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流動食的なるもの

4 years

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中垣:なんかさ、鬼滅の映画…まあおれは観てないねんけど、それに対するネガティブ意見として「流動食」って言ってる人をツイッターで見てん

みなと:笑

中垣:それで流動食って、普段ここで言ってるようなEDMともまた違うなと思って

c 見栄を張らなくてもいい世界線

松田:はいはい。

中垣:EDMって刺激は結構多いわけやん。だから言うたら二郎と流動食というか…

松田:あー、なるほどね。

中垣どちらも積極的な何かがないという意味では一緒やねんけど、二郎的なものと流動食的なものはまた違うやん。

みなと:なるほどね。

中垣:それで鬼滅の映画は流動食らしいねんけど、まあなんか分かる気がするねん。で、これまた観てないねんけど、アニメ映画で…前前前世のやつあったやん。

みなと:『君の名は』ね。

中垣:そう、あれもたぶんそうやん。

松田:おれは観たけど、確かにあれはEDMじゃないね。

中垣:ほら、流動食やん。

みなと:そうなのかな…まあ確かに笑

松田:じゃあ映画で言うとさ、そもそも二郎でも流動食でもない普通のご飯はどれなん?

中垣:うーん、まあハリウッド映画はEDMやん。ミッションインポッシブルとか…

みなと:トランスフォーマーとか。

中垣:あとはファスト・アンド・フュリアスとかね。ああいうのは二郎系、EDMやねん。

松田:笑

日本では『ワイルド・スピード』って言うんだぞ

みなと:『千と千尋の神隠し』は?

中垣: 千と千尋はちょっと難しいね。あれが普通の映画だと言いたいところだけど、あれはちょっと…スルメやん。

みなと:笑

松田:じゃあ女子高生が主人公の、彼氏が病に侵されてる系のアレは?

中垣:あー、『1リットルの涙』みたいなやつね。

松田:1リットルの涙はちょっとガチやから下手なこと言われへんけど、でもまあそれ系やね。

1リットルの涙 (テレビドラマ) – Wikipedia

中垣:あれ系は…なんなんやろ。

松田:あれは言うたらカフェ飯っぽいんかな。分かりやすく良さそうやねんけど、よくよく見たら別に大したことないっていう。

中垣:そもそもああいうのって、観た人もそこまで深く感じいってないもんね。でもまあそういうのが普通のご飯…ってか普通ってなんやろうね?

普通ってなんですか?

みなと:『風と共に去りぬ』とか『カサブランカ』とか? あとは『ラ・ラ・ランド』が思い浮かんだけど、でもあれはEDMでありながら流動食って感じだよね。二郎が流動食で食えるみたいなさ。

中垣:そうやね笑

松田:じゃあさ、流動食とカロリーメイトは何が違うん?

中垣:カロリーメイトは美味しくないやん…まあそんなん言ったら流動食も美味しくはないねんけどな。

松田:あー、まあなるほどね。美味しさを捨てているという点で、確かにカロリーメイトはちょっと違うね。

中垣:だからカロリーメイト的な映画っていうのは存在しないよね。「映画を観たことにしたい」みたいな笑

松田:土日の用事を埋める用の、900円で観られる映画ね笑

みなと:でもなんか、5年くらい前のアカデミー賞の映画が結構そんな感じじゃなかった? 映画業界をメタったみたいなやつで、観てもあんまりよく分からなかった。

中垣:あー、確かにあれはちょっと難しかったね。でもすごい映画感はあったよ。

みなと:そうそう。だからなんだろうね、栄養は摂取できていないんだけど、並べられているものは結構すごいというか。

中垣:見応えはあったよね。ドライバー視点のF1レースの動画を見てる感じ

松田:じゃあそれは…いや、まあええわ。これ以上話を複雑にしてもあれやしな。

みなと:笑

松田:でも流動食的なものがあるっていう話はよく分かるな。

中垣:なんか…普段はEDMっぽいとかってよく言ってるけど、でも流動食っぽいものの方がよりたちが悪いなと思って

みなと:なるほどね。

松田:EDMっていうのはさ、そのものまさにクラブなわけやん。じゃあ流動食ってなんなん?

中垣:どういうこと?笑

松田:シーシャバーとかなんかな。

みなと流動食のたちが悪いのはさ、いつの間にかそれに身体を慣らされそうというか…

中垣:そうそう。

松田:じゃあ六本木と下北沢って感じ?

中垣:それも結構近いけど…要はお膳立てされてる感やんね。だから中目黒とかが流動食なんかなとは思うけどね。心地良さのフルセットみたいな

松田:なるほどね。中目黒と六本木か…ギリギリ六本木の方が好きやな。

c 六本木の本屋を案内するよ

みなと:EDMとか二郎ならまだ吐き気を催せるけど、流動食ってね…

松田:うわー、確かに。そういうことやね。

中垣取扱注意感さえないよね

みなと:映画とかでもそうだけど、そういうコンテンツ消費に慣れてたら、もう帰って来られなさそうだよね。

松田:なんか、インスタファッション界隈とかも流動食っぽいよな。

アカウントは…さすがに貼りません

中垣:そうやんね。だから…例えば新しい商品が出たときに、人はそれによって新しい感覚を見つけるわけやん。「こんなのもいいと思えるんだ」って。

松田:うんうん。

中垣:本当はそれこそがイノベーティブなものなんだけれど、そうやって生まれた新しい感覚にぴったりとはまるようにのみ提供されるものもあって、その感じが流動食ってことやんね。

松田:そうやんな、ほんま極悪やで。

中垣:だから…バルミューダやね

松田:笑

みなと:あー、なるほどね笑

BALMUDA The Toaster
Image: BALMUDA

BALMUDA The Toaster – BALMUDA

中垣:バルミューダが気持ち悪いのはあれが流動食的やからやねん。あれの良さは既に知ってたし、誰もが確実に良いと思えるねん。でもあれは、新しいものは何も生み出してない

松田:これははまったね、ドストライクですよ。

中垣:いやー、5年分くらい溜まってたバルミューダが嫌いな感覚を言葉にできてすっきりした。

雑誌の広告を破り捨てるくらい嫌い

みなと:笑

中垣:でもそういうのって結構いっぱいある気がするよね。

松田:それこそ、既に開拓された価値観にはまるようにのみ設計されているものとして流動食的なるものを定義したらね、そらもうなんぼでもあるよ。

中垣:もちろんさ、ちょっとずらしていく感じとかなら、それはそれで良いと思うねん。新しく生まれた感覚からちょっとずらして「これもいけるでしょ?」みたいなやつ。

松田:うんうん。

中垣:なんだけど、それすらないものも多いよね。

みなと:まあそうだよね。

中垣:だから逆にさ、一酸化炭素中毒みたいなのってできひんのかな? はまっちゃうけどあかんもの。

みなと:笑

松田:あかんおもろい笑

血液中のヘモグロビンは酸素と結びついて全身に酸素を運ぶ役割をしていますが、一酸化炭素は酸素に比べて200倍以上もヘモグロビンと結びつきやすい性質を持っています。このため一酸化炭素があるとヘモグロビンは酸素と結びつくことができず、血液の酸素運搬能力が低下してしまい、酸素不足に陥ります。これが一酸化炭素中毒です。

Source: e-ヘルスネット 厚生労働省

一酸化炭素 – e-ヘルスネット 厚生労働省

中垣:「ええと思ったのに…あかん、なんかおかしい」みたいな。

松田:それは発明やね。

中垣:あとはなんか渋谷の再開発とかもさ、まあ概ね賛成やねんけど、ちょっとその感はあるというか。

みなと:ふーん。

中垣:なんか…行政があんなことをするのは結構すごいことやと思うねんけど、でもあれは結局、今まで渋谷にいた人達が作ってきたものに寄り添っただけというか

c 宮下パーク、渋谷ストリーム、パルコ、スクランブルスクエア

松田:はいはい。

中垣:まあ別に知ってた光景ではあるやん。

松田:なるほど。まあ確かに、あくまで渋谷やもんね。「これ街の名前ごと変えた方がええんちゃうか」とまでは思わへんもんね。

中垣:そうそう。あとはレショップとかもさ、すごくセンス良いなとは思うねんけど買いたいと思ったことはなくて、それもそういうことなんかもなって。

多くを敵に回す回

L'ECHOPPE
Image: L’ECHOPPE

L’ECHOPPE

L’ÉCHOPPE – Instagram

松田:はいはい。

中垣:なんか芸は細かいし、置いてるもんもすごいねんけど、でも知ってるものではあるねんな

松田:うんうん。芸が細かい、つまり解像度は高いねんけど、でも枠を外れてへん感じはあるよな。

中垣「これを良いと思う感覚自体は既に知ってたぞ」みたいな。

松田:同種のものの中ではええもんやねんけど、でも同種のものは既にあるねんな。

中垣:そうやねん。だから、あの店がコンサバティブな人のエクスキューズとして使いやすいのもすげえ分かるねん。

松田:うんうん。

中垣:だってあの土壌は2012年にポパイが耕した土壌やん、もう10年前やで。

『POPEYE』2012年7月号, マガジンハウス
Image: Amazon.co.jp

『POPEYE』2012年7月号, マガジンハウス

松田:なんか他にもいい例はないんかな…

中垣:だからさ、自動車のグリルが10年後になくなってたら、それはテスラがすごかったってことやんね

松田:確かにね。

TESLA Model S
Image: TESLA

Model S – TESLA

中垣:だってテスラのあの顔さ、新しいのは分かるねんけど、いまだにしっくりはきてへんやん

みなと:笑

松田:ほんまそうやんな。

今日の結論
とは言え製品なりサービスを世に出してるやつの方が偉い

2021年4月29日
パレスホテル東京

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ステンレスに塗装をほどこした美しい質感と、ほんのりと光る灯台のような電源ランプが、一日に何度もくり返す湯を沸かす時間を楽しくする電気ケトル。
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