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コミュニケーション 思索

傾聴に値してぇ

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中垣:この前、会社の同期と久々に集まって飲んでたのね。そのときに「彼女となんで付き合ってるの?」って聞かれて。

松田:はいはい。

(当時Tinderのアルゴリズムはまだまだで…)

中垣:それで、ドグマ的でないとかイデオロギーに捉われていない感じを言おうとしてんけど、でもそんなん言ったらひかれるしな…とかって思って。

松田:あー…

中垣:ただそうでも言わな伝わらへんしで、「小難しい言い方やけど~」って言ったら、案の定シーンってなって

次郎:えー。

えーではない

中垣:まあ分かってたよ、分かってたけど…でも曲がりなりにも頭を使う仕事をしてるくせに、それはどういう態度やねんとか思って。

河東:へー。

中垣:それでもうちょっと噛み砕いてさ…なんて言ったっけな、それぞれが置かれている環境によって、自分で判断する前からそうと決まっているように思えるものってあるんだけど、そういうものに捉われていない人って魅力的だよね、みたいな言い方をして。

松田:うんうん。

中垣:でも、それがなんかめっちゃ変な読み替えられ方をして、同じ環境で育った人の方がコミュニケーションがしやすいから楽とかいう話になって…いや、それとこれとは全然違う話やけどみたいな。

松田:そうやね。しかもコミュニケーションがしやすいからってくだりも完全に間違ってるしね。それを言い出したら人と付き合うなって話やもんね。

僕はaiboより犬の方がいいです、そういうこと

aibo – SONY

中垣:そうやねん。まじで勘弁してくれよとか思ってんけど…でも、そのときのおれの焦点は心地よく対話することではなかってんな。それは楽しかったけれどもう終わってん。それより次に、自分が普段考えたりしてることを、部分的にでも伝わってほしいなと思ってたのね。

次郎:うんうん。

中垣:ただ、その場でのおれの立場っていうのは one of them なわけよ。同期の中の一人で、まあちょっと変なやつくらいの感じなわけ。

松田:うんうん。

c カニエ・ウェストになるには

中垣:だからそのおれが「イデオロギーに捉われてない感じが〜」とか言っても、またこいつ難しいこと言ってんなとしかならへんわけ。だって one of them やから。

河東:うん。

中垣:でも仮におれがその場では one of one で、「よく分からんけど、でもあいつの言うことは聞いておいた方がいい」って空気があれば、ちゃんと聞いてくれたと思うねん。

次郎:あー…

中垣:そういう空気はどうやって作ったらいいのかなって。たぶんいきなりイデオロギーとか言ってもあかんねん。もっと小出しに、身近な話題から「でもこうじゃない?」っていうのを繰り返すことで、そういう雰囲気って醸成されていくんやろうし。

松田:うんうん。

中垣:そういうのってやっぱ大事やなっていうのが、その日結構印象的やってん。

松田:なるほどね。

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次郎:うーん…とは言えやっぱ、パワーで納得させるみたいな結論には、今の話から着地したくないとは思ったというか

中垣:パワー…ってお金とかそういうこと?

次郎:今の文脈で言うと例えば…社内での成績が特にいいとか?

中垣:そうやんね。一般的な価値とは関係の無い話をしたいのに、それが一般性の高い地位みたいなものによって担保されるっていうのは…って話やんね。

次郎:まあそういうことかな。

松田:いや、でも…難しいなぁ。

c おれらがフェラーリ乗ってたら、ちゃんと話聞いてくれる?

中垣でも手段としてはそれが一番効いたりするよね。おれもカニエの動向をいちいち追ってるとかじゃないから、カニエの新譜を聞いたろかって思うのは、結局はセールスとかのより一般性の高い事実によるわけやん。

次郎:そう…ね。

カール・レンツ
Image: GQ JAPAN

こういう話題でいつもこいつのこと思い出す

キリスト教がポップカルチャーに?──サンローランを着た神の使い – GQ JAPAN

松田:しかしそこからなんかなぁ。

中垣:どういうこと?

松田:つまりさ、コミュニケーションを取る相手として同期ってちょっと遠いって説はあるで。例えば自分の母親にこんな話せんやん、やるとしてもそこからじゃないやん。

c 母親が陰謀論者やねんけど…

中垣:あー、そうやねそうやね。

松田:って話はあるんじゃないかなって。

次郎:あー…

松田:ただまあね、同期がもっとも身近な社会との接点なのであれば、じゃあそこから始めましょうって話も一方であるとは思うよ。

中垣:これがね…1対1やとまた違うんよね。一人一人と話してると、もっと近い感じはあるんやけどね

次郎:うんうん。

中垣:でも1対5はね…ちょっと無理よ。「こいつの話…分からん」ってなったとき、それを咀嚼するのか放棄するのかを一瞬悩むわけやけど、5人もいると「ちょっと分からんよね、もうこいつの話は聞かんでいいよね」ってなるのよ。

松田:うんうん。

わらえん

河東:でもガッキー真摯やね。「こいつらが悪い」で終わらせてもいい気はしたけど…まあでもそういう話じゃないもんね。

中垣:いやでもね、例えば松田はそういうことあんまりしないと思うし、おれはやっぱそれが好きなんやと思う

松田:説いて聞かせるのがね笑

河東:あー、なるほどね。

次郎:笑

松田:でも別におれも、少なくとも嫌いというほどではないけどね。それこそずっと前にグリーでバイトしてたとき、同じ部署で働いてた人と飲んだことがあってんけど、そこで…なんで勉強をするのかやったかな、まあそういうことを聞かれたわけ。

河東:うんうん。

松田:そのときはわりと丁寧に説明して納得してもらえたけど、それはそうしたいと思って取り組んだし、そのことにそれなりの達成は感じたよ。

中垣:うんうん。

松田:まあやっぱあれちゃう? 具体からかつ断定的に…あかんなこれ、ヒトラーになっちゃうな。

河東:笑

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松田:まあいったんは、中垣に十分誠実な意図があることを前提にするとして、やっぱ具体的かつ断定的にっていうのがポイントやと思うねん

中垣:断定的に話すのは前まではやっててんけどな…

松田:まあ当時は邪悪な心があったやん。でも今は…わりと誠実な方やと思うから、もっかい試してみてもいいんちゃう? だって相手からしたらさ、既にかなりクエスチョニングなことを「…やと思うねんけどなぁ」とか言われたら、じゃあもう知らんわってなるに決まってると思うねん

河東:うんうん。確かにね。

松田:そこでなんしか言い切ることで、「そんなことを言い切れるなんてどういう了見なんや…」と思わしめるわけ。この違和感をそのままにしておくわけにはいかないぞと。かつその上で、話が具体的やととっつきやすくもなる。

中垣:でも具体から話すっていうのはやっぱそうかもね。

松田:さっきの「なんで勉強するの」って聞かれたときは、具体的な説明がうまくいった感はあったよ。「例えば…」って言って。

次郎:うんうん。

松田:前にスターバックスで買ったガスウォーターを飲んでお腹をこわしたことがあってんな。で、もっとも広義で勉強のできひんやつは、スターバックスのガスウォーターはなんかあかんとしか学べないわけ。

次郎:あー。

ロスバッハー
Image: Rosbacher

便秘対策のリーサル・ウェポン

Rosbacher

松田:あるいはもっと悪ければ、その日お腹をこわしたという記憶が残るだけかもしれない。でもそこで裏の成分表示を見れば、どうやらマグネシウムが多いことに気付き、これについて調べたところ、便に水分を与える効果があり、それが炭酸の刺激と相まって一撃で下痢になったっていう、それを知ることができるわけ。

河東:うんうん。

松田:こうなると今後はスターバックスだけでなく、その他の硬水はもちろん、マグネシウムが多く含まれている食品を摂ると何が起こるかを知ることができるわけ。

中垣:はいはい。

松田:って話をして「なので勉強をすると幸せになれます」って言ったの。つまりなんやったっけ…やっぱドグマとか言われても分からへんもん。でもきちんと理解できれば納得はしてもらえるはずだし、そもそもその同期だって、ドグマ的なものに不幸を被ってるところはあるに決まってるわけ。そこは確信できてるやん。

中垣:そうそう。それで言うとその日唯一刺さったっぽかったのが、その中の一人がマーケティングの仕事をしたいって言ってて…

松田:はいはい。

中垣:それで転職についての話題になったときにその彼が、今の部署でマーケティング系の仕事を経験して、そういうことをやっていましたって言える状態になってから転職しようかなって言ったのね。

次郎:はいはい。

中垣:それでおれは、今の部署だとそういう仕事はあまりできないよって言ったのね。そしたら「でもそう言えるだけでもいいじゃん」って言ってて。

松田:あー。

中垣:それに対して、今より安全な状態はどこまでも想定できる以上、保険なんて無限にかけられるんだからやりだすときりがないと。その理屈ではいつまでも辞められないと。

河東:うんうん。

It’s now or never.

中垣:そもそも大卒で今の仕事をしている時点で保険なんて十分かかっているんだから、辞めるなら今か、そうでなければいつか辞めるなんて考えない方がいいよって。

松田:うん。

中垣…で、最後に「これは自戒を込めて言うけど」って言ったら、「いやそうなんだよねぇ」って言ってたのね。だからやっぱり、仕事とか転職とかの文脈でうまく話せると、みんな自分事として考えてくれるんやと思う。

次郎:あー、なるほどね。

中垣:逆にこれが恋愛論みたいなのになるとね、それぞれが自分のそれを持っちゃってるからね。

松田:だから…ベース一般性の高い文脈で、かつそれを個別具体的な話として言うっていうのはすごくいい気がするね

中垣:うんうん、そうやと思う。だからまあ…そもそも頻繁には会えないけど、でも同期との場はちょっとそういう実践の場にしたいと思う。

松田:うんうん。

中垣:あー…傾聴に値してぇ

次郎:笑

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まずは聞くとこからな

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2021年10月3日
commmonの部屋

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