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TOKYO ゴシップ 建築

賃貸と街の話

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松田住むとこの選び方ね…おれは赤坂に住む直前は、それまで住んでいた駒場の部屋を引き払って、一ヶ月ほど実家に戻ってたのね。

西川:あ、そうなんだ。

松田:当初はそこから、母親と二人で3~4ヶ月かけて世界一周旅行に行くつもりやってん。

西川:え、すごいね。楽しそうじゃん。

松田:…やねんけど、実家にいたある日、車で移動しながら見た車窓の風景に、なんかすごく萎えちゃったのね。

西川:はいはい。

松田:もちろんタヌキとかキツネみたいな田舎ではないんだけれど、でもごくごく凡庸な地方都市で…なんて言うのかな、人が少ないせいで街に多様性がないのね。どうでもいい学習塾とどうでもいい飲食店とどうでもいいフィットネスクラブしかない感じ?

西川:あー…

松田:で、車窓に映るそういう光景を見ていると心が腐っていく気がして、その日家に帰って「やっぱ世界一周旅行辞めにするわ」って言ったのね。そのために仕事を辞めた母親には申し訳なかったけどさ。

西川:え、やばぁ…

中垣:このあいだ彼女とドライブに行ってんけど、郊外にドライブに行って帰ってきたら「東京大好き❤️」って気分になんねんな。

河東:ほうほう。

中垣:それがなんでかって話やねん。よく言ってるけどさ、自分とは無関係な人が大量にいて、その人達が何かをしてるんだろうなっていう期待を部屋で一人感じている瞬間がすごい好きやねんけど…

Source: commmon

c やっぱり東京が好き

松田:で、すぐに新しい部屋を決めて東京に戻って来てんけど、そのときは人が少なくてその営為に多様性がない地方都市に対するアンチテーゼとして、スーモのなぞって検索で赤坂一帯をぐるっと囲んで、その中で一番安いとこを選んだね。

西川:なるほどね。

松田:あれは住むところの決め方としてはすごくしっくりきたよ。当時はセンチュリーとファントムができるだけたくさん走っているということが、唯一にして最重要のパラメーターやったから

資本を感じたかった

西川:でもそうだよね。あれもこれもって言ったらきりがないから、「これは絶対嫌」とか「絶対こうじゃないと」っていうのを基準にした方がいいよね。

松田:あるいは中垣みたいに内装がどうとか家具がどうとかって言う人は、物件の条件を定量的に比べられなくて最後は雰囲気で選ぶことになるから、とにかく数を見るしかないよね。

西川:そうか、それが楽しいっていう人もいるんだね。

松田:今住んでるところだって、床が気に入らないからってオーナーに黙って全部剥がして、ほんで自分の好きな具合に塗ってたもん。

西川:おおお…

松田:去年の年末はそれに付き合っててんけど、最初は茶色に塗って完成したはずやのに、なぜか「ちょっとちゃう気がしてきた」とか言って、一週間後には艦船の甲板みたいなグレーに塗りつぶされたっていう…

西川:すげぇな笑

松田:あとは窓の曇りガラスが嫌で、それは透明のガラスに変えるって言ってた。賃貸でそこまで頑張れるのはすごいよね。

西川:でもそこまでこだわるのに、よく1〜2年で出て行こうと思えるね。

上京してからの数年で7〜8回引っ越してる

松田:まあ飽きちゃうんじゃない? 1〜2年かけてその部屋でできることは全部試して、やることがなくなる頃に引っ越すんじゃないのかな。

西川:はいはい。

松田:西川はそういうのないの? てか引っ越すとかなんとか言ってるけど、こだわりが全くないのであれば今の部屋にずっと住んでたらええんちゃうん?

c 東京一人暮らしちょい豊かテク

西川:いや、実際そうなんだよね。ただ、私は地方を知らないことにちょっと負い目があって、せっかくフルリモートができるんだし思い切って地方に引っ越してもいいかなとは思っていて。

松田:さっきのおれの話聞いてた? 地方なんて知らなくていいよ

地方創生にたずさわる全ての関係者にお詫び申し上げます

c 東京でしっくりきていない人を地方に移住させるには

西川:今までは、旅行で地方に行っても「車無いと生きていけないとかやば…」くらいにしか思ってなかったんだけど、「それは逆に東京がやばいんだよ」って人から言われて、確かに東京のことしか知らないし、それはそれでちょっとダサいなって思って。

松田:でもどうやろう。面積の話ならともかく、人口で言えば日本にいる人の三分の一は首都圏に住んでるから、西川が思うほど何かを知らないということもない気はするよ。

日本における首都圏(しゅとけん)とは、主に首都圏整備法第2条第1項および同施行令第1条に基づいて「首都圏」と定義された、東京都およびその周辺地域である茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・神奈川県・山梨県の1都7県を指す。特に東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県の総人口は約3500万人に達し、日本の人口の約30%を占める。

Source: Wikipedia

首都圏 (日本) – Wikipedia

西川:まあ東京は好きだよ。いろんなとこに行きやすいし、今住んでるところは近くに大きい本屋もあるし。

松田:じゃあ東京でええやん。

西川:まあ…とは言え更新前は悩んじゃうよね。松田は今は阿佐ヶ谷でしょ、住んでみてどう?

松田:あー、阿佐ヶ谷はいいよ。豊かな都市の条件について述べた、ジェイン・ジェイコブズの『アメリカ大都市の死と生』っていう本があるねんけど、まさにその文脈で阿佐ヶ谷は最高に豊かな街やね

ジェイン・ジェイコブズ(2010)『アメリカ大都市の死と生』鹿島出版会
Image: Amazon.co.jp

c ジェイン・ジェイコブズ(2010)『アメリカ大都市の死と生』鹿島出版会

ジェイン・ジェイコブズ – Wikipedia

西川:へー。

松田:『アメリカ大都市の死と生』と対照させながら阿佐ヶ谷を褒めちぎることはまた機会を改めてしたいと思うねんけど…とりあえず阿佐ヶ谷のいいところを簡単に箇条書きで言うと、まずは車道が強過ぎないのがええね

西川:はいはい。

松田:車道が強いっていうのは、例えば六本木の、六本木通りと首都高の存在感が大き過ぎる感じとか、あるいは表参道の、片側2車線かつ中央分離帯のある車道のせいで、あちらとこちらの心理的距離が大きい感じやんな。あれってあんまりピースフルじゃないやん。

西川:あー、うんうん。なるほどね。

松田:でも阿佐ヶ谷は、確かに駅から南北に伸びる車道はあるねんけど、そこには横断歩道がたくさんあるし、夜になると車通りが激減するしで、最低限の車の便は損なわれておらず、かつ車が歩行者の邪魔をする感じもないのね

西川:はいはい。

松田:他には、暗渠がいっぱいあって、住宅街の道が入り組んでる感じも好きやね。心象的にはこう…スポッとはまる場所があるというか、全てが前面に晒されている感じがなくて落ち着くのね。街の表情に陰影があるのがいいよ。

河東:ちょっと話戻るけどさ、普段からそのこと気にしてたら、タバコ吸える場所探すの上手なってこん?

松田:笑

中垣:ありそうな感じが分かるようになるよね。「壁がずっと続いてるのに途切れてる…ほら駐車場」みたいな。

河東:「屋根もあって、建物の持ち主にも怒られなさそうな謎のスペースがあるぞ」とか。

松田:笑

中垣:なんやろうね、あの身体をはめ込むような心地よさというか。

河東:分かる分かる。

中垣:しかもあれは人目がないと得られへん感覚やんね。「こんなところで吸っちゃうの?」みたいな目を逃れて身体をはめ込む快感。

Source: commmon

c やっぱり東京が好き

西川:はいはい、なるほどね。

松田:あとはね、風呂トイレ共用の「〇〇荘」みたいなやつと、ロバート・キャンベルとか爆笑問題の太田の住んでるようなでかい家が、エリアを分けずに隣接してるねんな。

西川:あ、そうなんだ笑

松田:すごくピースフルやね。みんなが一緒に暮らしていて、松濤みたいな排他的な雰囲気がないのよ

阿佐ヶ谷駅前のスーパーはSEIYU・イトーヨーカドー・紀伊國屋の三択です

西川:うんうん。

松田:明らかに治安がいいのもポイントやな。変な夜のお店とかないし、かなり夜遅くになっても人通りがあるし、昼と夜で街にいる人種がそんなに変わらないと思う

西川:えー、いいね。

松田:飲食店がやたらとあるのも気に入ってるな。普通のご飯を普通に食べるための飲食店がたくさんあって、どこもそれなりに賑わってる。あとはなぜか商店街が常に賑わっていて、特に休日なんかは「ここはどこの表参道ですか…」って感じやね

西川:笑

松田:さらに細かいところやと、駅前の本屋が盤石なのもいいよ。岩波の品揃えもそこそこありつつ、朝9時から夜24時まで営業してねん。

まともな本屋は岩波の取り扱いが多い、常識ですよね

岩波、初の直木賞受賞作を返品可で出荷 – 日本経済新聞

西川:え、それすごくない? それはいいね。

松田:家賃もそこそこ安いしね。

西川:なるほどねぇ。

松田:ただ、やっぱりおれは資本が投下されまくった高層ビルが大好きやから、その点たまに心が苦しくもなるけど、そのときは「でもロバート・キャンベルも住んでるし」って思うことにしてる。

西川:そんなに近くに住んでるの?

松田まじでめちゃめちゃ近くに住んでる。引っ越しを中垣に手伝ってもらった帰り、「そこが彼の家やで」って言おうとしたらまさに出てくるところで、中垣はわざわざ車停めて「やっぱりめっちゃおしゃれやな」って言いながら見てたわ。

西川:笑

松田「メディアに出るときのトラッドなスーツ、あれは全然世間に寄せてる方やってんな」って。

2021年2月28日
Aux Bacchanales 紀尾井町

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阿佐ヶ谷
HeaderImage: 幻冬社 GOLD ONLINE

JR中央線阿佐ヶ谷駅前の広場。1922年に駅が開業し、関東大震災によって被害を受けた人々が都心から郊外へ移動するなか、阿佐ヶ谷周辺でも宅地化が進んだ。
駅南側のパールセンターや北側のスターロード商店街をはじめとする商店街が数多く存在し、チェーン店から老舗の和菓子屋まで、さまざまな店舗が軒を連ねている。

中央線の大本命「阿佐ヶ谷」個性派ぞろい…一般人は住めるか? – 幻冬社 GOLD ONLINE