Categories
ことば

そろそろ卒業したい仮想敵レトリック

4 years

4 minutes read

中垣commmon仮想敵作りがち問題っていうのがあるねんけど…

松田:あー、そうねそうね。

中垣:そういうレトリックを使っちゃうのって青臭いよなって思うねんな。

松田:はいはい。

中垣:よくある話かは知らんけどさ、人の容姿に言及する人って実は自分の容姿が気になっている、みたいな話ってあるやんか。それと近しい何かを感じるというか…あるいは別の例としてはフェミがnotフェミを叩きまくる論法、commmonでは魔女狩りの魔女狩りって言ってるけど、そういうブーメランって起こりがちやんか。

松田:うんうん。

中垣:まあ仕方のないことではあるねんけど、でもそろそろ卒業したいなと思って。

松田:そうね。

中垣:これね、絶対に落合陽一も経験してるフェイズやと思うねん

マイブーム落合陽一

WEEKLY OCHIAI シーズン4 – NewsPicks

松田:笑

中垣:彼ね、以前はもっと人を叩いてたイメージがあるもん。でも敵を作る喋り方はそういう仲間は増やせるけど、それだけでは本意ではないってところがあるわけやん

Aの立場からĀを批判するのではなく、AもĀをも包摂する理論を提案し、みんなに採用してもらいたいのです。

D.カーネギー(2016)『人を動かす』創元社
Image: Amazon.co.jp

D.カーネギー(2016)『人を動かす』創元社

松田:いや、それは間違いない。

中垣:それでさ、このあいだお金の話をしたやん。服なんて3年で着られなくなるのに〜ってやつ。

c お金っていろいろおかしくない?

松田:はいはい。

中垣:あれって最初はおれの話やってん、そういうことを気にしちゃう瞬間が今でもあるけどそれは違うよなって。でも話し方のせいか、そういう考え方をするやつはよくない、みたいな論調にすり替わってて

松田:あー、確かにあったかもな。

中垣:これはちょっとダサいなって。まあ松田はどうか分からんけど、本音を言うとあるんやと思うねん、ある種の自信の無さというか、自分が正しいと信じたいというか

松田:はいはい。

中垣:それがあるから何かを否定するっていうのはあると思うねん。だって例えばさ、今さら「お前頭悪いな」って言われても別に否定しようと思わへんやん。そんなこと興味無いし、自信もあるし。

嫌われるぞ

松田:そうやんな。だから逆に話題にしてるってことは…

中垣:そうそう。一応これは個人的な話やねんけど、とはいえ誰しもそういうレトリックを使うことはあると思うから、仮想敵を作らないよう心がけたのもちょっといいんじゃないかって話

松田:そらそうやね。まあ難しいよ、何かを主張するためにはその背反を否定することにはなるからさ。でも、最後の最後ではちゃんと自分のこととして話を着地させるようにしたいというか…

中垣:むずいねんな。前からあかんなとは思っててんけど、とはいえそっちの方が話しやすいから方便としてなら…って思って使っててんけど、最近それが自分の中で特に気になってて。

松田:はいはい。

中垣やっぱりクールじゃないと思うねん

それはよくない。クールは大事

松田:笑

中垣:まあ心がけたところで言葉尻が変わるだけな気もするねんけどな。「~っていう人がいたとして」みたいな笑

松田:なんならよりやらしい笑

中垣:まあむずいよな。話の入りとしては便利というか、それこそ背反を否定した上で、より正確にベターを追求していくっていう思考法はやりやすいしさ

松田:うんうん。

中垣:そういう意味で仕方ない部分はあるねんけど…まあどうなんやろ、確かにね、「~なやつはあかん」じゃなくて「自分はこうしたい」ってふうに、自分事として言えばいいんかな?

松田:うーん…

中垣:例えばさ、目の前に当事者がいたとしたら「お前は違う」とは言わへんわけやん。

松田:うんうん。

嘘つけ、大いに言い得るでしょ

中垣:みたいな話やねんけど…なんか違和感あるねんな。なんなんやろうな…

松田:じゃあこれは? モヤモヤを感じることがあったら、いったん黙って持ち帰るようにして、それを温める中でそのモヤモヤの背反にあたる出来事を経験したら、そこで初めて主題として口に出す。

松田「おれこういうことについてモヤモヤしててんけど、お前のその感じめっちゃいいな」とか。

中垣:笑 超話しづらい人やん。

松田:笑

中垣:例えばさ、豊洲のマンションでBMWに乗ってる人を否定する…というか、少なくとも自分はそういう生き方は選びたくないし、もっと一般的な話としてもなんか違うと思う、ってなったとして、それについてのいい説明を思いついたら一度は話に挙げるねんけど、それをいつまでも擦ってもつまんないなと思ってて

松田:あー、うんうん。

中垣:なんかこう、その先に進むにはどうすればいいんだろうというか…うーん。あんま敵を作りたくはないし、そもそもそういう話し方もしたくないし…

松田:うーん。なんかあれやね、口動かさんと手動かせみたいな話になっちゃいそうやね

豊洲のタワマンでBMWに乗っている人に、より積極的な人生の追求を促すサービスをローンチしましょう

c 自分を過小評価してはいけない

中垣:まあそうやんね。

松田:でもね、確かにちょっと思ってた。こういう言い方せんで済むならそっちの方がいいよなって。

中垣:例えばさ、これが中学生の話、こういう中学生はイケててこういう中学生はイケてないみたいな話ならさ、豊洲BMW勢を叩くときみたいな言い方はしないわけやん

ウッ…

松田:あー、そうやね。

中垣:「彼らの環境はもっとこうあるべきで~」「こういうことをした方がいいよね」みたいな言い方になるわけやん。そういう感じで豊洲BMW勢のことも話せるようになればいいなと思うわけ

松田:そうね、そらもっともやな。

中垣:でもどうしよう、周りの人がBMWに乗って豊洲のタワマンに住み出したら。絶対にそうなるねんな。

松田:まあそうなるよな笑

S.I.ハヤカワ(1985)『思考と行動における言語』岩波書店
Image: Amazon.co.jp

S.I.ハヤカワ(1985)『思考と行動における言語』岩波書店

2020年8月14日
Aux Bacchanales 銀座