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思索

社会を変えるんじゃないんだよ、お前が変わるんだよ

課題解決にあたっては、輪郭のはっきりしない大義より、確実な実効性のある一挙手一投足から始めましょうというお話です。

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次郎:「社会は変えられるか」、このテーマは?

松田:これはね、ちょうど一年くらい前に代々木上原の部屋でcommmonをしたとき、なつきが出した話題やねんな。

次郎:はいはい。

松田:そこでなつきが言っていたのが、欧米とかでは教員の意識がめっちゃ高くて、「君達は社会を変えられるから、大学での勉強を頑張ってほしい」って言って、学生をエンパワーしてくれる感じがあるらしいねん。社会に対する効力感を芽生えさせてくれるようなはたらきかけが、大学の普通の授業の中でもあると。

c 社会はn-1人による集合ではない

次郎:うんうん。

松田:これに関して、社会に対して効力感を持てているかどうか、これは主題として確かにもっともだなとも思いつつ、それを「社会は変えられる」って言ってしまうのは変な気もしていて

次郎:うん。

松田:「社会は変えられる」って言うとき、その「社会」という表現は複数の個人からなる全体を想定しているわけだけれども、その全体が個人の集合として定義されている以上、社会が変えられる変えられない以前に、あらゆる個人の何気ない一挙手一投足はそれがなんであれn分の一の重みで全体に貢献しているわけで、そこを認識するのが先じゃね?って思ったのね。

次郎:あー、なるほどね。

松田:自分とは離れたところに「社会」なるものがあって、積極的な意志を持って初めてそれにはたらきかけられるというのではなく、こちらがどういった意図を持っていようが、そのことに自覚的であろうが無自覚的であろうが、お前の一挙手一投足はまさに世界を形作ってるんだよって

河合隼雄(2005)『ナバホへの旅 たましいの風景』朝日文庫
Image: Amazon.co.jp

全ての部分の相互相関のもとに全体を捉え、部分が矛盾なく全体に同一化されるネイティブアメリカンの世界観に、河合隼雄が迫ります

河合隼雄(2005)『ナバホへの旅 たましいの風景』朝日文庫

次郎:うんうん。

松田:だから例えばさ、コンビニで何かを買う場合にローソンなのかファミマなのかセブンなのか…この決定だって、極々わずかにではあっても、やはり世界のあり方を間接的に決定してるわけ。そういう認識を日常の些事にいたるまで持つところから始めようぜ?っていう。

次郎社会を変えるって、なんか別にたいそうなことではなくて、オプションのひとつだと思うわけ。例えばグレタさんみたいに、世の中の多くの人の認識を動かすために活動をしているっていうのもあるだろうし、おれが公務員として、国全体に適用されるルールをどう設計するかについて考えてるのもそうで、社会に関わるオプションのひとつとしてできるだけ広範な人に影響を及ぼそうっていう選択をするのは分かるけど、別にみんながみんなそれを指向しなければいけないのかと言うとそんなことはなくて、むしろ松田が言ったような日常の些事、例えばコンビニでこれを買ったらそれが従業員の給料になって…っていう循環が起こるわけじゃない。

松田:うんうん。

次郎:むしろそういうことを自覚してほしいよね。それが無いから、GoToトラベルじゃなくて直接補償しろよっていう意見が出てくるわけじゃん。いやいやそうじゃなくて、ああいうやり方でこそ旅行客が他に余分な出費もするっていうレバレッジが効くでしょ、っていう。

松田:笑

次郎:でも松田のそのスタンス、おれは好きだよ。

松田:なんかさ、コンビニで何かを買ったらその売り上げが従業員とか生産者の給料になって…って話はほんまその通りで、だからこそしょうもないものを購いたくはないねん。しょうもないものにお金を払うっていうのは、そのしょうもないものを生産する人を世の中に生み出してるのと一緒やねんな

アイン・ランドに学んだスタンス

c 『肩をすくめるアトラス』の一番いいシーン

次郎:あー、うんうん。

松田:しょうもないものにお金とか時間を割くっていうのは、その存在を肯定することに等しいわけ。カスみたいなキュレーションメディアを閲覧するっていうことは、そのカスみたいな記事を書いて内心しっくりきていない人のその気持ちを原理的に支えることになるわけ

次郎:いや、本当におっしゃる通り。

倉留:間違いない笑

commmon はいくらでも読んでください

松田:誰かが何かしらの妥協のもと生産したものを消費してはいけないねん、そうしている限りその人の妥協は存在し続けるから。そんなん絶対によくないやん。だからこそ、同種の別のものと比べて排他的にいいと思えるものにしかコミットしたらあかんねん。

“Strive for perfection in everything you do. Take the best that exists and make it better. When it does not exist, design it.”

– Sir Henry Royce

Source: goodreads

次郎:社会を変える、それを主題にするのは自由なんだけど、むしろ日本国民全員が自らの選択の持つ意味に自覚的になった方が、絶対に世の中は良くなるよね

倉留:はいはい、n-1問題ね。

c 自分本意でいこうぜ

松田:そうそう。世の中を良くすることが目的なのなら、社会を変えるっていう主題はちょっとちゃうと思うねん。

次郎:全員が自らの選択に自覚的になったらクソみたいなキュレーションメディアは絶滅するわけでしょ、最高じゃん。そうであればきっと処理水の問題もここまで紛糾しないはずで…

トリチウムなど含む水 “海洋放出が前提” 国の地元への説明で – NHK

松田:笑

次郎:いやー、でもなんか、その辺の敗北を最近ほんと感じるな。

2020年10月23日
Aux Bacchanales 紀尾井町

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