松田:アテリエで買ったこれ、
Antony Paris – gallery atelier
中垣:うん。
松田:それをさらに一歩攻めてんけど…
中垣:うわ、すご。
松田:まず硫化してたのを全部落としてピカピカにして、それに24Kメッキをしてん。ちなみに24Kメッキやけど、そのサイズなら即日仕上がりで440円っていう。
中垣:そんな安いん?
松田:メッキの膜ってめちゃめちゃ薄いからね。
太郎:へー。
中垣:じゃあその代わりすぐなくなるんや。
松田:そうそう。ほんでキンキラキンになったのをまた磨いて、出っ張ってる部分のメッキは全部落としてん。
中垣:笑
松田:だからね、こういう細かい隙間にだけ金が入ってるふうになったっていう。
中垣:でもそれちょっといいね。
松田:奥行きがある見た目になるよね。コンセプトとしては
中垣:はいはい。なんか前にさ、ビームスで買ってた複雑な感じのやつあったやん。紫かなんかの石が付いてたやつで…
松田:あー…ビルウォールレザーのクラウンリングか。
Bill Wall Leather / オールドクラウン リング with 18k gold&amethyst リミテッド – BEAMS
中垣:なんかあれに似てるというか、
見た目が全然美味しくなさそうだからこそ、さすがに中身はまともなんだろうと思わせてくれるメニュー@オーバカナル
松田:なるほどね笑 とにかくすごい綺麗に色が出たから、結構満足してる。
太郎:ふーん。
もう飽きて次の加工しました
松田:ちなみにメッキの色、グリーンメッキなる変態カラーもあるから、それにしたらほんまにスカラベの見た目に仕上がるんじゃないかとも思ってる。
中垣:てかこれ、コンセプトとして黄金虫を目指してるん?
松田:…確かに、別に目指してるってわけではないな笑 あ、
中垣:それは前に言ってたところ?
松田:そうそう。そのメーカーの店舗が御徒町にもあるねんけど、そこは金とかプラチナのチェーンがたくさん置いてるねん。
中垣:はいはい。
松田:まあ今まではワックスコードで首に下げてたけど…どうしても心が弱いというか、やっぱり金のチェーンにしようと思って。
太郎:笑
とりあえずスペック高いの選んじゃう病、あるいはハーゲンダッツでバニラを選べない病
松田:で、候補にしてたチェーンを並べて見せてもらってたわけ。そしたらお店の人が
中垣:ほうほう。
松田:それで渡したら、宝飾鑑定用の10倍のルーペでまじまじと見てて。どうやら彼としては、
中垣:あー、はいはい笑
松田:そのメーカーの製品もそうやねんけど、普通のチェーンって製鎖機っていう機械でダーっと作ってるねん。
中垣:あれでしょ、
松田:そうそう。まあそれがフィードに出てくるの、決して全員ではないねんけどね笑
太郎:おれは見たことないね笑
松田:あの機械って、丸線をセットしてそれを切って丸めて繋いでて、彼が普段扱っているチェーンもそうやって作られてるわけやん。ただもちろん、シェーヌダンクルがそうやって作られているわけではないのは明らかで、その上でどういう作りになってるのか、そこが気になってたみたいで。
中垣:うんうん。
松田:それで「やっぱこれキャストか…」とか言っててん。ただその人いわく、
中垣:そうなんや笑
松田:というのもさ、キャストで作ろうと思ったらゴム型が上下に分かれるから、どうしてもその合わせ目の部分にずれが出るとか…
太郎:あー。
松田:あとは型の中にワックスを注入するとき、端の方まで均等に行き渡らずに変なヨレみたいなのが出たりもするねん。
中垣:はいはい。
◆キャスト(鋳造)作業工程の流れ:ロストワックス精密鋳造 – 井島貴金属精錬株式会社
松田:でもそういう痕跡は一切ないし、あとはロー目って言って、ロー付けに使うロー材は母材より融点を低くするために組成が違うから、その部分だけ色が変わったりすることもあるねんけどそれも全くないし…って。
中垣:うんうん。
松田:あとは、最近これを着けているお客さんが何人かいて気になっていたけど、手に取ったのは初めてやって言っててん。だから、今流行ってるエルメスのブレスレットで、定価は大体20万円くらいやってことを話してんな。そしたら
中垣:あ、なるほどね。
松田:
太郎:へー。
中垣:そういうことね。じゃあもう、まさに理想的なハイブラの姿やん。
松田:そうそう。それでおれは気付いてしまってんけど…
中垣:え、なんで?
松田:だって作るの大変やん。
うーん、ケチ
中垣:あ、そうか笑
松田:
中垣:なるほどね、確かに笑 でもさ、それならPMとかはどうなん?
松田:これはまだちょっと確信持ててないねんけど…少なくともTPMは、もしかするとPMも、あのコマはキャストじゃない気がしてるねんな。
中垣:あ、そうなんや。
松田:コマに歪さがあるねん。あのコマは丸線を手で曲げて作ってるような気がするで。
中垣:そうやって作るとどんな感じになるん?
松田:なんかね、Rの感じがコマごとにブレてる気がするねんな。あとは
中垣:あー、確かにここフラットやもんな。
松田:あとはそれこそMMがお得じゃないけど、TPMのコマを全部キャストで作ると死ぬほど手間がかかるし、精度が出せなそうやん。
中垣:なるほどな。まあでもちょっと…あれやんな、
松田:というと?
中垣:
松田:そらそうやな笑
中垣:それを綺麗に繋ぐのにわざわざ手間をかけてると考えると、まあ道楽っぽいよなとは思うで。
これがちょうどいいってことで
Hermes Skipper Bracelet – SOLIFESTYLE
松田:まあ確かにね笑 なんしかその人は、ほんまにまじまじと見てたわ。
太郎:どう繋げるのかが気になる人にとっては、なんかめちゃ楽しそうではあるね。
中垣:でも3Dプリンターならね…
松田:そうやんな、
中垣:金属が出力できる3Dプリンターはあるけど、シルバーはどうなんやろう。でも密度とかがあれか…
松田:まあなんて言うんやろうな、その人の目の付け方がおもしろかったというか…企業秘密を暴いてやるみたいな勢いで見てるのね。
太郎:笑
松田:で、少なくとも新品のときから製作方法をうかがわせるような特徴はなかったですよって言ったら、「そりゃね、そんなんあったら真似されちゃいますもんね」って。
太郎:笑
松田:まあチェーンひとつ作るにしたっていろいろとシークレットはあるというか…そのメーカーの工場の人へのインタビューみたいなのを読んだこともあるねんけど、工場の機械の写真はNGって書いてたもん。なんかそういう感じやねんなって。
中垣:はいはい。
松田:あー、多層球?
以心伝心☺️
中垣:そうそう、なんか入れ子になってるやつ。あれって職人とかがルーターで作ってんのかな?
松田:そもそもあれめっちゃ歴史あるくない? なんか故宮博物館とかにもあるやん。
中垣:あ、そうなんや。
展示のフロアの名前がもうね…
松田:あれはきっと全部手作業やんな。
中垣:シルバーであれを作ろうと思ったら…ほぼ無理やんね?
松田:まあシルバーはそもそも素材が柔らかいからね、あんな綺麗な仕上がりにならない気がするけど。
中垣:あー、そうか。
松田:しかし象牙多層球ってね、なんか…中国怖いわぁとか思うよな。
太郎:笑
中垣:まじでこれどうやって作るんやろう。やば過ぎるよね。
松田:だからやっぱさ、皇帝がおる国じゃないと作れないよね。
中垣:そうやんな。
太郎:笑
2021年5月2日
Aux Bacchanales 紀尾井町