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お金のこと 仕事 思索

しっくりくるお金、こないお金

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松田:もし何もせずにお金がもらえるとしたら、それはみんなもらいたいと思うねん。

中垣:はいはい。

松田:でも、もし今の仕事を辞めたら働かずに月100万円もらえるのなら? もちろん「どうしますか」って聞かれて「もらいます」って答える人はなんぼでもおると思うねんけど…

中垣:なるほどね。

松田:それはほんまなんか?というか、仕事を辞めて働かずに月100万円もらったら、人はどんな気持ちになるのかというか

みなと:あー…

中垣:自己効力感は得づらくなりそうやね。

みなと:これは直観ベースなんだけど、僕は結構嫌だな

松田:そう、なんか案外気持ち悪くなる気がするねん。もちろん生活保護と同額くらいの、光熱水費と食費と住居費をギリギリまかなえる額とかならいいねんけど…

港区でわれわれの年齢の一人暮らしなら月130,120円、普通にきついね

中垣:確かに。

松田:それ以上の余剰分から「これは自分にとって価値のあるものだ」と思って何かにお金を払った瞬間、いかんとも言い難い気持ち悪さを感じる気がするというか、自分の「いいと思う」を信じられなくなる気がするねん。

みなと:あー。

中垣:確かに確かに。

親に誕生日プレゼント買ってもらうのとかも気持ち悪かった

松田:やっぱり、自分の中で生産と消費がとんとんになってる実感って必要なんかなって。

中垣:そうなると、おれの場合公共性の高い出費が多くなりそうな気はする。寄付とまでは言わないけど、自己同一化の程度の低い「ちょっとやってみよう」系に使うことになる気はするけどね。

みなと:あー、なるほどね。

中垣:おれにとってボーナスってそんな感じやったわ。だからそれはそれでいいんじゃない?というか、自分だけのお金ではないんだけど、それを使う役割が周ってきたから、おれなりに最大化するならどうしようか…みたいな気持ちになりそう。

太郎:なるほどな。

松田:それはそれでしっくりきそうやね。

みなと:それで言うと去年10万円の給付金があったじゃん? あれをどうしていいものか、最初はちょっと分からなかったな。結局他のお金と区別できずに、今の残高のうちの10万円があれということにはなってるんだけど。

特別定額給付金 – 総務省

松田:あー、あれは気持ち悪かったね。

みなと:みんなに配られたものだからまだよかったし、あれをもらわない意味は分かんないんだけど…

松田:そうやねん。この話のややこしいのは、お金がもらえますけどどうしますか?って言われたら、それを拒むやつなんていないに決まってるってとこやねん。

なつき:笑

松田:でももらうと、それはそれで案外違和感が残るっていうね。

中垣:なんかさ、トップキャバ嬢ってその辺は健全そうというか、めっちゃ稼ぐ代わりに自分もめっちゃ使ってへん?

https://twitter.com/emirio9o1/status/1059364404561555456

松田:あー、分かるわ。同業の間でジャブジャブ使ってるもんな。

みなと:そうなんだ。

中垣そもそも自分のお金っていう意識があんまり無いんやろうね。あとは服屋の経済圏にもそれと近いものはあると思うけど、お互いに買って買ってもらって…って感じで。

みなと:なるほどね。

松田:あれはあれで、なんか経済っぽくていいよな。

中垣:そうやんね。前からお金をお金と思わない方がいいっていう話はしてきたけど、そういう感じには近いよね。

c 川で拾った石とフェラーリの話

太郎:さっきの50万円の話はさ、仕事を手放すことが大きなポイントなの?

松田:うん、そこは大事な気がしている。つまり、自分が社会に生産的にコミットしていないという前提のもとでこの論点は際立つかなと思っていて。

太郎:はいはい。

松田:もし仕事を辞めずに、その給料にプラスでお金をもらえるという話なら、結局のところ給料と何もしないでもらったお金は口座の中でごっちゃになるから、自分の何の生産にも対応せずにお金が入ってくるということを強調するためには、その前提はあったほうがいいかなって

太郎:なるほど。そうねぇ…仕事と家庭以外で他者とのつながりを持っている人がどれだけいるのかは分からないけど、そういう社会とのつながりがない状態でお金をもらうと、きついと思う人は多い気がするな。

中垣:でもさ、スタートアップの経営者とか中小企業の経営者って収益のうちどれだけを自分の収入にするかが自分で決められちゃうから、それ次第では入ってくるお金が数百万円単位で変わってくるやん?

松田:うんうん。

中垣:うちの親も、おれの兄貴が障害者やから控除がすごいねん。働くのとは別に兄貴がおるだけで入ってくるお金があるわけ。そういうことを考えると、そういう状況の人って世の中に少なくはないんだろうなって気はするけどね

松田:まあ確かにな。ただ結局働いている限りにおいてはさ、なんやかやの収入がいくらであれ、それが自分の生産と対応しているという認識を一応持てるわけやん。

中垣:まあせやね。それに中小企業の経営者がやるような節税とかもそれなりの手続きは必要やから、そのことで得たお金っていう見方はしやすそうやんね。

松田:そうそう、そこに対応関係は見出しやすいやん。だから全く生産と対応しないお金となると、これはなかなか…

みなと:僕、元は祖父が買った住友化学の株を持ってて、証券会社に口座を作って買ったやつじゃないから都度配当を受け取りに行かないといけないんだけど、10年間全く行ってなくて今いくらになってるのかも全然分からないのね。

松田:うんうん。

みなと:今までに受け取りに行こうと思ったこともあるんだけど、「これは何のお金なんだろう?」って思ったらなんか行けなくて…

河邑厚徳・グループ現代(2011)『エンデの遺言 根源からお金を問うこと』講談社+α文庫
Image: Amazon.co.jp

河邑厚徳・グループ現代(2011)『エンデの遺言 根源からお金を問うこと』講談社+α文庫

松田:うわー、確かにそれは気持ち悪いな笑

みなと:しかも相続でもらった株だから、僕にとっては全然実態がないんだよね

太郎今後資産価値が上がるからとか、そういう判断でさえ自分がしたわけじゃなく、でもなぜかあるっていうね。それは確かにきもいな。

松田:それで一生ペンディングしてると。

みなと:住友化学も困ってると思う。

中垣:松田自身としては、そういう違和感って感じるん?

松田:うん、それは感じるな。まあみなとほど分かりやすい機会があったわけじゃないけど、でも10万円の給付金も違和感あったもん。もちろん何も考えへんかったら「ラッキー」って感じやねんけど、ちょっとでも真面目に考えるとやっぱり変な感じはあるな。

中垣:あ、そうなんや。

松田:今後そういう棚ぼたチャンスがあっても、積極的に挙手するかというとちょっと怪しい。

嘘です

中垣:なんか理想としては、みんながそんなことはどうでもいいと思える、つまりお金をお金と思わなくてもいい社会の方がええんかなと思って聞いててんけど…

松田:うん、それはそうやと思うな。

中垣:それで自分に根拠のないお金が入ってくるって話やねんけど、前に外コンで働いてる友達が、社内の総会でリードパートナーと話す機会があったって言ってたのね。

松田:はいはい。

中垣:そこで「僕は音楽とかでもやりたいことがあるんですけど、今の収入のことを考えると思い切ることもできず…」みたいな話を持ちかけたと。

大森:現状は、主観的にじゃなく客観的に見ても結構輝かしくて、このレールをそのまま走ってると結構なとこまでいけるぞ、って。

中垣:そうですよねぇ…

松田:そう考えると、確かに辞められる気はしないですね。

大森:そう、それがぶら下がってるのに辞めるって、どんだけやりたいことなんだよって。

中垣:笑

大森:しかも現状、そんなに仕事が苦痛でもないっていう。もう無理だよ。

中垣:あー…昇進見える前に辞めよ。

Source: commmon

c 【教えて大森さん】今の仕事と本当にやりたいこととの間で悩んでいます

松田:うんうん。

中垣:それでその人は「一回パートナーになってみな」って言ったらしくて。

松田:うわぁ…

中垣:それがどういうことかって、トップのパートナーともなると年収は億単位になるねんけど、そこまでになるとお金の使い方として自分がどうこうとかは興味がなくなっちゃうって話をしてたらしくて。

その人は何かの不幸で年収200万円に転落しても同じメンタリティ保てんのかな?

松田:はいはい。

中垣:だから「一回なってみな」ってことやってんけど、それってある意味ではいいかもなと思って。つまり高級取りって、自分の社会に対する貢献からすると「それはおかしいだろ」ってくらいもらうわけやけど、そこまでいけばお金がお金じゃなくなるという意味では悪くないんじゃないかって

みなと:あー…なるほどね笑

松田:でもみんながそれをやると、結局はどつき合いになってほとんどの人は救われないから、社会全体に適用できる話ではないよな。あくまで、エリートサラリーマンにとってのポジティブ目なバグって感じやとは思う。

中垣:それはそうやね、分かる分かる。

みなと:そうだよね。結構危うさはあるというか…

松田:し、若手から相談されてそれを言ったパートナーもちょっとどうかと思うけどね笑

みなと:そうだね、アドバイスとして人に言うことじゃないよね。

松田:そうそう。

中垣:まあだから、世の中のほとんどの人にとってお金をお金と思わなくなることは難しいという前提の上で、一部の人にとっての近道としてはありなのかもなって

松田:なるほどな。

みなと:中垣の言うお金をお金と思わなくなるって、もうちょっと具体的にはどういうことなの?

中垣:えっとね、例としては成金的な小金持ちと、代々慶應学閥みたいなやつ、Zeebraみたいなやつをイメージしてくれたら分かりやすいねんけど…

もうちょっといい例あったでしょ

太郎:笑

みなと:うんうん。

中垣:例えばフェラーリを買うとき、それを“““高級スポーツカー”””だと思っているとすると、その時点で既にお金が主題になっているわけやん。

フェラーリ 812 superfast
Image: Ferrari

812 superfast – Ferrari

太郎:あー…

中垣最初から価格を意識している時点で、その額はどうであれお金がお金に見えていると

みなと:うん。

中垣:でもほんまにめちゃめちゃ裕福なやつ、あるいは価格以前に自分がそれに惹かれているということが先行しているやつにとっては、フェラーリとカローラに価格の上での差は存在しないわけ。前者にとっては予算に対して価格差が相対的に小さ過ぎるし、後者にとってはそれに惹かれているという事実の前で価格差が瑣末な問題になるから、いずれにしてもどっちがより自分的にしっくりきてるとか、そういう指標で比較できるわけ。

みなと:うん、なるほど。

中垣:それでお金がお金に見えてる人って、持っているお金の多い少ないに関係無くいるよねって。

みなと:うんうん。予算制約線の範囲内で行動を決定していて、その線の位置の高さにだけ価値を見出してる感じだよね。

予算制約線(よさんせいやくせん,英: budget constraint line)、あるいは単に予算線(よさんせん)とは、予算制約式を、財・サービスの消費量と財価格のグラフ上に描いた直線である。 この直線が無差別曲線と接する点(主体的均衡点または最適消費点と呼ぶ)において、消費者の効用が最大化される。

Source: Wikipedia

予算制約線 – Wikipedia

中垣:そうそう。だから別に慶應学閥じゃなくてもよくて、年収200万円でもお金が主題にならない人っていると思う

みなと:なるほどね、分かった分かった。

中垣:そこでさ、ロールス・ロイスのあの中間のやつ、「あれはどっちの人が買うんやろう?」ってすごい思うねんな。

ロールスロイス ゴースト
Image: Rolls-Royce Motor Cars

GHOST – Rolls-Royce Motor Cars

松田:あー、それは確かに笑

中垣:逆パターンもありそうやんね。お金をお金と思っていないからこそ、あれがちょうどいいっていう人

松田:「ファントムはちょっと大き過ぎるからね」とかね。あとはNIGOちゃんも絶対にそっちやんな。新しく出たちょっと変わった顔のロールスロイスっていうだけで買って、半年後には売るんやと思う。

NIGO®︎ – Instagram

中垣:笑

松田:一方で“““ロールス・ロイス”””がとにかく欲しくて、でもバジェットと相談してゴーストで手を打つって人も全然いるやろうし。

太郎:価格設定の意図としてはそっち狙いなんだろうね。

松田:まあそうやろうな。新型のゴーストってわりと下品な顔してるというか、アルファードみたいなオラついた雰囲気あるし。

中垣だからiPhone SEに近いよね

iPhone SE – Apple

なつき:笑

松田:確かに笑 ほんまは最新のモデルが欲しいけど予算の点で妥協して選ぶ人もいれば、「過不足ないしこれでいいじゃん?」って言って選ぶ人もいる。

中垣ゴーストはファントム SEってことやね

みなと:笑

2021年1月31日
Aux Bacchanales 紀尾井町

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ロールスロイス ゴースト
HeaderImage: Rolls-Royce Motor Cars

「ポスト・オピュレンス(脱贅沢)」のデザイン哲学にのっとり、華美な装飾を排除して生まれた新型ゴースト。ロールス・ロイス史上最も多く販売されたモデルである従来モデルから、約10年ぶりのフルモデルチェンジを果たした。路上の歩行者などを検知して警告するビジョンアシストや自動駐車システムなど、技術的にも大きく進歩している。
6.75リッターV12ガソリンターボエンジンを搭載し、 写真のロングホイールベースのモデルの価格は4200万円から。

GHOST EXTENDED – Rolls-Royce Motor Cars