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【シンエヴァ】なぜマリだったのか

映画のラストシーン、宇部新川駅でシンジと共にいたのはレイでもアスカでもなく、マリでした。ユイという血を共有するレイもかつて好き合ったアスカも退けた、因果なき必然について考えました。

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映画のラストシーン、宇部新川駅でシンジと共にいたのはレイでもアスカでもなく、マリでした。ユイの血を共有するレイでもかつて好き合ったアスカでもなかった、その因果なき必然について考えました。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を鑑賞して考察したことについて、実際の会話を文字起こししたものを、ささやかな解説としてお届けします。

シン・エヴァンゲリオン劇場版
Image: Amazon.co.jp

シン・エヴァンゲリオン劇場版 – Prime Video

みなとなぜマリだったのかっていう話なんだけど、これは太郎がすごく納得してたよね。

太郎:死ぬほど納得した。いやだって、普通だったらヒロイン的な扱いを受けていて、お互い好き合っていたレイやアスカと結ばれるのがしっくりきそうな筋書きではあるんだろうけど…

みなと:うん。

太郎:でも、最後にマリと一緒になってたシーンで「あー、やっぱそうだよな」って思ったもん。仮にレイとかアスカと結ばれた場面がラストで流れたと想像したとき、せっかく矛盾とか理不尽とかを全部飲み込んで前を向いたシンジ君なのに、変な報われ方をしているように見えて、冷めちゃいそうだなというか

みなと:そうそう。なんで最後シンジとくっついたのがマリだったのかって考えたとき…彼女には全く必然性が無いんだよね

太郎:うんうん。

みなと:物語の中でも、出自さえよく分かんないし、そもそもシンジとの関わりもあんまりないし。

松田:『シン・エヴァンゲリオン劇場版』でさえね、「自己紹介 まだだったね 私はマリ 真希波・マリ・イラストリアス」とかどうとか言ってたもんね。

物語も終盤、今さら主人公に自己紹介するヒロイン

みなと:そうそう。これまであまり出てきていなかったし、やっぱり物語の中でのキャラクターは薄い人だと思うんだよね。

松田:そのマリとシンジの組み合わせには…徹底的に必然性が無いよね

みなと:まあ細かいことを言い出したら実はあるのかもしれないけれど、でもやっぱり、分かりやすい必然性はないよね。ただ彼女は、どういう経緯かは分からないけど世界がやばくなってて、レイも死んでアスカもいなくなった、もうシンジくんに世界をやり直してもらうしかないって状況で、そこには彼女しかいなかったっていう

レイは第3村で死に、アスカは13号機に取り込まれ、エヴァパイロットで生き延びていたのはシンジの他にマリだけでした。

太郎:あとはなんだろうな…マリはさ、シンジとは違ってとにかく現実に向き合って、起こった出来事に対応しようとするじゃん

みなと:そうだねそうだね。

太郎:そこが、なかなか現実に顔を向けられなかったシンジを引き上げてくれた存在でもあるのかな、と考えたかな。その点においても彼女はしっくりくると思った。

松田:あー、なるほどね。

太郎:よく分かんないけど、何の文句も言わずに毎回元気に戦ってるじゃん。

みなと:そうだね。あとは今回、前もって『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を観直していて気付いたんだけど、ゲンドウが「綾波シリーズと式波シリーズが必要だったんだ」って言っていたように、マリと違ってアスカとかレイは運命を仕組まれた子供達だったんだと思うんだよね。まあ逆に、本当にマリがそれにインクルードされていないのかについては、ちょっとよく分かんないんだけど。

太郎:うんうん。

「私が神を殺し 神と人類をつむぎ 使徒の贄をもって 人類の進化と補完を完遂させる」「綾波と式波型パイロットは もとより このために用意されていたものだ 問題ない」とゲンドウが言う通り、レイとアスカは、ネルフが人類補完計画のために用意しシナリオ通りに動かす、運命を仕組まれた人間です。一方でマリは、それと同様の規定・必然性のない人間なのです。

みなと:もちろん確かに、翻ってみると彼女にしかできなかったことはあると思うんだけど…ただ、その場でその場ではとにかく彼女がやることになって、シンジも有無を言わさずそれに手を貸す形になったわけじゃん。

松田:うん。

みなとそういう偶然性にフォーカスをあてて、その結果として現実世界でも一緒になっているのには、すごくポジティブになれるというか

シンジはマリの助けのもと、マイナス宇宙にいるゲンドウと対峙して人類補完計画を阻止し、その後マリと再会しました。会うのはまだ2回目ながら偶然生き延びていたマリと協力することを、自らの意志で選んだのです。

松田:いやほんまその通りやで。

みなと:すごく…まあいいことだよね。

松田:だからさ、前に記事に出てきた永田もね、ややこしいこと言うてへんと、アホの看護師と仲良くせなあかんねん。

太郎:あー、あれかあれか笑

中垣:物とか商品とかじゃないねんから、このスペックに見合ったものを適切な価格で買うとかそういう話じゃないやんね。常に変化し得るものなのであって…

松田:だから…これはつまり人生やね。そういう蓋然性の不十分さに耐えられないのであれば、それはもう人生にさえ向いてない。死んだ方がいい。

中垣:うん、そうやと思う。

松田:しかもこれよくよく考えてほしいねんけど、辛いだろうけど引き受けろみたいな話じゃ別にないわけ。そもそもの最初から見出していた価値は、当初思っていたように蓋然性の十分さから生まれたものではなく、むしろその不十分さから生まれたものやねん。それを認めるだけでええねん。

中垣:そうそう、そうやんな。

Source: commmon

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松田:十分な必然性があるから一緒になるとか、そういうんじゃないのよ。まあこれポジショントークなんやけどね…

六麓荘に実家があるお嬢様と逆玉キメるつもりだったんですが

みなと:笑 でもそうだよね、なんでとかじゃないんだよ。マリの出自は説明されなかったし、シンジくんと一緒になった理由もよく分かんないんだけど、でもそれでいいと思うんだよ。なぜとかじゃないんだよ。だってそこにいるんだもん

松田:そうね、ほんまその通りやね。

太郎:いやー、これは深く納得したわ。

2021年11月6日
commmonの部屋


HeaderImage: 株式会社カラー khara inc.official / YouTube

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』から登場し、ヴィレ側の人間としてアスカやシンジと行動する真希波・マリ・イラストリアス。冬月と旧知の仲であるなど謎めいた面があるなか、出自はほとんど明かされない。シンジの母親のクローンであるレイ、シンジと互いに好いたアスカと異なり、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の後半に至るまでシンジとは疎遠であるが、最後にはお互いに協力し、ラストシーンでもシンジと共に現実世界に駆け出していった。