中垣:
松田:それ知らんなぁ笑
中垣:なんか最近ちょっとはまってて、例えば日本人にとってのパリとかニューヨークとかもそうやけど、それぞれの都市に対する憧れがあって、
松田:はいはい。
中垣:パリは華やかで~みたいなね。まあ実際行ったら道にめっちゃゴミ捨てられてんねんけどさ。
松田:笑
松田:家は? 映画で見るような石造りのアパルトマンに住んでたん?
かのこ:全然、超近代建築。
松田:笑
かのこ:しかもみんなが想像するパリってセーヌ川沿いなんやけど、私が住んでたところは一番端っこの15区なのね。
松田:はいはい。
かのこ:そこに住んでるのはチャイニーズとコリアンばっかりで、全然そんなパリって感じではない。
Source: commmon
c パリ留学記
中垣:それでカリフォルニアに対してもそういうのってあるわけやん。気候がよくてサーフィンでヒッピーでApple、みたいな。で、これを我々が感じるのはまあいいねんけど…
松田:あー…なるほどね笑
Looking At the ‘Whole Earth Catalog’ While the World Falls Apart – GARAGE
中垣:だから、実はカリフォルニアなんてものは存在しないねん。
松田:はいはい。
中垣:確かに断片的な事実はあるねんで。でも結局はヒッピーだって、自分達の西海岸らしさに酔いしれてただけのところはあると思うし、どこまでもニューヨークではないオルタナティブを仮託され続けてるんじゃないかっていう。
松田:つまり世田谷か。
中垣:あ、そうそう。
松田:うんうん、なるほどね。解像度の高い目線を外部からあてると案外何もないっていう。
中垣:ただカリフォルニアが難しいのは、まあ言うても何かはあるというか、実際気候はめちゃめちゃいいし波もいいし、あとは植物もああいう感じのやつやんか。
松田:はいはい。
中垣:その上でさらに幻想的なそれを信じて作り上げられてきてるから、それは結構すごいわけよ。
ガバ理論過ぎて涙出る
松田:時が経つにつれ鶏なのか卵なのかって感じで、ある程度磐石にはなってくるってことね。
中垣:そう。だってカリフォルニアが今みたいな立場を確立したのって、言うてもそんな昔じゃないでしょ。戦後とかでしょ。
松田:まあ知らんで笑
中垣:つまり…どういう言い方をしたらいいんかは分からんけど、でも大都市的なものがカリフォルニア的なものを求めてたんやと思うねん。
松田:はいはい。
中垣:
松田:なるほど。
概念じゃないです
中垣:もちろん最初はリゾート的な何かで十分やってんけど、でもそれでは足りなくなって、都市のオルタナティブとしてああいう街が生まれてん。
松田:東京に対する熱海と湘南やね。昔は東京の奥座敷としての熱海があればそれでよかったけど、それだけでは足りなくなったと。そうじゃなくて完全なオルタナティブとしての湘南があって、なんならそこに住んじゃう可能性も、それを実践している人達もいると。
パサニアクラブ買って隠居してぇ
中垣:そう、そうそう。
松田:コンクリートジャングルで生きる我々にとって、
中垣:やっぱカリフォルニアはまじで発明やと思うな。最初にカリフォルニアの種があって、それが雪だるまみたいに膨らんでいってん。でもな…湘南はやっぱりちょっと弱いよなぁ。
松田:地理的にそんなに広くないもんね。何回か行ったことがあれば、自分の知っている具体以上の幻想をそこに託せなくなるねん。
中垣:うんうん。
松田:でもカリフォルニアはでかいからね。どっかに誰も知らんカリフォルニアがあるはずやねん。
中垣:だから日本におけるカリフォルニアは現状湘南っぽいねんけど、でもそうじゃないと思うねん。
松田:はいはい。
中垣:
松田:確かに。
中垣:もちろん今でもそういうところはあるけど、
松田:京都はまあせやね。バーチカルな裏付けがあるもんね。
時間的なそれのことを言いたかったそうです
中垣:あとはなんやろうね、ニューヨークはメトロでちまちま移動するけどカリフォルニアは車でバーって移動するみたいに、移動の体験が全然違うのもいいと思うねんな。
松田:はいはい。
中垣:東京って土地の高低差が結構あるけど、京都はずっと平らやし、区画も碁盤の目になってるやん。
松田:そういうことね。
中垣:でもやっぱそういう感じって既にあると思うよ。
松田:あのロンハーマンかなり純度高いよな。やってんなって感じあるよ。
中垣:あとは他のフロアにトゥモローとかエストネーションもあるし、地下には本屋もあるし。
松田:あれがね、四条通りからちょっとだけ離れてる感じもいいと思うねんな。四条通りって分かりやすくデパートが面してて、あとはBAPEがあったりもするやん。
中垣:あー、はいはい。
松田:あの主役感がちょっとしんどいって見方はあると思うねん。でもそこからちょっと北に行ったらロフトマンが現れ出して、ほんでもうちょっと行ったらBALやろ。あの感じがおれは好きやねん。
中垣:確かに確かに。
松田:
中垣:あとはさ、京都を観光するっていうのはまあむちゃくちゃあるけどさ、
松田:うんうん。
中垣:結局京都人にはなれないからね。だからそうじゃなく、京都に住まうにはどうしたらいいかっていう…
松田:住まうとか言うてもうてるで笑
中垣:やっぱり観光する感じとはちょっと違ってくると思うねん。
松田:京都に生まれ育った人からも観光客からも0.5歩くらい退いてね、執着なくふらふらと生活するんがいいと思うな。
中垣:うんうん。あとはやっぱ、京都に東京の金が流れ込んでこないとあかんよね。言うても東京に比べたら土地も安いねんから、
松田:はいはい。
藤塚吉浩(1992)「京都市西陣地区におけるジェントリフィケーションの兆候」,『人文地理』44(4), p.495-506, 人文地理学会 – J-STAGE
中垣:カリフォルニアだってそうやん。そういう変なドライブがかかればいいから、だから…
松田:どうなんやろ、言うても京都の中心の不動産価格って高い印象あるけどな。
中垣:だからさ、ちょっと外れたくらいのところがいいねんって。左上が穴場やと思うで、この辺をビバリーヒルズにするねん。
西陣のらへん
松田:できるかなぁ…あとはフルブラッドの京都的価値観とは対立しそうやけど、それはええんやんな?
中垣:いや、それでいいねん。そこが対立することがむしろいいねん。
松田:なるほどね。あとは下鴨神社のあの辺もわりとええんちゃう?
中垣:あー、ちょっと分かるかも。
松田:いい塩梅に中心から離れてるし、糺の森を借景的サムシングにできるやん。
中垣:確かに。
2021年10月10日
Aux Bacchanales 紀尾井町