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お金のこと 思索

セコいやつの正体

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松田ケチについて話したかってん

みなと:それはお金的な話?

松田:まあ一番分かりやすいのはお金やけど、いわゆるコストならなんでもいい。で、それについて自分的な理想としては、出せるときは出して、出されへんときは出してもらってくらいの感じでええやんと思ってるねんな。けどしかし…セコいやつってセコいやん?

みなと:うんうん。

松田:それでちょっと考えてんけど、一方でセコいやつに「セコいぞ」と思ってるおれセコくない?みたいな話も出てきたわけ。

中垣:あー、そうそう。そうやと思う。

松田:自分も結局はトントンにしたいと思っているじゃないかと。で…気付いたのが、セコいという言葉でおれが糾弾したかったのはトントンにしたがる態度ではないねん。それはむしろ原則で、絶対に守らなあかん

中垣:あー…

松田:ただ、そのトントンにするということをどのスパンで目指すかには、人によって違いがあるねん。例えばこの3人とかやと…まあ2〜3年単位で見たらたぶんトントンやん。

みなと:まあそうだね。

松田:でも世の中には、その日の勘定はその日のうちに1円単位できっちりする人もおると思うねんけど、これも別にセコくはないと思うねん

西川:うんうん。

松田:トントンの原則は守っていて、ただスパンがタイトなだけ。これもこれで別に問題はないと思うねんな。

みなと:うん。

松田:まあもちろんね、基本的には相手を信頼できていればそのスパンは長くできるし、そちらの方がさまざまな状況に柔軟に対応できるとは思うんだけど、とは言え相手との関係性とか各々の信条によって、そこに程度問題が生じることに問題はないと思うねん。

みなと:うんうん。

松田:だからそこのスパンは個別具体的に、お互いに納得ができる内容で決定すればいいと。で…じゃあほんまにセコいやつって何者かやねんけど、トントンではなく自分が得をしようとしてるやつがこれなんじゃないかって

みなと:あー…

西川:うんうん。

中垣:じゃあさ、女性と食事に行ってきっちり割るみたいな、これもセコくはないん?

知るかそんなこと

c 食事はやっぱりエッチなんだよ

松田:今の話で言うところでは、それだけでは決してセコくはないね。ただまあ、男性がより多く出すべきだという前提がその是非はいったん置くとしてあるから、それをセコいと思う人がいるのは分かるけど。

中垣:でもじゃあさ、1円単位まできっちり割り出したらそれはセコいと思わへん? そんなんどっちでもええやろってならへん?

松田:まあなり得るとは思うけど、別に最終的にトントンにしようと思っている限りはええんちゃう?

中垣:まあそうか…

松田:ほんまにセコいなと感じさせるやつってそんなんじゃなくて、何かしら自分がかすめてやろうとまで思ってるやつやねん。

みなと:そんなやついるかな笑

松田:いや、いくらでもおるよ。それこそ ピー とか、すごくそういうとこあるもん。

中垣:あー…でもさ、会計が二人で4,004円ですってなったときに「じゃあ2,002円ちょうだいね」って言われたらめんどくさない?

松田:うん、めんどくさいはめんどくさいよ。

中垣:そうなったときに「なんでやねん2,000円でええやろ」って思ったら、それはセコいってことやん? じゃあおれは2,010円渡したらセコくないってことなん?

…セコいぞ

松田:あー…はいはい。

みなと:相手がたまにしか会わない人とかなら、端数の4円が重要だとどちらかが思った時点でそれは払わざるを得ないと思うんだけど、例えばよく会う人となら次以降のタイミングでバランスをとれるみたいな、そういう感じなんじゃない?

松田:まあそうやんな。トントンに対するスタンスの違いというよりは、そのめんどくささの評価が違うみたいな話な気がする。

中垣:いやまあ理屈としては分かるねんけど…でもやっぱ、一回一回に厳密さを求めること自体もセコいと思っちゃうな。

松田:あー、ほんまに?

中垣:いや…まあむずいな。でもやっぱ感じちゃうわけやん。1円単位で割ろうとするやつに対しては、事実としておれはセコいと思っちゃうわけ

松田:うんうん。

中垣:じゃあその気持ちはなんなん?  細かくてめんどくさいなとか、そういうこと?

松田:なんじゃない? 

みなと:うん。

Google リキャプチャ v2
Image: Google Cloud

信用の担保にコストがかかり過ぎてる感じというか

reCAPTCHA Enterprise – Google Cloud

中垣:まあそういうことか。だから、上司が「エクセルのここの列はこういうルールでやってるから」って言ってきたときのあれと同じか。シンプルに「いや細か過ぎるやろ…」と。

松田:そうそう。

中垣:確かに、それはセコいとはちょっと違うよね。

松田:だからこそ、ほんまの意味でセコいやつっていうのは結構たちが悪いって話

Ayn Rand(2005)『Atlas Shrugged』Signet
Image: Amazon.co.jp

そういうやつに出くわすと、『Atlas Shrugged』の“THIS IS JOHN GALT SPEAKING”を読んだときの気持ちになるんだよね

Ayn Rand(2005)『Atlas Shrugged』Signet

みなと:確かに、そこが結構混同というか…されてる気がするね。

中垣:そうやね…あとはもうひとつあるとも思ってて、まあここで言う意味でのセコくなさを実現するのはかなり難しいんだけど、自分のリソースに限りがあるという前提の上で人とトレードしてる時点で、もうセコいところはあるよね。

中垣:そうそう。どうして利己的になる必要があるんやろうね…やっぱり貧しいから?

松田:まあそうじゃない?

中垣:でもそれだけじゃない気もするねんな、だってガンジーとかさ…

松田:あー、うんうん。だからどれだけ貧しい状況においても、部分としての個人が全体としての社会に矛盾なく自己同一化できていれば、全然問題はないと思う。

中垣:し、いくら豊かになってもそこの成熟がない限り「おれの方がロレックスが欲しい」ってなるっていう。

Source: commmon

c お金と利己心

松田:はいはい。

中垣:そういう意味では、1円単位で割ろうとするやつを「セコいな」と思う自分もやっぱりセコいわけやん。で…まあなんやろうね、結局そんな if はないんだけれど、できるだけそっち寄りの考え方の方がいいよねっていう

みなと:そうだね。

松田:ただまあ限りはあるんだから、やっぱりトントンは目指さなあかんで。

マット・リドレー(2013)『繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史』早川書房
Image: Amazon.co.jp

マット・リドレー(2013)『繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史』早川書房

中垣:まあそう…やね。でもトントンを目指さないといけないってさ、自分の取り分が少ない側やとトントンを目指そうと思えるけど、取り分が多い状態やとトントンを目指そうとはなかなか思えないやん?

松田:あー…

中垣:つまり、結局それってお互いに損をしたくないだけな気もする。

みなと:うーん…ここではお互いに心理的にフェアだっていうのが重要な気がするんだけど、その意味だと自分が少ないと思ってても多いと思ってても、僕は結構気持ち悪いな

中垣:いや分かるねん、分かるねんけど…

松田:てか取り分が多くても、トントンを目指そうとおれは思うよ。

って、ヒモが言ってます

中垣:そのトントンを目指さなければいけないっていうのはさ、別に数字だけではないわけやん?

松田:もちろん。

松田:だからさ、別に対価って言っても多様なものがあり得るわけで、なんかええ感じのお金の代案ってないんかな。みんなが持て余してる何かをもらえばいい。

中垣:米は?

松田:あー、そうそう。お米はいいね。

Source: commmon

c みんな何がしたいの?

中垣:つまりお互いがそれをフェアだと感じられる状況を作らないといけない…だから極端な話、一方が多く払っているけどフェアだっていう状況もある。

松田:うん。外から見たときに、特定の基準においてならそれはあると思うよ。

中垣:となると、ケチっていうのはつまり…

松田不均衡を認識していながらそれをラッキーだと思うやつ

中垣:あー…そういうことやんね。相手がフェアだと感じていないのに、それをシカトするやつやんね。

松田:…というよりはむしろ、本当はフェアじゃないと自分でも感じているのに、そこから目を背けるやつでしょ

中垣:そうか、そういうことやんな。でも確かにな。

2021年7月4日
Aux Bacchanales 紀尾井町

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