とは言えなぁ、離婚してもいいやとか言い出したら、その結婚の意味とは?って話になるしな。

山本:僕も別に、離婚してもいいやとは思ってないよ笑

松田:ごめんごめん笑

山本:ただ、ダメだったときはそれはそれというか、極力頑張った上で仕方のないものは仕方がないっていうスタンスではあるかな。でも極力は頑張るよ笑

松田:うんうん。

山本:可能性か…でも就職するときにも思ったけど「このタイミングで選ばないといけないんだな」っていうことは、すごく思ったかな

ミヒャエル・エンデ(2007)『自由の牢獄』岩波現代文庫
Image: 岩波書店

ミヒャエル・エンデ(2007)『自由の牢獄』岩波現代文庫

中垣:うんうん。

山本:それは本当にそう思った。でもいったん決めちゃいさえすれば、それが人生の大元になるというか、先まである程度の見通しが立った上で「決まったんならここで頑張るか」って思える感じはあるかな。

中垣:あ、それは受け入れられるん?

山本:受け入れられる…というより、受け入れないっていう選択肢が具体的に浮かばないというか…

松田:まあ程度の差こそはあれ、原理的にはそうやんな。

中垣:まあそれはそうやと思う…つまり、今がどうこうというよりは、例えば定年退職するまで今の会社にいるとして、今50歳の人がやっていることを自分もその歳になったらやることになるんだなってイメージして、それでもいいやって思える?

山本:うーん、まあ定年までとは言わなくても、少なくとも10年くらいは頑張ろうと思って今の会社に入ってるし、何かしら得たい技術なりがあって入った上で、現状にそこまでギャップを感じてもいないから…って感じかな。

松田:はいはい。

山本:なんだろう、年を重ねるごとにある程度は決め打ちで選んで進んでいくしかないだろうから、それなりに興味の持てる業界でやっていけさえすれば後悔は無いかな。

中垣:うんうん。

山本:その…選択肢を失いたくないっていうのは、何かを選択することで後悔しそうってこと?

中垣:うーん…たぶんね。そもそも、選択肢が狭まること自体が本質的に避けたいことなんやと思うねん。

これは心理的リアクタンスのような単純な話ではなく、当為のみからなる純粋に理論的な理想から思考や行動を導くタイプの人間の、悲痛なピーターパンシンドロームなのです。

c 一億二千万分の一の自分と、一分の一の自分

山本:まあまあ、それが嫌なのは僕もすごく分かるんだよ。なんなら、中学生の時点での可能性の広がりをキープし続けられるんなら、それはそれでいいところはあると思う。

中垣:世の中の多くの人って、何歳くらいで就職する、何歳くらいで結婚する、何歳くらいで子供ができる…っていう、そういうざっくりとした人生の見通しを70歳くらいまで持ってるわけやん

山本:うん。

中垣:でもさ、人生は人生ゲームじゃないんだからって、すごく思うわけ。何歳になったら何をしなければいけないなんてものがあるわけじゃないし。

c 人生の蓋然性

山本:うんうん、そうだね。

中垣:でも山本って別に、世間的にそうすべきとされてるからそろそろ結婚しとこうか、みたいな感じじゃないと思うねん。にしては結婚するの早いし。そこの、ある種のポジティブな諦観みたいなのって何なんやろう?って。

松田:笑

山本別に、あんまりスタンスがあるわけではないよ。これくらいで家を買って車を買って…みたいなのも別にないし。

中垣:そうやんな。別に仕事を辞めてもいいって奥さんから言われたっていうくらいやし。

山本:まあ車は親にもらったからなんとかなっていて、もし自分で買わなければいけなかったら詰んでたって話はあるんだけどね。

中垣:てかそうか、家計とか考えてんのか。

松田:そうやで、キャッシングで自転車操業とかでけへんねんで。

次郎それは別に誰だってダメだけどね笑

はっ…

山本:うん、でもそこまでちゃんと考えてるわけでもないよ。極力使わないようにはしてるくらいで。

中垣:あー、でも山本ってそんな感じするわ。考えてるわけではないけど、別に強欲なわけでもないから大丈夫っていう。

考えていないし強欲な中垣であった

山本:あと、こんなこと言うとどう思われるか分からないけど、子供に関しては最悪でも親が助けてくれるしね。

中垣:それは親がそう言ってんの?

山本:いや、でも絶対に助けてくれるでしょ。なんとなくだけど。

松田:笑 まあそれはそうやんな。

山本:あんまり言って引かれちゃうと嫌なんだけどね。

中垣:おれは喧嘩したときにブチギレていらんって言ったな。「お前が将来困ったときはワシが~」とか言いよったから「そんなもんいらんわボケ」って。

きゅー:笑

中垣:まあ山本が特殊というか、そもそもおれとは随分違うという話はあるんだろうけど…でもそうなると、謎にポジティブなそのスタンスが何なのか気にはなる

山本:いや、分かんないけど…

2020年11月20日
新宿 ゴールデン街

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