中垣:なんて言うんやろう、
松田:あー、はいはい。
中垣:それこそ、今この壁に貼ってるポスターとかもそうやねんけど、
松田:うんうん。
外苑西通りからちょっと入ったとこにある、とてもナイスなカフェ
中垣:古いし、角は破れてるし、なんか斜めってるけど、もう何十年もそのままなんだろうなみたいな、そういう感じ。あるいは実家にずーっと飾ってあるどうでもいい絵とかも同じで、
松田:経緯の重みがあるよね。
中垣:そうやねん、経緯がそれに正当性を与える感じ。そういうのってあるよなって。
松田:うんうん、確かにね。
中垣:だから
自分の部屋に貼ってるクパチーノの地図を思い出しながら
松田:なんか服とかもそうやけど、
中垣:そうそう。例えばこの一角の、ケーキケースに直接陽が当たらないように適当な布を適当に掛けただけのはずやのに、
松田:確かにこれはやってできるもんではないな。無理にしちゃうと、なんか意味分からん感じの“““あえて”””になっちゃうと思う。
中垣:そうそう。それで今日すごいと思ったのが、さっき
Kunichi Nomura 野村訓市 – Instagram
松田:はいはい。
中垣:あんなんよく作れるよな。別に、いわゆるおしゃれの正解は何も満たしてへんやん。後ろの富士山とか、
松田:これ、わざわざ高いお金を払って内装やってもらったと思うと笑いそうになるけど、でもお金払わんと絶対にできひんよね。
中垣:あとは彼、ブレックファストクラブっていうお店を目黒でやってて…まあ彼の友達のタレントとかモデルばっかくるから、パンピーが行っても普通に居心地悪いだけの店やねんけど。
松田:そうなんや笑
あー、これは来世の課題
BREAKFAST CLUB Tokyo – Instagram
中垣:店員が愛想悪いとかじゃないねんけどね。でもそこのお店もすごくて、アメリカンダイナーというか
松田:はいはい。
中垣:ほんまにすごいと思うよ。エンドツーエンドって言うとあれやけど、もしあの感じを言語に落とし込もうとしたらすごく大変やねん。
松田:うんうん、なるほどな。
中垣:壁紙とかも「この壁紙にしたらその感じになるってよくまあ分かったな…」って感じやねん。これはおれには選べないよ…
BREAKFAST CLUB Tokyo – Instagram
松田:うわ、すご…
中垣:もちろん今までにどこかでこういうのを見てたんやとは思うよ。だとしても、
松田:いやー…確かにな。そういうことね。
中垣:彼のやる内装はこういう感じにあふれてるねん。すごい年季が入ってる感じ、まさにそうであってしかるべき感じがあって、しかも彼は、ただただ経験からくる勘であれができちゃってるわけ。
松田:なるほどね。
中垣:それで思うのがさ、年季とかそういうのって信仰っぽいというか、野村訓一の手がける内装みたいに
松田:はいはい。
中垣:だから仮にここみたいなカフェが、新しくできた虎ノ門ヒルズにあってもいいのかって話になると…まあ基本的にはそれでも全然OKなわけ。
松田:まあそうね。
中垣:でも
松田:はいはい。
中垣:もちろん、虎ノ門ヒルズのそれにはそれの良さが見出せると思うねんけど、一方でまさにここにあるリアルなこれにしか見出せない良さもあって、それが年季とかそういうことやと思うねんな。なんかこう
松田:うんうん。
中垣:まあ元も子もないことを言えば、これが虎ノ門ヒルズにあったらそこにあることで新しいものだと認識できちゃうけど、仮に
松田:うん、おれは普通にそう思ったな。そこまでの道のりなり周りの雰囲気も含めてのそのお店やから、そういう意味で全く同じような年季って再現できないし、逆に新橋駅前ビル的なやり方で再現できるのなら、それはもうそれでええと思う。
中垣:まあそんな気はするよな。
松田:だからおれは
Product Introspection: DRY DENIM® – visvim
中垣:まあそんな気はするよな。
松田:もちろんクオリティは大事やで。なんちゃってレトロみたいなやつはただただ死ねとしか思わんよ。
中垣:
松田:うん、それはそう思う。加工物も結局はオリジナルがあってこそ作れるわけで、
だから全部博物館行きでいいです
中垣:そうやんね。
松田:それこそ例えば、今日本にある建物を全部壊して、その上で理想的に年季の入ったヴィンテージ風建物でリプレイスしちゃうと…まあ今度はそれのエイジングが始まるからそれはそれでいい気もするけど、でもいったんは理想によって漂白されちゃうというか、
回帰直線はそこから外れたサンプルを否定するものではないというのと同じ雰囲気ですね。
中垣:そうやんな。だから…じゃないけど、新築の家にヴィンテージ風木材のアイアン家具みたいな、あれがほんまに意味分からへん。
松田:はいはい。
中垣:ヴィンテージ風の家具とかはね…もちろんvisvimのドライデニムくらいのクオリティでそれが再現できてたらええねんけど、それよりは普通に中古の家具を買う方が安いし物もええねん。
松田:なるほどね。
中垣:
松田:のっぺりしちゃいそうやもんね。おれの部屋とかもそうやけど、
中垣:そうそう。
2021年2月11日
外苑前 J-COOK
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ロンハーマン千駄ヶ谷店の店内レジ横にあるコーヒースタンド。店内はわずか2席のみ、コーヒーは一杯100円でおかわりが自由。バリスタ自らが修理をしながら使っているヴィンテージのエスプレッソマシンによる、オリジナルブレンドのエスプレッソドリンクが楽しめる。