松田:ずっと
ズームバック×オチアイ (4)「教育の半歩先」 – GYAO!
松田:で、その中で「落合さんにとって豊かさとはなんですか?」って話が出てきて、
中垣:はいはい。
牛丼マスター中垣
松田:「僕にとってはすき家の牛丼食ってるときってかなり豊かなんですけど、
中垣:笑
松田:まあその言い方で視聴者に届くかは微妙やなと思って番組を観ててんけど笑
太郎:はいはい。
松田:で、その後に「あれが好きだ」って言って
その瞬発力で一冊の本の中の特定のエピソードをひけるのがすごいし、それを「好き」って言うのがほんとえらい
ヴィクトール・E・フランクル(2002)『夜と霧 新版』みすず書房
太郎:あー。
松田:そこで『夜と霧』の中の、囚人が夕焼けに感動するシーンを挙げててんけど、でも豊かさって確かにそういうことだよなって思ったわけ。なので、
太郎:はいはい。
中垣:おっkー
松田:『夜と霧』はヴィクトール・フランクルっていう精神科医が書いた本で、彼は第二次世界大戦中にユダヤ人として強制収容所に入れられてたのね。その中で彼は、
中垣:ノンフィクション?
松田:そうそう。彼の経験したことが描かれてる。で、戦後に出版されて、そこからは世界中でロングセラーになってんな。
中垣:はいはい。
松田:アメリカでは「私の人生に最も影響を与えた本」みたいなんにランクインしてるし、
1. The Bible.
Source: The New York Times
2. “Atlas Shrugged,” by Ayn Rand.
3. “The Road Less Traveled,” by M. Scott Peck.
4. “To Kill a Mockingbird,” by Harper Lee.
5. “The Lord of the Rings,” by J. R. R. Tolkien.
6. “Gone With the Wind,” by Margaret Mitchell.
7. “How to Win Friends and Influence People,” by Dale Carnegie.
8. The Book of Mormon.
9. (tied, in alphabetical order by title) “The Feminine Mystique,” by Betty Friedan.
“A Gift From the Sea,” by Anne Morrow Lindbergh.
“Man’s Search for Meaning,” by Viktor Frankl.
“Passages,” by Gail Sheehy.
“When Bad Things Happen to Good People,” by Harold S. Kushner. Book Recall
うーん、アメリカ
Book Notes – The New York Times
太郎:へー。
松田:結構すごいことやんね。100万部も誰が買ってるねんっていう。
全国のカウンセリングルーム
松田:で、なんでそんなに人気になったかって、単に彼が収容所の中で経験したことだけじゃなく、そこから導かれた
中垣:うんうん。
松田:ただ単に収容所生活の記録というのではなく、
太郎:うんうん。
松田:で、その本の中に夕焼けに感動するシーンがあるわけね。収容所なんて絶望も絶望の環境で、明日ガス室に送られるかもしれない生活なわけ。でも彼は言うねん、
もともと精神的な生活をいとなんでいた感受性の強い人びとが、その感じやすさとはうらはらに、収容所生活と言う困難な外的状況に苦しみながらも、精神にそれほどダメージを受けないことがままあったのだ。そうした人びとには、おぞましい世界から遠ざかり、精神の自由の国、豊かな内面へと立ちもどる道が開けていた。繊細な被収容者のほうが、粗野な人びとよりも収容所生活によく耐えたという逆説は、ここからしか説明できない。
Source: ヴィクトール・E・フランクル(2002)『夜と霧 新版』みすず書房
太郎:あー。
松田:とにかく、
太郎:うんうん。
松田:そういう生活の最も象徴的なシーンとして、
その場にいたら殴ってしまうかもしれない
松田:落合陽一はそれを豊かさを考える上でのおすすめの本として挙げてて、それはもうえらいというか、
太郎:なるほど。
松田:落合陽一の言う豊かさに端を発する『夜と霧』解説については大体そんなところで、そこから得られる主題というのは、
で、何が言いたいかというと、生きる意味は生得的には与えられないと。ただこれは別に、人生に対する虚無主義を肯定するような話ではなくて、生得的には与えられないからこそ主体的に意味を見出すことが大事なんじゃない?って話。
Source: commmon
太郎:うんうん。
松田:あとは
私たちは、自由で自己実現が約束されている環境こそが幸せだと思っている。しかし災害や病気などに見舞われた時、その希望は潰える。収容所はその最悪のケースだ。しかしそれでも、幸せはまだ近くにあるのではないかとフランクルは考えた。人間は欲望だけではなく、家族愛や仕事への献身など、様々な使命感を持って生きている。どんな状況でも、今を大事にして自分の本分を尽くし、人の役にたつこと。そこに生きがいを見いだすことが大事なのではないかとフランクルは考えた。
Source: NHK
松田:「うーん、ほんまにそうか…?」とかちょっと思ってんけど、確かになと思うところもあって。前に中垣が上司の話をしてたとき、
c 人生の蓋然性
中垣:うん…うんうん。言ってたね。
松田:フランクルの考えるのも要はそういうことで、自由で自己実現の可能性のあることをもって人生の意味、つまりは豊かさだとすると、収容所にぶち込まれた時点で人生終わりやし、
ここで必要なのは生命の意味についての問いの観点変更なのである。すなわち人生から何をわれわれはまだ期待できるかが問題なのではなくて、むしろ人生が何をわれわれから期待しているかが問題なのである。
Source: V・E・フランクル(1985)『夜と霧』みすず書房
太郎:うん。
松田:そう考えると、まあ確かになと思ったわけ。
中垣:うんうん。
松田:そういう話なんかは知らんけど、
太郎:あー、はいはい。なるほどね。
中垣:そうなんや。
松田:ほんで…ここから先、なかなかスピった話に傾くから不用意に主張するのは嫌なんだけど、とは言えこういう、
中垣:うんうん。
松田:そこで
英語でこその味わいってのもあるんですよ。これは本当にいい本
Daisetz T. Suzuki(2019)『Zen and Japanese Culture』Princeton Univ Pr
太郎:うんうん。
松田:だってさ、affirm やで? なんと言うか、まさにこう…
太郎:なるほど。
中垣:野矢茂樹の本にあった「好き」も結構近いかもね。
松田:あー、確かに。前に紹介した本やねんけど、その中で…
好きになることは、他者から与えられた規範性や価値に受動的に従うのではなく、自分で価値を定めることだし、自分の世界を作り、世界に自分だけのくさびを打ち込むことだ。好きになる対象にはこの世のほとんどすべてのことが含まれる。
Source: 野矢茂樹編(2013)『子どもの難問』中央公論新社
松田:っていうのがあるねんな。これも結構、
わたしたちは、おそらくこれまでのどの時代の人間も知らなかった「人間」を知った。では、この人間とはなにものか。人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。人間とは、ガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもあるのだ
Source: ヴィクトール・E・フランクル(2002)『夜と霧 新版』みすず書房
太郎:あー、そういうことか。
松田:まあまあ、『夜と霧』はおおよそそういう内容で、その教訓はかなり一般性が高く、彼に限らず同じようなことを言っている人もいるよというお話でした。
太郎:それは再定義なのか?というのは聞いててちょっと思ったかな。
松田:はいはい。
太郎:だからたぶん…なんだろうね、「今ここ」っていうのはどうしても個人レベルに委ねられているから、
国目線
松田:なるほどね。
太郎:一方で、みんなが「今ここ」に集中するための資源は社会的に与えられているはずなのに、なんかよく分かんないけど、
2020年9月18日
Aux Bacchanales 紀尾井町
オーストリアの精神科医、ヴィクトール・フランクル。第二次世界大戦中にナチスにより強制収容所に収容され、そこでの経験をもとに『夜と霧』を発表した。戦後は精力的に活動し、多数の著書はその多くが日本語にも翻訳されている。