中垣:服なんて数年で傷むし…みたいな話あったやん。
松田:はいはい。
中垣:このあいだ8,000円くらいのTシャツを買ったけどさ、でもこれをワンシーズン着まくったら色は落ちるしよれるし…じゃないけど、
「一生物」は物理的にも気分的にも大嘘
松田:それはそうやな。
中垣:だから、3年で着られなくなる服にわざわざお金かけるのか?みたいな気持ちにちょいちょいなるねんけど、
誰しもいずれ死ぬからといって人生の一瞬一瞬の充実が否定されることがないように、いずれダメになる、いずれ飽きるからといって、服への喜びが否定されることはないのです。
松田:うんうん。
中垣:それを考えると3年もつだけいいじゃんとも思ったし、さらにお金の話になると、服が数年で傷んで悲しいって気持ちはあるにしても、
松田:うん。
中垣:なんていうかな、そう思ってるやつのお金の捉え方って結構ナンセンスというか…
松田:あー、うんうん。
中垣:なんか、お金っていうのは流れていくものであって、つまり
倉留:うんうん。
中垣:お金ってそういうものじゃないというか…
松田:お金で物を買うときってさ、その行動の根源にはデザイヤーみたいなものがあるわけやん。でも
中垣:そうやねんそうやねん。
松田:うんうん。
中垣:それは別にデザイヤーじゃないもん。
松田:うんうん。
中垣:自分が会社の社長で、どこかの会社に発注した仕事が額に見合わないクオリティで上がってきたらそれはむかつくよ。でも服を買うときのお金の使い方は違うやん。
松田:おれさ、最近夜ご飯は毎日21時くらいにスーパーに行って、半額になってるやつを買い漁るってことをしてるねんやんか。
中垣:笑
松田:まあ全然調子はいいわけ、食事にお金かからんし。そのことについて一人で考えてたとき、
中垣:そうやねん、そうやねん。
松田:
中垣:あ、そうなんや。
松田:河合俊雄が解説を書いてるねんけど、彼がほんまにえらくて、適切な例えとか、これに関して誰がどの本でこう言ってるとか、随所随所でしっかり挟んでくるねんな。
中垣:はいはい。
松田:今まで輪郭がボヤッとしてて、どこを要素として切り取っていいのかいまいち分かってなかった『モモ』やねんけど、
中垣:うんうん。
松田:で、さっきのデザイヤーから切り離されたお金っていう考え方やねんけど、
ホラが「あれはぜんぶの人間の時間じゃないんだよ。おまえだけのぶんの時間なのだ」というように、モモが見たのは全人類の時間ではなく、自分のためだけの時間でした。つまり、一人ひとりにいのちがあるように、時間の源も一人ひとりにあるのです。モモはホラに会うことによって、自分という存在の究極の根源を見たといえるでしょう。
Source: NHK 100分de名著 ミヒャエル・エンデ『モモ』
中垣:そうやんな、時間もまさにそうやんな。お金はまあある程度は仕方のない部分もあるけど、時間なんてね、
それはいいから待ち合わせ時間は守ってね
松田:ほんまに。
中垣:そうやんな。
松田:そんな時間に最大化もクソもないよね。
中垣:時計破壊運動起こす?
松田:笑 それはもう『ファイト・クラブ』やん。
Fight Club at 20: the prescience and power of David Fincher’s drama – The Guardian
Fight Club (字幕版) – Prime Video
倉留:笑
中垣:でもロレックスだけはこっそりパクる。
松田:笑
中垣:まあまあ、
松田:それで言うと前に買ったブレスレット、あれはその問題について大きく問いかけてくるねんな。
中垣:あー、そうそう。まさにそういうこと。
松田:まあ額が額やから、それに払った金額にどうしても潜在的な可能性を見出してしまうわけ。
「君の眼鏡は10万円だけど、最低限の眼鏡はJINSに行けば5,000円で買えて、残りの95,000円があればあんなことやこんなこともできたんじゃない?」って言われると、なんかだんだんよく分からなくなってくるねんな。
Source: commmon
中垣:うんうん。
松田:
中垣:そう、そうやんな。なんか、
松田:ね。すごい思うねん、札束が詰まったトランクを持って無人島に行っても意味がないわけやけど、それはそこには生産される物もなければ欲しいものもないわけやん。
中垣:うんうん。
松田:だからなんて言うのかな、
中垣:そらね、無人島で札束持っててもそら意味ないでしょって言うだろうけど、でもそうしかねないくらいには、お金に本質的な価値があるかのように人々は振る舞っているよね。
松田:うんうん。
中垣:し、
口座残高っていうのは資本主義社会におけるポイントカードみたいなものであって、確かにそれは一定の代替変数にはなるんだけれど、ポイントを貯めるために買い物をするやつがいないのと同様(なんなら楽天経済圏を覗くといる気もするけど)、それが第一義的な目的になっているのはおかしいよねって話です。
松田:お金ねぇ…
2020年8月7日
Aux Bacchanales 紀尾井町
フロイド・メイウェザー、札束、ソースがTHE Sun、お察しの一枚である。でも僕は彼のことめちゃめちゃ好きだよ。