白濱
某IT企業 PM
松田の大学の先輩。甘いフェイスでプリーツプリーズを着こなし、しかし内省的に思索する姿は…まさに『ノルウェイの森』の永沢さんですね!
かつて喫煙所で一服のかわりにマラルメを一編読むということをしていたらしいが、それが許されるのは彼くらいのものである(許されない)。
松田:この前、
白濱:はいはい。
松田:つまり…例えば早押しクイズ対策みたいな、ああいうインプットの仕方をしたことがないんです。だから「なんでそんなことを知っているの?」と聞かれても「二十数年も生きてたらこれくらい知ってるやろ…というかなんで知らんの?」くらいにしか思えなくて。
白濱:まあそれはそうだよね。
松田:それに対しての仮説が2つあるんです。ひとつはシンプルに、
彼の姿は、自分の身の回りのことに誠実な好奇心を四六時中向けている人間が大成したらどうなるかっていう、ひとつの理想形として一般化できると思うねん。
Source: commmon
白濱:はいはい。
松田:まあこれは言っても普通の話で、それよりもふたつ目の方が大事なことだと思うんですけど、例えば…さっき京都のコムデギャルソンの話をしたとき、
白濱:はいはい。
松田:これがどういうことかって、まず京都は区画が特殊で、間口が狭いから小さな建物に見えるけど、奥行きはかなりあるので売り場の面積は広い、ということがあるんですね。
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京町家
パークマンション
松田:それに加えて、東京とは違って近隣にコムデギャルソンの店舗がたくさんあるわけではなく、ひとつの店舗にほとんどのラインが集まっている。だから小さな店舗に見えたけど売り場は広く、服もたくさん置いていたと。
白濱:なるほど。
松田:という経験をしたときに、
松田:このように一般化すると、他のブランドの京都店に関しても「ぱっと見が狭そうでも、普通にいろいろ置いていると思う」と言い得るわけですよ。
白濱:うんうん。
松田:つまり具体的な経験から仮説を導き出して、それを理論化して再び演繹する、こうすることで、
松田:まあ今回の例はかなりザルかったとは思うんですけど、知識の獲得についてのこの説明、どうですか?
白濱:僕ね、それは本当にその通りだと思う。し、僕もそういう知識の運用をしている。
松田:
中垣:あー、そういうことね。それはその通りやな。
白濱:なんか…むしろ普通にそうだよね。ただちょっと考えたのは、一を聞いて十を知るのも、新規領域の知識を獲得していくうちに飽きがくると思うんだよね。
松田:あー、はいはい。
白濱:そこでやってることって結局は捨象とそれによる演繹だし。ただ、
そうありたい
中垣:うんうん。
白濱:それはこういった議論でもいいし、スモールビジネスでもいいと思うんだけど。で、
松田:はいはい。
白濱:たぶん僕は今それをやろうとしているんだよね。聞いていてそう思ったな。
中垣:なんかそれを考えると、
松田:はいはい。
中垣:なんやかんや受験勉強って意味あるやん。おれも嫌々やってたけど、嫌々ながらに結構意味はあったし、受験勉強してなかったとしたら、そこで得たポジティブな影響を他で補えたかというと怪しいわけ。
松田:はいはい。
中垣:で、思ったのは…無理やり教育みたいな話にしちゃうねんけど、日本の教育制度が目指しているのって、さっき言ったような本来的な意味での知性の獲得なのか、あるいは早押しクイズ的な知識の獲得なのか…どっちなん?
白濱:政策みたいな話になると丸腰で議論しても何にもならないと思うんだけど…そもそも政策って国が国の目的を達成するための手段だから、仮に国の目的がGDP増加だとすると、それにとってコスパいい手段を取ればいいだけの話じゃない?
松田:それはそうですね。
白濱:さっきまでの、自身の人生の目的を実現する方法として個人が必要な思考回路とか知識とは別の話なのかなと。
中垣:まあそうですよね。
松田:この話のきっかけは何年か前で、その頃に知り合った人に
例えば、あるガスウォーターを飲んでお腹をこわしたことがあるとしましょう。このとき、その経験を一般化することがなければ、「〇〇というブランドのガスウォーターを飲むとお腹をこわす」という個別具体的な知識を得ておしまいです。
しかし、もしその経験を一般化するとどうなるでしょう? おそらくあなたはガスウォーターに含まれている成分を調べ、そのガスウォーターはミネラルが豊富な硬水であることを知り、その中のマグネシウムによって腸が刺激されていたことを知るでしょう。
このようにして一般化された「マグネシウムを摂取するとお腹をこわす」という理論は、まだ飲んだことのないブランドの水がお腹に優しいかどうかや、便秘の際にどのような食物を摂ればいいかという、まだ経験したことのない非常に広範な具体的知識につながっていきます。
白濱:てか、なぜ勉強するのかっていう問いを松田的な思考にあてている時点で解像度低過ぎん?
「NO MUSIC, NO LIFE.」と気持ちは同じ
中垣:それで言うと、なぜ勉強するのかっていう疑問が生じた時点で君も同じだよ、とは思うな。
松田:うんうん。
中垣:
2020年10月4日
Aux Bacchanales 紀尾井町
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