なつき:最近ずっと、
松田:はいはい。前もなんか言ってたね、別れた方が誠実なんじゃないかみたいな。
なつき:そうそう笑
松田:なるほどね。
これずーっと前から思ってたんですけど、お互いの合意のもと無条件で付き合ってるんだから、一方が別れることにしたらその関係は必然的に解消されるもんじゃないんですかね? 違うんですかね?
なつき:そもそも向こうは、別に今すぐじゃなくても、おれといつか結婚はしたいって気持ちがあるみたいで…
松田:はいはい。
なつき:それもまあ絶対というよりは、結婚できればいいと思ってるみたいな、それくらいの気持ちではあると思うんだけど。でも、おれはそれを考えたことが全くなかったのね。
松田:うんうん。
松田:そう、そうそう。めっちゃ思うわ。あとは結婚とかもそんな感じじゃない? 「そんなん言われましても…」というか。
中垣:あー、そうやね。
みなと:それめちゃめちゃ分かるわ。その言葉によって指されている内容がよく分からないというか、君と僕との話なんだけど…っていう。
松田:そうそう笑
みなと:結婚したいって人が言うときに何のことを言ってるのか、本当によく分かんないな。
Source: commmon
なつき:つまり、彼女は今の関係の先に結婚を見据えてるのに、
松田:うん、間違いない。
なつき:それでまあ「別れるかぁ…」ってなって。で、昨日そのことを話したんだけど、向こうとしても別に今すぐに結婚したいとかいう話でもないし、いずれはくらいの気持ちで言ったんだけど、そんなシリアスに捉えられるとは思ってなかったみたいになって。
松田:うんうん。
なつき:それはまあそうだよなと思いつつ、でもやっぱ別れた方がいいよなって。それで昨日の話の中で言われてグッときたというか、「うわー…」って思ったことがあって。
松田:はいはい。
なつき:なんかまず、
松田:笑 はいはい。
なつき:というのも、向こうはめちゃめちゃ明るい性格で、おれはおれで思い悩むことが多いから、その点で救われているところが大きいのは間違いなくて。
松田:うんうん。
偏屈陰キャに振られたオープンマインデッド陽キャ、気の毒としか言えない
なつき:「確かに幸せにはなれるかもな…てかそういう視点で考えたことなかったわ」みたいな。
松田:なるほどね笑
なつき:あとはなんか
松田:あー、なるほどね。最後は結構サラっと別れた感じやったん?
なつき:まあそうだね。一時間くらい隅田川沿いで話してて、最後に「じゃあまあ別れるしかないね」って向こうが言ってくれて、帰りの駅の方向がそれぞれ逆だったからそこで別れるしかなくて…
松田:おお…
なつき:なんか…おれが別れ話を切り出すまでは普通に付き合ってたわけでさ、それが一時間話しただけで別れることになって、じゃあこの一年ってなんだったんだというか。
松田:はいはい。
なつき:まあ昨日はあんまりいい気分じゃなかったね。
松田:うーん、しかし
なつき:あー、これもその案件なの?
commmon では、その結果に自分も明確に加担していながら、しかしそうせざるを得なかったときの不可避で宿命的な悲しさを経験することを、「悲しみよ こんにちは」と呼んでいます。
松田:いや、これはもろにそうでしょ。「悲しみよ こんにちは」の定義は
なつき:あー…笑 まあ確かにね。
こういう話もあります
中垣:昨日考えててんけどさ、「悲しい」にもいくつかのパターンがあって、例えば「彼女にフラれて悲しい」とか「いけると思ってた昇進が適わなかったから悲しい」、あるいは「ドラマの主人公が死んで悲しい」とかがあると思うねんけど、これって実は全部違った悲しさで、もしどれかを本当の悲しさだと言い得るのだとすると、それは一番最初の「悲しい」だけやねん。
みなと:なるほどね。
中垣:あとの2つは程度の差こそあれ本質的には全く一緒で、それがつまりエンタメやねんけど、なのに「昇進が適わなかったから悲しい」ってやつを「彼女にフラれて悲しい」の方に寄せて理解しているやつが多過ぎて…
松田:はいはい。
中垣:ここで言うエンタメってどういうことかって、喜怒哀楽が前もって規定されていて、前もって決まっているインプットに対して前もって決まっている感情がアウトプットされて、それを予定調和的に楽しんでるだけっていうのがそれやねん。これはこれでもちろん悲しいことではあるんだけど、それと前言語的にもろ悲しいことは全くの別物で、そこをはっきりさせずに同じ言葉で呼んでいることが問題だと思っていて。
Source: commmon
松田:そういう気持ちになると分かっていても、とは言え次に同じことがあってもそうせざるを得ないと。これが「悲しみよ こんにちは」やね。
なつき:笑 でもそうなんだよね。なんか向こうはすごく寛容だったというか、
松田:はいはい。
なつき:「それならそれで、別に私はそのまま付き合っていてもいいと思ってるし」って。それなのに、なんでおれはこんなにこだわってんのかなって。
松田:うーん、まあ確かにね、そこの矛盾を抱えたまま付き合い続けるというのもない話ではないと思うけど…でも
なつき:あー、そうそう笑
松田:極端な話、何もできなくなるよね。
なつき:そうなんだよね。まあ原理主義というわけではないんだけど、でもそこはこだわるべきなのかなというか…
松田:うんうん。
なつき:別に浮気してもいいじゃんってなっちゃうし…
まあ浮気してもいいって話もあるよ
c 愛と嫉妬
松田:うん、なるね。あとはその相手との関係においてだけじゃなくて、もっと広範な話として、何も判断できなくなるという話もある。
なつき:そう…まあ向こうもさ、そんな深刻なものとして結婚のことを言い出したわけじゃないと思うのにさ、それがこういうことになってしまってちょっと申し訳ないというか、そこはそこでちょっと…
松田:まあ気の毒ではある。
なつき:そう。
松田:
なつき:うん。
松田:だって例えばさ…おれは今日も10時にここに来たけど、これまでの傾向からして、10時30分くらいまでであれば誰も来ないし、おれがその時間まで遅れても特に問題はないわけ。
なつき:そうだね笑
だいたい毎週日曜日の10時からやってるよ
c 次回予告
松田:
なつき:はいはい。
松田:そこで「まあ10時30分までに着けば…」とか言い出すと、もう時間を決めて人と会うこと自体が原理的にできなくなるというか、
なつき:まあそうだよね。あとは彼女の話とは別に、
松田:あー、まあまあ。
なつき:そこに固執すると何もできなくなるというか…例えば仕事でも「一年目はこうあるべき」みたいなのがおれの中にはあって、先週たまたまおれの席に課長が来たんだけど、そのときにおれはすぐに立ったのね。
松田:はいはい、なるほど。そういうやつね笑
なつき:そしたら
松田:笑
なつき:でも「いや、座れないです」って言って立ってて…なんかそういうのが無数にある。
松田:うーん、はいはい。
なつき:苦しいね。
松田:確かに、原理的になり過ぎると何もできなくなるというのはほんまその通りやね。まあでも難儀やね、どうでもいいこととどうでもよくないことか…
河東:でもそれで思うのが、どうしておれらは掃除を10日に一回にできないのかってことやねん。10日に一回の大掃除日を設けたら毎日の掃除の時間を省けるかもしれんって思って、今まで何回もトライしてるわけ。
中垣:うんうん。
河東:「今日は掃除をしないデイ」って思ってるねんけど、気付いたら自分の手はクイックルワイパーに伸びて、重曹水拭きシートのことを考えてるねん。
松田:分かる笑
河東:これってなんなん。
Source: commmon
なつき:
松田:でもそれさ、どこかで線引きをするべきだって話なわけやけど、
なつき:確かにね、それはそうだわ笑
松田:だからやっぱ、
commmon では、インテレクチュアルな認識とフィジカルな実態が乖離なく一致していることを分かりやすく「フィット感がある」と表現しています。
その究極の例は禅における悟りやプロスポーツ選手のゾーンであり、逆に「人生なんかしっくりきていない」「したいことをできていない気がする」など、あらゆる種類の迷いや悩みはフィット感が損なわれた状態です。
なつき:あー、その場その場で自分がどう感じるのかが大事というか…
松田:でも最近はそれさえないね。自分の人生を素手で掴んでる感じあるよ。
河東:いや分かるわ。おれ今どんだけ偉い人に会っても「…はあ」って感じやねん。「その線では立派にやってはるんですね」って。
倉留:笑
松田:そう、ほんまそう。
河東:「僕は僕で、河東という線では結構やらしてもらってるんですよ」って感じ。「それなりに幸せな瞬間もあるんです」みたいなさ。
Source: commmon
c 「僕は僕で、僕という線では結構やらしてもらってるんですよ」
松田:現実に対してべき論のレイヤーをあてがって判断する以前に、そこを不可分に実践したらいいというか、
なつき:はいはい。
松田:まあどうやって目指したらいいんかは知らんけど。
道流、你欲得如法見解、但莫受人惑。向裏向外、逢著便殺。逢佛殺佛、逢祖殺祖、逢羅漢殺羅漢、 逢父母殺父母、逢親眷殺親眷、始得解脱、不與物拘、透脫自在。
道流、你如法に見解せんと欲得すれば、但だ人惑を受くること莫れ。裏に向い外に向って、逢著すれば便ち殺せ。仏に逢うては仏を殺し、祖に逢うては祖を殺し、羅漢に逢うては羅漢を殺し、父母に逢うては父母を殺し、親眷に逢うては親眷を殺して、始めて解脱を得、物と拘らず、透脱自在なり。
諸君、まとめもな見地を得ようと思うならば、人に惑わされてはならぬ。内においても外においても、逢ったものはすぐ殺せ。仏に逢えば仏を殺し、祖師に逢えば祖師を殺し、羅漢に逢っ たら羅漢を殺し、父母に逢ったら父母を殺し、親類に逢ったら親類を殺し、そうして始めて解脱することができ、なにものに束縛されず、自在に突き抜けた生き方ができるのだ。
Source: 入矢義高訳註(1989)『臨済録』岩波文庫
c 言葉の意味
なつき:まあ確かにね。でもそれで言うと、彼女と別れたことに関してはしっくりはきてるんだけど、課長の前で立っちゃうっていうのは、
松田:うんうん。
2021年5月9日
Aux Bacchanales 紀尾井町
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