中垣:
松田:はいはい。
中垣:だっておかしくない? そういう人達が本当に生産性が無いのかは別として、いわゆる働かない人達…
松田:積極的に価値を見出して、それにコミットしてると。
中垣:
松田:それを思うんならさ、そのやり方を既存の経済に受け入れさせるように努力しなければいけないというかさ…
中垣:…ですよね。知ってた。
凡庸なサラリーマンにとっての実存的な充実と全く同様に、彼らにとって一般的な社会生活は、そんなことに価値があるとは到底信じられないものなのです。
嶋田:笑
松田:言うたら税金みたいなもんやねんって。おれらだって、
中垣:最近思うねんけど、おれら言うてることだけほんまに立派やねん。
倉留:笑
松田:commmonは名言メーカーにまではなれた。早よもっと先に進まなあかん。
嶋田:読んでてまじ深いなとは思ってるで。
中垣:ジョブズと同じ目線でジョブズと同じこと言ってるけど…ジョブズじゃないねんな。
倉留:
中垣:そうね。そこで思ったんが、またちょっと別の話やねんけど、
松田:別の話過ぎん?笑
嶋田:笑
中垣:いや、関係はあるねん。背景を話すと、死刑の賛成反対に関して、おれは元々は「やってまえ」派の人間やってんけど、カミュの『異邦人』を読んで「いやいや」と。「死刑って実のところどうなんだい?」と思って、今はニュートラルやねんな。
松田:はいはい。
中垣:制度として人を殺すのはいかがなものか、みたいに、例えその死刑囚が凶悪殺人犯だとしても、それと彼が殺されることは切り分けて考えるべきじゃないのか、みたいなことを思ってたんやけど…
松田:はいはい。
中垣:でも昨日、とは言え死刑はあってくれと思ったの。それは今言ったのとは全然違う見方での話で、
松田:あー。
中垣:制度とか国って、基本的には最大多数の最大幸福的な前提のもと、あとはチューニングの世界やと思ってて、だから死刑はあってくれよというか…
松田:少なくともその線で否定するもんではないやろって話やんな。
中垣:そうそう。人道的な立場から死刑を廃止にするっていうのであれば、それはもっといろんなところでの見直しも必要になってくるというか、その思想を全面的に押し出すとすれば国ってたぶん成立しないやん。
嶋田:はいはい。
中垣:要は全員を救うことはできないのではないかって話。それをすごい思ってんけど、
松田:はいはい。
中垣:
これは名言連発の予感
松田:はいはい。
中垣:で、そこの擦り合わせに失敗すると、働きたくないけど働かなければいけない、みたいなことになるねんけど、要はそういう議論な気がするねん。
嶋田:あー。
中垣:こんなん当たり前のことやねんけど、
松田:うんうん。
中垣:そこで
嶋田:あー。
中垣:きっと多くの人はそこの擦り合わせができるんやで。きちんと教育を受けてくることで、
“Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life. Don’t be trapped by dogma – which is living with the results of other people’s thinking. Don’t let the noise of other’s opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary.”
– Steve Jobs
Source: goodreads
松田:うんうん。
中垣:で、そうじゃない人ってすごい大事やねん。
嶋田:うんうん。
中垣:なんかたぶん、おれらに足らないのはそこやねん。つまり一分の一の方面ではもうやりきったというか、あとは今の自分を大事に育てていけばいい、みたいな感じやねんけど、
松田:笑
中垣:し、
松田:それはほんとそう。
おれらのメディチ家はどこにいるんだ?
嶋田:笑
中垣:ってか、そう考えると社会って結構すごいと思うよ。だって、人間として生まれた人間のおれからしてみれば、結構いびつな社会なわけよ。すごく特殊な訓練を受けないと生きていけない社会なわけ。
倉留:うんうん。
松田:一分の一の中垣からするとね。
中垣:
倉留:はいはい。
中垣:なんなんだって思っちゃう。
嶋田:うーん。
中垣:まあ松田はね、おれに聞かれても…って感じやろうけど。
松田:笑
中垣:最近ほんまに分からへん。
嶋田:でもそれってあるやろうな。
中垣:そうやんな。
嶋田:
松田:うんうん。
嶋田:むしろ一分の一の自分について考える方がしんどいからさ。
倉留:あー。
松田:で、定年退職後にアイデンティティクライシス。
中垣:そうやんな。
嶋田:
松田:でもそう考えるとあれやんな、
中垣:あー、逆のしんどさがあるってこと?
松田:そうそう。
中垣:うーん、そうかそうか。あと彼ら…なんでか仮想敵みたいになってるけど、
松田:あー、確かにね。おれらの見地からすると、
倉留:笑
嶋田:クソかっこええやん笑
中垣:そうそう。
おれは素敵っておれが言ってる
松田:うんうん。
中垣:彼らはそれをすごい必要としているように感じるというか。
倉留:あー、確かにね。
松田:それはそうやな。
中垣:
嶋田:笑
松田:でもやっぱり、サークルの飲み会があったら参加せずにはいられないっていうマインドはしんどいよな。彼らは彼らなりに大変やで。
中垣:だからメンヘラとかってあれなんかね、一分の一にきわめて近い、一億二千万分の一の人みたいな。
松田:あ、そういうことね笑 漸近してるけれども絶対に一分の一にはなれなくて、一億二千万分の一に逃げちゃってるんか。
中垣:そうそう。一番恐怖やんね。でもあれやろ、
嶋田:何それ?笑
松田:一億総セミナー社会っていうのは、人類の生産性が向上した結果ベーシックインカムが導入されるなりして、基本的な豊かさが労働に依らずして得られるようになった先にある、
嶋田:笑
倉留:笑
中垣:そうそう。
2020年6月19日
Aux Bacchanales 紀尾井町
ドイツ出身の哲学者・思想家のハンナ・アーレント。彼女の政治思想の集大成としては『人間の条件』が有名で、ちくま学芸文庫版の帯にある「思考で世界は変えられる」の文言は、まさに彼女のスタンスを簡潔に表してる。
彼女の言う「活動」や「自分を世界の中に挿入し、自分の物語を始めるという自発性」は、一分の一としての自分を損なうことなく一億二千万分の一の自分を実践する上で、大いに参考になります。