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【前編】2022年のジュエリー

3 years

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松田:この先やってくるジュエリーの一大ムーブメントについて、おれは知ってるから教えてあげちゃおうかなと思うねんけど…

中垣:笑

みなと:知ってるんだ笑

松田:もう明らかやもん。どう考えても見通せるものがあるというか…だってこの数年、意味分からん幅広さであらゆるジュエリーに目を通してたしさ。

みなと:笑

今一番欲しいのはギメル、生きとし生けるものへの讃歌って感じが素敵

2019 春 – gimel

松田:とりあえず結論の一部から言うと、中垣も般若心経が刻印された数珠ブレスレットみたいなやつは買ったほうがいいと思う。楽天で売ってるから。

中垣:サンスクリットみたいなやつ?

松田:そうそう、そういう系。ああいうのはまず間違いなくくるよ。

般若心経 数珠
Image: 楽天市場

数珠ブレスレット 般若心経彫り 約8ミリ 白檀 – 楽天市場

中垣:ほんまに? マキシマム ザ ホルモンみたいになっちゃわへん?

松田:あー、まあその懸念も分からんではない。でもね、あっちの線が無視できなくなるのは間違いないよ。あとは…おれが最近買ったところやとこれ。これも結構ええやろ?

NORTH WORKS D-307
Image: NORTH WORKS

D-307 NORTH WORKS

中垣:あー、確かにいいね。これはなんなん?

松田:これはノースワークスっていう、シルバーコインでリングとか作ってるとこで…おれらが高校生の頃から数年くらい前まで、ビームスとかシップスとかでも取り扱いあったから見たことはあると思う。

中垣:あー、なんか分かるわ。

松田:そもそもあのコインがぶりんってなってるリング、あれはヒッピーらが作ってたのがオリジナルっぽくて、別に彼らのデザインとかではないねんな。

中垣:そうなんや。

NORTH WORKS リング
Image: ZABOU

NORTH WORKS(ノースワークス) モーガンリング インサイドアウトバージョン – ZABOU

松田:で、そんなノースワークスやねんけど…まあ当時セレショで並んでるのを見てたときは、普通にダサ過ぎてドン引きしてたのね。

みなと:笑

松田:だってそうやろ、どう考えてもダサいもん。

中垣:でもおれは結構好きやねんけどね。あのぶりんってなってるリングって、真ん中抜いて開いて作るんやんね?

松田:そうそう。まああれはかっこいいけどさ、でも他の作品はほんまダサいで? ただ今回買ったこれ、こいつは結構いい線いってると思ってて…まずめっちゃ安いねん。なんぼやと思う?

中垣:安いの自慢すんの関西の人間だけやで笑 うーん…2200円?

松田:すまんそれはないわ、5,500円やね。

中垣:じゃあ安くないよ別に。

松田:そんなことないよ、スコーシャとかでも6,050円もするねんからね。

ロフトマン スコーシャ
Image: LOFTMAN EQ

ほこりっぽい店で売ってるばり高い紐

SB3 Bracelet-Army Olive(YB) – LOFTMAN EQ

中垣:あー、まあ確かに。

松田:ちなみにこれノースワークスのオンラインで買ってんけど、バイマでなぜか10,000円くらいで売ってんねん。

中垣:なんでなん?

松田:なんかBTSのなんちゃらが着けてたらしい

中垣:え、ノースワークスって日本のブランドやろ? すごいね。

松田:これが結構おもろくてさ、中韓のダブルタップスお兄さん達おるやん? あいつら文脈でノースワークスはあり認定っぽいねんな

中垣:はいはい、なるほどね。

松田:ほんでこれも品番で調べたら、韓国のセレショの入荷しました的なブログポストがヒットする。まあそんなやつやねんけど…これもきてるね。

中垣:でもさ、サンスクリット系とはまた別じゃない?

松田:いや、そこんとこもでっかくひとつに括れるのよ。ちょっと待ってね、昨日死ぬほど暇なバイト中にキーワードを書き出したからうまく話をまとめていきたいねんけど…その前に前提として、今言っている文脈につながる、これまでに我々が歩んできたノリみたいなんを説明しておきたいねんけど

中垣:はいはい。

松田:まずさ、3~4年前からメンズのパールがええとか言われてたやん? ほんでもう去年にもなると、やっすい樹脂パールとニコちゃんビーズを組み合わせた…

中垣urジュエリー系でしょ?

松田:あー、そうそう。ああいうの着けてるヤング、去年死ぬほどおったでしょ?

中垣:おれ見てへんねんな…でもあれ好きよ。

松田:いやいや、よく見たらほんまめちゃめちゃおるよ。みんなあの手のやつ着けてるもん。

みなと:へー。

松田ちなみにあれ系では、NIGOちゃんの着けてるCactus Plant Flea MarketとJacob & Co.のコラボレーションのブレスレットが最上位互換として君臨してるね。だからもうエントリーしようがない。

中垣:そんなんがあるんや。

CACTUS PLANT FLEA MARKET JACOB & CO.
Image: HIGHSNOBIETY

CACTUS PLANT FLEA MARKET X JACOB & CO. BRACELET GIFTED TO FRIENDS & FAMILY – HIGHSNOBIETY

松田:そうそう。ほんでなんやったっけ…ああいう一般性が低いんだけど濃い感じのやつ、ツルッとしてへん、ベタベタのテクスチャを感じる系のやつっていうの?

中垣:うん、分かる分かる。

松田:かっこいいとかダサいじゃなくて、ありかどうかさえ分からへんのをえいやで着けるようなやつ、そういうのがくると思うねんな。

中垣:うんうん。

c オタクのハットとファレルのハット

松田:あとはそれがより洗練されたおしゃれっぽい方向に傾くと、祈り・土臭さ・土着・年月・経緯・重すぎる文脈、そういう感じになってくると思うねんな。

六本木でジービーズはやる世界線こねーかな

BUONA VISTA

中垣:祈りがくんの?

松田:祈りはくるよ、もう間違いない。だからロザリオとか、今のうちにいい感じの入手しとかなあかんで。

中垣:あー、まあ確かに。

松田:ロザリオのセイクレッドさというか…ああいう複雑で込み入った、いかにも否定できない経緯を感じさせるものがいいと思うねん。一般性の高い、例えばエルメスですとかトムウッドですとか、金とか銀とか、もうそういう感じじゃないわけよ。

中垣:うんうん。

松田:でもそうじゃないだろうと。既存の価値を追求してそれを手元に近づけて喜ぶんじゃなくて、もっと生々しい、具体中の具体を切り開いていくそのカッティングエッジに立って、まだ誰も見たことのないもの、誰も知らなかった価値を見出していくと。それが人生の本義じゃないのかと、最近もうほんまにそういう気持ち。

みなと:なるほどね笑

Source: commmon

c 【シリーズ】今日のファッション #8

松田:あとメモしてたのは…「おばあちゃんちにありそう」「神父さんが『君よく来てるよね、これあげるよ』って言ってくれそう」「ヤクザの事務所にありそう」「海外の友達がソウルメイトの証としてプレゼントしてくれる(別れ際)」みたいな。

中垣:みたいなね笑

松田:概念的にはなんとなく分かってきたでしょ。

中垣:分かるよ。でもさ、それがさっきの樹脂パール系のやつとはどうつながるん?

松田:あー、まだつながってない? でもurジュエリーは普通に土っぽさ感じるでしょ?

個人的には嫌いやで

中垣:まああれはね。でもじゃあさ、100均で買ったパーツをぺぺぺって繋げた感じのやつはどうなん?

松田あれはね、urジュエリーみたいなやつを20回くらい微分した後の成れの果てやねん。複雑で意味がありそうなやつを貴和製作所でも買えるパーツで再現したらああいう感じになっちゃって、でもそれが安いから、ユースを中心にたくさん出回ってるっていう理解でいいと思う。

貴和製作所 スマイル ネックレス
Image: 貴和製作所

レシピNo.KR0422 スマイルとストライプビーズのアクセサリー2種 – 貴和製作所

中垣:はいはい。まあ…うーん、もうちょっと祈り系であること自体の理由が欲しいな。

松田:そこのロジックは正直あんまないで、おれの気分によるところもでかいしな。あんまそこを掘られると話が詰むから、もうちょっと具体の話をさせてな

みなと:勝手なんだよ笑

松田:とにかく、今言ったようなやつをどんどん着けていこうって話ね。まずはインディアンジュエリー、これは今間違いなくいいよ

中垣:はいはい。

松田:ただターコイズが付いてるデザインになるとどうしてもこってりし過ぎるから、おすすめは石のない、コインシルバーって言われてるジャンルやね。黎明期と同じやり方で、当時のモーガンダラーを溶かして作ったシルバー900を使って作ったやつ。これが925とは全く違ってね、素材は硬いし、テクスチャもかなりヌメッとした感じになるのよ。すごく雰囲気あってええよ。

中垣:あー…

松田:まあ記事にするときは画像貼りまくってそれなりにイメージしやすいようにするから、今は納得できなくても優しく聞いていてくれると助かる。

中垣:笑 ちなみにそのモーガンダラーっていうのは、今なら別に普通にシルバー900を作ってもいいん? 別にオリジナルがモーガンダラーってだけやんな?

松田:まあ言うたらそうやな。ただインディアンジュエリーっていうのは経緯がものを言う既得権益の世界やから、ほとんどの場合はシルバー900ならモーガンダラーから作ってるな。そうじゃないとコインシルバーとは言われへん。

中垣:うーん、すごいね。

松田:そんなん言い出したら、インディアンジュエリーを作るには血筋がネイティブアメリカンであることが絶対に必要やからね。白人のアーティストとか、日本人であれ系のテイストのジュエリーを作る人もいるけど、ネイティブアメリカンのそれと比べると値段はつかへん。

中垣:やばいな。

しかもジュエラーとして成功したらしたで仲間内で妬まれる、まじでなんなん

松田:まあコインシルバーのアーティストやと、ジェシー・ロビンズとかランディババ、あとはペリー・ショーティーあたりがおすすめやね

中垣:あ、ペリー・ショーティーもなんや。

Perry Shorty Bracelet
Image: SHIPROCK

Perry Shorty, Navajo Chiseled Silver Cuff – SHIPROCK

松田:そう。今おれが着けてるこれもコインシルバーやね。ただ今の話の文脈でいくと、ペリーはちょっと綺麗過ぎるし価格も高過ぎるから…ちょっとちゃう気もするな。それよりもジェシーとかランディババが作った、一見するとまじでゴミにしか見えない黎明期デザインのやつがあるねん。そういうやつがいいと思う

中垣:はいはい。

松田:てかおれなつきに言うてん、前のビームスのインディアンジュエリーフェアでそういうデザインのバングルが大量に入荷してたから、これ買うたらええんちゃうかって。あれはもうちょい強く勧めとけばよかった。

LONGBRANCH

松田:あとはインディアンジュエリーやとアーロン・ロペスもいいかもな

中垣:あー、たぶん聞いたことある。イッシーがやってたやつやんな?

石崎さん、な

松田:そうそう、あのレザーの紐を細かく編み込んでるやつ。あのときイッシーがあんな大量に扱ってたのは結構奇跡に近くて、基本的にアーロン・ロペスはシップロックっていうサンタフェのお店が代理店みたいな感じやねん。ビームスもシップロックから入れてるって聞いた気がする。

中垣:うんうん。

AARON LOPEZ BAUTISTA
Image: FOUR WINDS GALLERY

AARON LOPEZ BAUTISTA – FOUR WINDS GALLERY

松田:今は特にほんまに数が少ないねんけど、多少であればシップロックのオンラインにも上がってる。だからそれとか買ってもいいと思う

中垣:はいはい。

松田:てかアーロン・ロペスに限らず、シップロックが扱ってるインディアンジュエリーはかなりいい感じやで。今買うならああいうのがおすすめやね。

中垣:うんうん。

SHIPROCK

松田じゃあ次、スカルもええよ

中垣:うーん…まあ雰囲気なら分かるよ。つまり今までがすごくミニマルやったから、意匠性の高いものがより戻しでくる、ただもはや理由もなくそういうのを身に着けるのは恥ずかしいから、そこを補うために文脈が濃いものが必要になる。これは分かるよ。

松田:そう、そういうこと。

中垣:でもそしたらさ…別になんでもいいやん。スカルじゃなくても、別に木魚のヘルメットでもいいやん

意味分からんイメージを生み出して世界を複雑にするのやめてもらっていいすか?

松田:うん、全然ええと思うで。まあ基本的なロジックは今言ってくれた通りで、あとは絶妙な匙加減が要求されるって感じやね。だから、言うても既存の文脈と仲良くできるかは大事なわけで、そうなると木魚ヘルメットはちょっと厳しいやん。

中垣:あー…まあせやね。

松田:いかにしてぎりぎり断絶のない、どこかで玄人に認められるようなそれを再発見するかって話やね

中垣:まあなるほどね。

松田:それで言うとインディアンジュエリーとかスカルとかなら、それを評価する土壌は、細くとも濃く続いているものがあるわけ。

中垣:そうやんね、なるほどね。でもそうなるとこれ、ちょっと仕掛けていきたいところではあるよね。

松田:せやろ。とりあえずスカルは間違いない、グレートフロッグのこれとかすごいグッとくるやん。ただのスカルじゃなくて、お祈りマークが入ってんねん

中垣:あー、ほんまや。

Pray For Me Skull Ring – THE GREAT FROG

松田:タトゥー入れてるみたいでかっこいいやろ。

みなと:笑

松田:普通のスカルやとスカルであること自体の印象がちょっと手前に出過ぎるけど、これくらい意匠が性高いとなんか意味がありそうやん。まあたぶんないけど。

みなと:笑

次点でクレイジーピッグのメメントモリスカルリングな

中垣:スカルな…まあスカルって定番品でずっとあるやん? なにより個人的にキャラに合わなさ過ぎるねんな。

松田:まあ確かにな。でもじゃあタカが、わりとカチッと目の服装にこのスカルリングとか着けてたら…「え、それどういうやつなん?」ってなりそうやろ

中垣:うんうん、確かに。

松田:あとはおれの持ってたスカルのシグネットリング、あれも超いいよ。

中垣:あれはいいよね。

THE GREAT FROG Small Silver Signet with 18ct Gold Skull
Image: THE GREAT FROG

Small Silver Signet with 18ct Gold Skull – THE GREAT FROG

松田:まああれはね、今言ってる文脈のもっと手前の時点で魅力的やねんけど…でもシグネットリングをチロッと着けててさ、「あー、はいはい。分かるよ言いたいこと」と思わせといて、よく見たらプリッとしたスカルがついてるわけやん。そうやって不意打ち的に濃厚さを潜ませとく感じもええよね

中垣:うんうん。

次回に続きます。

c 【後編】2022年のジュエリー

2022年2月27日
Aux Bacchanales 紀尾井町

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SHIPROCK
Image: SHIPROCK

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