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思索 未来

世界はフィジカル

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中垣:前さ、どこまでいっても人はこの身体が大事やから、それを脅かすことの有効性がなくなることはなくて、だからこそ軍事は存在し続けるっていう話をしたやんか。

みなと:うんうん。

中垣:そういう意味で、やっぱりフィジカルとバーチャルは違うのかなというか…

松田:そうやんな。それにどれだけハイテク兵器が発達して、派兵せずに空爆でボコボコに叩けるようになっても、そこに地上軍を送り込んで占領せんことにはその意味は無いって話もあるし。

2000年以降の戦争映画観てるとほんと感じる。ドローンによる航空支援だけじゃだめなんだよ

中垣:うんうん。ただ、いずれそのことを殊更に意識しない感じにはなっていくのかなって気はするけどな。

落合陽一(2018)『デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂』PLANETS
Image: Amazon.co.jp

デジタルネイチャーとは、生物が生み出した量子化という叡智を計算機的テクノロジーによって再構築することで、現存する自然を更新し、実装することだ。そして同時に、<近代的人間存在>を脱構築した上で、計算機と非計算機に不可分な環境を構成し、計数的な自然を構築することで、<近代>を乗り越え、言語と現象、アナログとデジタル、主観と客観、風景と景観の二項対立を円環的に超越するための思想だ。

Source: 落合陽一(2018)『デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂』PLANETS

落合陽一(2018)『デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂』PLANETS

みなと個人的にはフィジカルな世界が好き…というか、それが大事だと思っていなかったらそもそも製造業に入らないしさ。

松田:笑

中垣:鉄はやばいよな。どんな世界線でも鉄は作り続けないとあかんもんな。

みなと:まあ今の世界を前提にするとね。

松田「Googleのデータセンターの建物に使われてる鉄筋って誰が作ってるんでしたっけ」ってね。言ったれ言ったれ。

グーグル データセンター
Image: Google

Data centers – Google

太郎:笑

中垣:でもそうことやんね、確かに。

松田:サーバーだって結局はどこかしらにはあるわけやん。クラウドって言葉、サーバーにとっては不本意なんじゃないかっていつも思ってるもん

みなと:結局はフィジカルな根拠があるもんね。

松田:そうそう。Safariを使ってるときは、どこかにあるサーバーに入らせてもらってるくらいのイメージでおった方がええよ。

中垣冷却用のファンの音を心で聞かないとあかんよね

太郎:笑

中垣:あとは海底ケーブルとかも結構びっくりせん? 「え、そこに通ってるんですか?」みたいなさ。

みなと:やばいよね。

松田:プロジェクトXでも海底ケーブルの話あったわ。

NHK プロジェクトX 制作班(2012)『太平洋1万キロ 決死の海底ケーブル』(プロジェクトX 挑戦者たち)NHK出版
Image: Amazon.co.jp

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中垣:しかもまた新しく、東南アジアかなんかの方にひくんでしょ?

みなと:そうだね。

松田:KDDIのサイトでは海底ケーブル敷設で苦労してる話が読めるから、よければぜひどうぞ。

「“海上”が勤務地です!」 光海底ケーブル敷設で世界の通信網を支える – TIME & SPACE by KDDI

中垣:笑

みなと:それで言うとうちの会社にはラインパイプ営業部っていうのがあるんだけどさ、それとかもまさに、快適なブラウジングを支えるサーバーで必要な電力を作る発電所のエネルギー源である天然ガスを運ぶためのそれなわけじゃん。

松田:確かになぁ…

みなと:それに、福島から東京まで送電してるっていう事実だけでもうやばいし。

松田:それはめっちゃ思ったよな。なんぼ原子力って言っても結局はタービン回してるのも笑うし

c 【シリーズ】原発事故からの復興の現状 #5

太郎:そうなんですよ。なんか…これはすごいザルい話なんだけど、うちは半分くらいが「新しい世界を作りたい」みたいなマインドの人なんだけど、もう半分はどちらかというとその対極に振れていて…

松田:はいはい。

太郎フィジカルの世界を担保することにこそ人生のリアルを感じるっていう、それこそみなと的な人がもう半分なんだよね。「電気とかガスがなかったら…死ぬじゃん?」みたいなさ。

みなと:あー…

太郎:そういう仕事をしているときの方が確からしさを感じられる、みたいなことを言って入ってくる人も結構いて。

みなと:例えばなんだけど…別に僕は彼のこと何も知らないけど、仮に落合陽一を太郎の言った最初の半分の典型だとすると、僕はそういう人の見ている世界観にあまり自分を投影できないというか…

松田:はいはい。「Windows 95で管理されてる生産ラインのことを考えたことがあるのか?」ってね。

みなと:笑

中垣:なんかおれ、ゴミ捨てに違和感を覚えてたときがあってんな

松田:はいはい。

中垣:みんな家の前にゴミをまとめて出すわけやけどさ、あれを集めている人がおるわけやん? 「いや、それは当たり前じゃん」って言うけど、でも集めてるねんで?って。

みなと:いやー、それすごい分かるわ。

中垣:「世の中はそれで回ってるけど…それでいいの?」みたいな。それでついこないだ、Uber Eatsを頼んだときにも同じことを思ってん

みなと:はいはい。

中垣:なんか…言うたらUber Eatsっぽい人というか、ハゲ散らかしたおっさんが寒い雨の日に傘もささずに息を切らして持って来てくれたのね。

松田:こらこら。

中垣すごく洗練されたUI・UXのアプリで注文したのに来たのはこいつやぞ、みたいな。

ウーバーイーツ
Image: Apple

松田:いやー、それは確かに分かるな。

太郎:そうねぇ。

中垣:「こうやって世界は成り立っているのか…」というか、今後機械に代替されていくとは言え、フィジカルなところを担っている人はまだまだいるんだなというか。

みなと:下水処理とかにもそれ思わん?

インド 排せつ物処理 不可触民
Image: COURRIER JAPON

素手で排せつ物を処理するインド「最下層カースト」の悲哀 – COURRIER JAPON

中垣:そうそう。それこそ原発、あれとかも完全にそれだったじゃないですか。

太郎:いやー、企画してよかった。

松田:そうやんなぁ。

インドでバックパッカーやるより価値観変わります

中垣だから気持ちは分からなくもないよ、山奥に引きこもってコミューン作って最低限の食物だけ作って…っていうのは。そういうところに敏感になるとどうしてもそうしたくなっちゃうと思う。個人的には肯定はしないけどね。

中垣:でもさ、山奥に住むんなら人間である必要がないよね。犬にでも生まれたらよかったやんって話やん。

松田:ほんま、ほんまそれやねん。ああいう豊かさを志向しない感じがおれはすごい嫌いやねん。

中垣:「猿にでも生まれたかった」って言うんなら、まあええねんけど。

河東:かと言って人間ではありたいし、セックスもしたいわけやん。

Source: commmon

c 「社会人」「シュタイナー教育」「オーガニックマザー」

みなと:気持ちは分かるね。

2021年1月31日
Aux Bacchanales 紀尾井町

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RQ-1 プレデター
HeaderImage: Wikipedia

アメリカ空軍の無人航空機、プレデター。主な任務は偵察やヘルファイアミサイルによる対地攻撃で、1995年の配備以降ボスニア、アフガニスタン、パキスタン、イラク、およびイエメンで作戦に参加している。
機体の操縦は衛星経由でアメリカから遠隔で行うため、操縦者は人間を殺傷することへの実感を持ちにくく、また日常と戦場とを頻繁に行き来する生活を送ることになり、それらが大きな精神的ストレスにつながるという問題が指摘されている。

RQ-1 プレデター – Wikipedia