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ライフハック 思索

サウナなぁ…なんか違和感あるんだよな

3 years

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みなと:昨日会社の同期とサウナに行ったんだけど、そのしばらく前からサウナエクスペリエンスが終わっちゃっててさ…

松田:エクスペリエンスが低下してるとは前々から言ってたよね。

みなと:そう。それがもう底に落ちたというか、行かなきゃよかったと思うまでになっちゃったのね

松田:はいはい。

みなと:まあ言い訳はいろいろとあって、昨日はまず笹塚の銭湯のサウナに行こうとしたんだけど、そこが混んでいたせいで入れなくって、しゃあなしマルシンスパに行くことにしたんだけど、こっちもこっちで並んでたのね。

天空のアジト マルシンスパ – サウナイキタイ

天空のアジト マルシンスパ

松田:あー、なるほどね。

みなと:で、また移動するのもあれだから待って入ることにしたんだけど、入ったら入ったで中もめちゃめちゃ混んでて、90分で入ったんだけど3回目の途中で時間に追われる感じで出たの。

松田:あー、もう全然嫌やん。

みなと:そう、「これは…なんなんだ?」みたいな感じになっちゃって。で、それについて後から同期と二人で話し合ったのね

松田:はいはい。

みなと:それで結論としては…いわゆるご熱心な方々って、形式美的なことを結構大事にしているというか、自分なりのセットを回して気持ち良くなることを大事にするじゃない。

“““ご熱心な方々”””

松田:うんうん、そうやんね。

みなと:でも、やっぱりそれじゃだめだと。これは自分のエクスペリエンスなんだから、もっと自分に根ざしたものにしなければいけないって話になったのね。

松田:笑

みなと:だからサウナ室の中にいる時間が5分だとか10分だとか、そんなことはどうでもよくて、もっと自分と向き合わなければいけないよねって。

松田:うん、うんうん。

みなと:あとはその日、人が多かったのもあってうるさかったんだよ。サウナ室を出たところでもうるさくて、それもあんまり良くなかったんだけど…でも、それもやっぱり言い訳でしかなくて、本当に自分のことに集中していれば周りなんてどうでもいいはずだと。

松田:笑

みなと:そういう反省を踏まえて昨日もサウナに行ったんだけど、時間制限のない銭湯だったからじっくり楽しめたというのもあって、今までで最高のサウナエクスペリエンスをすることができたんだよ。それで…そりゃそうと言えばそうなんだけど、サウナで大事なのは形式じゃないんだよ、というかさ。

松田:はいはい、なるほどね。重要なのは形式ではないという思想のもと、サウナにおける具体的な行動はどう変わったん?

みなと:えっとね、まず時計を一度も見ていないね。

松田:おお、それは偉いな。

偉いが褒め言葉、傲慢である

みなと:あとはね、サウナに入ってからはひたすら暑さと向き合って、「もう今出ないと」っていう瞬間をひたすらに待ち続けてた。

松田:はいはい、なるほどね。

みなとその瞬間だけを待ち続けて、それがやって来たら迷わず外に出て水風呂に入って…って感じだったね。それが一番良かったよ。

今ここの一刹那には全宇宙が顕現しており、それを捉まえることこそが人生の真相なのです。まじで。

独尊者はいつも現在の刹那において過去から未来へ躍り出る。彼は現在の一刹那において黒暗暗の真只中を切り抜ける。此一飛躍の中で所謂る「過去の歴史」なるものが、溌剌たる生気を取り返すのである。

Source: 鈴木大拙『時の流れ』

鈴木大拙 『時の流れ』

松田:いやぁ、それはすごくいいな。そもそもあれはある種のメディテーションなんだから、自分のフィジカルに向き合うことこそが大事やもんね。

みなと:そうそう。だからご熱心な方々が彼らのやり方で楽しむのはそれは勝手なんだけど、昨日のサウナは僕にも同期の彼にとっても明らかに効用が高くて、終わって出てきたときはこれ以上は望みようがない、今が一番ピッタリきている感じがあって、すごく気分が良かったね。

松田:うんうん。

みなと:だからもっと…ただのサブカルチャーではない、フィジカルとマインドの一致のための積極的な手段として勧められるものなのかなっていう気はした。

松田:うん、やっぱりそうやんな。ここは温度がどうとか水温がどうとか、言うたらそんなんどうでもええねん。

みなと:そうなんですよ笑

松田:ホームサウナがどこそことか言ってるやつには一回黙ってもらいたいよな。最低限サウナでありさえすれば、あとはおれらがエクスペリエンスを迎えにいけばいいし、そこにこそ意味があるような気がするもん

一番好きなサウナ? グランドハイアットです

グランドハイアット東京 スパ
Image: NAGOMI SPA AND FITNESS

NAGOMI SPA AND FITNESS

みなと:そうだよな。

松田:あとは90分で出ることを意識するのとかだるいし、行くなら銭湯のサウナでいいよ。

みなと:絶対そっちの方がいいよな。安いしさ。

松田:ただまあね、言いたい放題言った後であれやけど、ご熱心な方々がどういう内容を発信しているのかはちゃんと知ってみてもいいかもしれないね

https://twitter.com/totonoeoyakata/status/1235201484670693376

札幌に異能の才、「ととのえ親方」の極楽サウナ道 – 日本経済新聞

【サウナ対談】「死を意識したら、自分のやっていることの意味のなさに気づいた」(佐渡島庸平×箕輪厚介) – 新R25

みなと:うん、それはそうだね。それで言うと「ととのう」ってよく言われるけど、みんながどういう意味であの言葉を使っているのか、いまいちよく分かってないんだよね

“Who is John Galt?”説がありますね…

c 『肩をすくめるアトラス』の一番いいシーン

松田:各々のごく主観的な体験を雑に括ったせいで、何言ってるかよく分からんみたいな感じになっちゃってるよね。

みなと:そうなんだよ。だからそこも含めて、ご熱心な方々の言っていることを聞いてみてもいいかもしれない。

松田:案外いいこと言ってんのかもしれんしね。

みなと:でもまあさ、今のサウナブームもそうだし…他にも筋トレとか、あと瞑想のザコいやつってなんて言ったっけ?

松田:“““マインドフルネス”””ね笑

みなと:そうそう。そこの3つって奇しくも同じタイミングで出てきているし、そこで得られる効用もだいたい同じ感じというか…

松田:うんうん。

みなと要は今の時代的に、我々がバリューを発揮できる気はするっていう

松田:笑 数歩先には禅がいるって話ね。

c TikTokは禅への序章

みなと:そうそう。

松田:でも確かに、もうちょっと突っ込んで言い得ることはある気がするというか…おれさ、小学生の頃からずっと毎朝瞑想をさせられててんけど、これは結構よかったのね。

みなと:うんうん。

松田:シンプルに効用があったから、大学で上京するまではずっとしててん。試験がある日とかも、朝に瞑想をするとしないとではパフォーマンスが全然違うし。

みなと:うんうん。

松田:あとは大学に入ってからも…これはもはやネタとして何回も言ってるけど、野矢茂樹と二人で座禅するみたいなこともしてたし

patagoniaのバギーズ履いて行ったら「座禅に最適な服装ですね」って言ってました

野矢茂樹 – Wikipedia

みなと:あー、言ってたね。

松田:それでやねんけど、そこで得られる、二元的な乖離がなく自分が今ここにいる感じって、どこまでも主体的でソリッドで盤石なものだったの。

みなと:はいはい。

松田:なんかそれと比べると…サウナとか、あとはランニングした後の感じとかにも思うのは、確かに質的には近しい体験ではあるねんけど、なんかこうパッシブに過ぎる気がするねん

みなと:あー、なるほどね。

松田:その点でもみなとが言った「おれが掴みにいくおれのサウナエクスペリエンス」は、ええと思ったな。

言ってない

みなと:確かにそうだね、自分で掴みにいく感じはかなりあったよ。

松田:だからまあサウナでも何でもいいけど、ああいうフィット感を得ることが目的のそれは、主体性と積極性が要求される点が強調された方がいいんじゃないかと思うねん。

みなと:うん、そうだよね。サウナってかなり環境ありきなところがあるから、どうしても受動的になっちゃうんだけど、より主体的に経験しにいかないとダメだよね。

松田:せやねん。サウナ室と水風呂は、幼稚園児が箸の使い方を練習するためのガイド、あれと同じものでしかないねん。あくまでそれは補助線であって本質はそこにはないし、しかもかなり漸近できちゃう補助線だからこそ、それをもって体験の本質だと思ってしまうんだけど、でもそれは間違ってるねん。

みなと:確かにね。

松田:それこそ禅では、月を指す指をもって月だとしてはいけないって言うねんな。おれの言いたいのもそういうこと。

自己の体験というのは、直接に事実に到ることを言い、それが何であろうと、いかなる媒介をも介さないのである。禅が好んで用いる比喩がある。月を指すには指が必要である。だが、その指を月と思う者はわざわいなるかな。魚を持ち帰るには籠が重宝である。だが、魚はもうちゃんと卓上にあるのに、なんでいつまでも籠を気にすることがあろうか。ここに事実がある。取り逃がさぬように、素手で捕まえようではないか。——こう禅は提唱する。

Source: 鈴木大拙(1987)『禅』ちくま文庫

鈴木大拙(1987)『禅』ちくま文庫

みなと:うんうん、なるほどね。ただ補助線の強さで言うとさ、サウナってかなり強めの補助線なわけじゃん。それと比べると瞑想とかはかなり弱くて、だからやりにくいというか、本当に興味のある人しか手を出さないっていうのはあるよね

松田:まあ確かに、ちょっとやっただけでは報酬が与えられないからね。

みなと:そうだよね。

松田:でも…じゃないねんけど、ちょっと前にアクア東中野に行ったとき、あそこってかなり暑くて冷たいのに何も考えずにいつも通りに入っちゃったせいで、座ってぼーっとしてるときの感覚が、かなり ピー に近しいものになってんな。

アクア東中野 – サウナイキタイ

みなと:笑

松田:つまり何が言いたいかって、サウナは補助線としては確かに強力なんだけど、でも ピー をして悟ったとか言ってるやつがとんだ考え違いをしているのと同じで、サウナでととのったからって、明日からの日々が変わらなければ意味は無いって話

みなと:確かにね。

松田:だからサウナをもって「ととのう」とか言ってるのって、手前も手前の話やんなとは思う

みなと:次の一歩に繋がっていないよね。確かにそれはあるね。

別にサウナでもいいし、サウナじゃなくてもいいんだよ

2021年3月7日
Aux Bacchanales 紀尾井町

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