松田:今日はね、ちょっと
中垣:あー、親のね笑
松田:そうそう。まずは前提からやねんけど、前に親からメッセージがきて、その内容が「ワクチンなんか打たへんよな?」みたいな感じやってんな。
中垣:はいはい。
松田:それで、最初は彼女のノリがいまいち分かってなくて、「ワクチンなんかまだ打たれへんよな?」みたいな話かと思っててんけど、話しているうちに、
中垣:うんうん。
松田:それで「陰謀論的なことを言ってんの?」って聞いたら、
中垣:笑
焚書坑儒をした始皇帝の気持ちが分かった気がする
松田:もうさ、なんならその言い方からして結構しんどいわけやん。大学一年生の「『カラマーゾフの兄弟』は読んだ?」のノリで言ってくるねん。
中垣:はいはい笑 だからあれでしょ、「まだ東京で消耗してるの?」ってことでしょ。
松田:あー、そうそう。それが普通かのように見せかけて既にマウントとってきてるあれ。ほんで「しんど…」とか思って
『シオン賢者の議定書』(シオンけんじゃのぎていしょ、英: The Protocols of the Elders of Zion、露: Протоколы сионских мудрецов)は、「秘密権力の世界征服計画書」という触れ込みで広まった会話形式の文書。1890年代の終わりから1900年代の初めにかけてロシア語版が出て以降、『シオンの議定書』『シオン長老の議定書』とも呼ばれる。この記事では「議定書」とも省略する。
内容はユダヤ人が世界支配するという陰謀論であり、ヘンリー・フォードやヒトラーなど世界中の反ユダヤ主義者に影響を与えた。結果的に国家社会主義ドイツ労働者党政権のドイツにおいてユダヤ人の大量虐殺(ホロコースト)を引き起こしたともいえることから「史上最悪の偽書」、「史上最低の偽造文書」ともとされる。
Source: Wikipedia
中垣:はいはい。それさ、本の内容はどんな感じなん?
松田:なんかね、ユダヤの偉い人達が会議で話し合って決めた内容みたいな体裁をとっていて…
中垣:はいはい。
松田:それでその内容は、
中垣:笑
松田:まあなんしかそういう感じ。「ワクチンちょっと不安だよね」どころか、もうズブズブの陰謀論で。
中垣:うんうん。
松田:それでまあ、どうしようと思ってじゃないねんけど…と言うのも別に、彼女の目を覚ましてあげるとかはいったんどうでもいいねん。こういうのって社会構造的に一定の人は信じるもんやと思うし、それが自分の母親であったことは、まあそれだけの話やし。
中垣:まあそうやね。それに程度問題なところもあるしね。
松田:そうそう。だからむしろ、極端過ぎる彼女の例から、何かしら本質的に言い得ることがあるんじゃないかと思って。
中垣:うん。
松田:ほんでね、とりあえず彼女がメッセージでベラベラ話してた内容のうちいくつかを挙げていきたいねんけど…まずはこれ、
中垣:うんうん。
松田:あとは
中垣:はいはい。
松田:この辺を聞いて…まあまずは、ベースとしてアホやなと思ってん。つまり、
中垣:そうやね。
松田:確かに、仮に陰謀論が真実であればワクチンがやばいって言う医者も研究者もたくさん出てくるんだけれど、その逆が正しいわけではないねん。そんなん
中垣:うんうん、そうやんな。
松田:ほんでファイザーの副社長が云々の話も、彼女はこれを、ワクチンが実は良くないもので、その真実を指摘した副社長が口封じのためにクビになったというシナリオで解釈しているわけだけど、別に陰謀論が真実とか以前に、ワクチンを作ってる会社の副社長がそんなこと言ったらそら解任されるわけ。
中垣:うんうん。
松田:だから、
中垣:うん。
松田:
わらう
中垣:うわぁ…でもそういう通説が、陰謀論界隈ではあるんや。
松田:そうそう。Googleで「ファイザー 副社長」って調べたら、よう分からん病院のよう分からん医師が書いた…とされるブログが、検索結果の2番目に出てくるんかな。ほんで3番目くらいに「ファクトチェックをした結果フェイクニュースでした」みたいなのが出てくるね。
今はまともな検索結果が表示されるようになっています
中垣:おお…なるほどね。
コロナワクチンが「不妊症」や「流産」の原因に? 誤情報が世界で拡散。“ファイザー元副社長”が発端に – BuzzFeed News
松田:だからまあなんやろうな、まずは彼女は正しく考えるということができてへんなと思ったな。あとそこで、権威主義っていう言葉についても考えたりして…
中垣:あー、分かった分かった。
松田:陰謀論の主張って、
中垣:そうやんね。
松田:権威主義ってつまり、言っている内容よりも誰が言っているかが大事だっていう態度なわけやん。だからその反対にあるのは、より良い説明を追求する態度なはずやねんけど…
中垣:うんうん。
松田:でもうちの母親は、テレビとか政府やなんやを否定しながらも、つまり
中垣:うん。
しかし、啓蒙運動において効果があったのは、権威への抵抗そのものではない。歴史上、権威が否定されたことは何回もあったが、そこから永続的な利益が得られたことは非常にまれである。ある権威が 否定されても、その後には、単に新しい権威が古い権威に置き換わるのが普通だった。知識が持続的かつ急激に増加するために必要とされたのは、「批判の伝統」であった。啓蒙運動以前にはそれは非常にまれな習慣で、一般的には物事を同じ状態に保つことが重要とされていた。
Source: デイヴィッド・ドイッチュ(2013)『無限の始まり ひとはなぜ限りない可能性をもつのか』インターシフト
デイヴィッド・ドイッチュ(2013)『無限の始まり ひとはなぜ限りない可能性をもつのか』インターシフト
松田:だから、ワクチンがやばいって言っている“““医者”””とか“““研究者”””がいるとか、ファイザーの“““副社長”””がどうこうみたいな話になってしまうわけ。結局より良い説明にたどり着くことはなく、彼女にでも分かるなんとなく権威っぽいものを盲目的に信じて終了やねんな。
中垣:うんうん、でもそれはそうやね。だから今みたいに、権威を否定したいんだけれど、それに代わるより良い説明を追求する方法を知らないっていうふうに語ることもできるし…あとは、
松田:うん、はいはい。
中垣:そうそう。だからそういう意味でいくと、安倍政権を批判するみたいなのも、その対象が自分の膜の外側にあると思っているからこそできるのであって…要はおむつを替えてほしくて泣いてるのと一緒だよねって。
みなと:うんうん。
Source: commmon
c 認知の膜の拡げ方
中垣:つまり、
松田:そうそう。社会に対する効力感についてもまさに思うところはあって…なんやろうね、陰謀論って社会の分断が表れてんなって思ってんな。
中垣:うんうん、すげえ分かるよ。
松田:きっと彼女は、自分の選択とか行動が社会を決定してるとは思えていないわけよ。
中垣:うん、そうやんなぁ。
松田:で、そういう焦点を定められない社会をどう説明するかにあたって、陰謀論を選んでしまっているというかさ。
中垣:うんうん。
松田:それに陰謀論ってその線ではなかなかグッドやねん。
中垣:そうやんね。ゴシップ…とはまた違うけど、でもそういう感じがするよね。「あの人って実は〇〇やねんで」みたいなね。
松田:そうそう、ほんまにそういう感じやわ。
中垣:でもなんかさ、言うたら陰謀論ってクラシックやん? だから多くの人にとってはただのエンタメやと思うのね。例えば『やりすぎ都市伝説』とか、あるいはUFOとかエリア51とか…でもそれをほんまやと思ってる人っていまだにおるんかというか。
松田:うんうん。
中垣:やっぱそうなんかぁ…とか思って。
松田:ほんでおれさっき言ったように『シオンの議定書』は読んでんけど、
中垣:確かに笑
松田:内容も内容やねん。2000歩くらい譲って耳を傾けると全くあり得ない話ではない気もするというか…例えば、お金についての章では「支配者たる我々ユダヤ人に富を集中させるんだい」みたいなことが描かれているんだけど、
中垣:はいはい。
松田:その不都合な事実を、聞き心地のいい内容で説明している感じやねん。
中垣:うんうん。
If you don’t know, the thing to do is not to get scared, but to learn.
Source: Ayn Rand(2005)『Atlas Shrugged』Signet
強い子のための本
Ayn Rand(2005)『Atlas Shrugged』Signet
みなと:なんかうちの父親も結構似たようなところあって、彼は中国に対するあれがすごいのよ。毎回実家に帰るたびに、中国がいかに良くないかを説かれるんだけど。
松田:そうなんや笑
みなと:まあ勝手に言っててくれればいいんだけど、でも父親の話を聞いていてもよく分からないのが、
松田:はいはい。
みなと:もちろん彼の見方も、それはそれで本質的に否定はできないというか、全く根も葉もない話ではないし説明として正しい部分もありはするから、まあ
松田:あー、うんうん。
みなと:ただそれでもやっぱり違和感があるのは、自分の境遇を惨めだと思っていることと、自分が影響を及ぼせない側のものが自分に対して悪意を持っているっていう世界観なんだよね。
松田:うん…でもなんでなん? ざっくり一般化するとみなとの父親って社会的な立場もあるし、そんな世界観を選ぶ必要はなさそうやのに。
みなと:ほんとだよね。僕もそう思ってるよ。
中垣:まあやっぱり態度の問題というか…より良い説明とか以前に、その問いが立ったのがよく分からへんというかさ。
松田:はいはい。
中垣:例えば松田のおかんの話やと、
みなと:笑
松田:確かにそうやんな。
中垣:もちろんそれに端を発したものではあるんだろうけど、そんなことはとうにどうでもよくなっていて、
みなと:うんうん。
松田:そうやんなぁ。
中垣:てかどうでもいいから突っ込まへんかったけどさ、『シオンの議定書』によると格差の上側にいる人が下側の人達を盲目的に従属させるようにしてる…って
松田:そうそう笑
みなと:笑
2021年5月26日
Clubhouse
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米大などのチームが進めた研究で、遺伝情報物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」技術を使った新型コロナウイルスのワクチンが引き起こす体内の免疫反応が、従来型のワクチンより長期間活発に続くことが分かった。実際にどのくらいの期間、コロナワクチンの予防効果が持続するかは現時点で不明だが、数年から生涯にわたる可能性も指摘されている。
Source: 日本経済新聞
ファイザーやモデルナ製ワクチン、数年単位で効果持続か – 日本経済新聞