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思索 生きづらさ

確信犯の苦悩

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かくしん‐はん【確信犯】

①道徳的・宗教的または政治的確信に基づいて行われる犯罪。思想犯・政治犯・国事犯などに見られる。
②俗に、それが悪いことと知りつつ、あえて行う行為。

Source: 新村出編(2008)『広辞苑 第六版』岩波書店

匿名A:僕さ、今日は嘘をつくことみたいな話がしたくて来たんだよね

匿名B:あー、なんか言ってたね。

匿名A:小学二年生くらいのときなんだけど、その日は近所に住んでた近藤くんと学校が終わったら遊ぶ約束をしてたの。でもなんか、家に帰ってからその約束がめんどくさくなった…しかも怠惰さ由来のそれじゃなくて、もっと誠実で積極的な、「これは絶対に行かない方が幸せだな」みたいな気持ちになったのね

匿名B:仮に行ったとしてもふてくされちゃうし、相手にとっても幸せじゃないやつだよね。

匿名A:そうそう。だからその日は家で一人で遊んでたんだよね。当時は今みたいにLINEもないし、要はまあ、思いっきりとんだわけ。

匿名B:うんうん。

匿名A:そしたら夕方になって、近藤くんのお母さんからうちに電話がかかってきたのね。それで「今日遊ぶって約束してたみたいなんだけど、どうも来なかったみたいに言っていてね…」みたいなことを、おそらくうちの母親に言ったんだと思うの。

匿名B:笑

匿名A:それで約束をしてたのは僕も分かってたんだけど、「そんな約束してない」的なことを言ってのけて

匿名C:笑

匿名B:あー…

匿名A:で、これが当時も今も、そうすべきではなかったというよりはむしろ、社会との接続がうまくいっていないって感じにしか捉えられていないの。僕には僕のフィット感みたいなものがあってそれを無視するわけにはいかないんだけれど、でも世間にはまた別のスタンダードがあって、それは僕のフィット感が織り込まれたものではないから、そこにどうしようもない矛盾が生じることがあるなって

匿名B:うんうん。

匿名A:僕にとっては約束を無視したことはまず妥当だし、その上で面倒を避けるために「そんな約束知らない」と言っちゃうことも…まあ仕方がなかったわけ。

仕方がなくないです

匿名B:まあまあ。

匿名A:けど一方で、近藤くんが怒ったのか悲しんだのかは知らないけど、それはできることなら避けたかったし、母親同士がわざわざ電話して仲裁をしてるのも気の毒だとは思うし…これなんて言えばいいんだろう。でも例えば、朝起きられなくて待ち合わせに遅れちゃうとか、単純にそれと同じ気持ちなのね。

匿名B:うんうん、そうだよね。

匿名A:そりゃ10時に待ち合わせるって約束したし、遅れたら相手に迷惑がかかることも分かっているんだけど、それでも遅刻はするときはしちゃうわけじゃん。二度寝した気持ちに迷いはないし、それを反省して改めるとかもちょっと違うわけ。相手に対して「すまんナァ」という気持ちはあっても、それとは矛盾しない気持ちで、やっぱり次も遅刻はしちゃうと

匿名B:はいはい。

c 人間的な豊さに目を向けるには

匿名A:なんか…この気持ちはどうしたらいいんだろうっていう。

匿名B:でもそうだよね、これはあくまで気持ちの話なんだよね。別にその結果友達を失ったとか、そこはいったんどうでもよくって。

匿名A:そうそう。自分が確信的に行うことと世間のスタンダードがどうしてもうまく接続できないことってあって、その結果どうなるとかはもう仕方のないことだし、それが嫌なら自分を矯正することもできなくはないんだけど、でも結局そこのギャップは存在し続けていて…

匿名B:うんうん。

匿名A:で、ここからはもう完全にあれな話なんだけど、 ピー

書けるわけがないだろ

匿名B:あ、そうなんだ笑

匿名A:でも僕からしたら、これにしたって近藤くんとの約束を破ったのと同じなんだよね。

匿名B:まあよくないことではあるよね。

匿名A:そう、全然よくない。でも実際には善悪の判断のもっと手前でその行動を選択していて、その限りにおいてはモヤってはいないわけ。だからいわゆる罪悪感はあまりないよね。

匿名B:うん。

匿名A:でも、 ピー

こらこらこら…

匿名C:なるほど。

匿名A:そういう状況を見て、やっぱり避けられることなら避けたかったと思うのね。そういうことが世の中で起こっているということは、それが自分のしたことだという話はいったん抜きにして、シンプルに歓迎できないもん。

匿名B:まあそうだね、悲しみだよね。

匿名A:そう、なんかもう『悲しみよ こんにちは』って感じ。

フランソワーズ・サガン(2008)『悲しみよ こんにちは』新潮文庫
Image: Amazon.co.jp

フランソワーズ・サガン(2008)『悲しみよ こんにちは』新潮文庫

commmon では、その結果に自分も明確に加担していながら、しかしそうせざるを得なかったときの不可避で宿命的な悲しさを経験することを、「悲しみよ こんにちは」と呼んでいます。

c 悲しみよ こんにちは

匿名B:『異邦人』は読んだ?

匿名A:いや、読んだことない。

匿名Bじゃあ絶対に今日読んで、本当にそういう話だから。絶対に読んで。

カミュ(1963)『異邦人』新潮文庫
Image: Amazon.co.jp

カミュ(1963)『異邦人』新潮文庫

匿名A:はぁ…しかし困ったな。

匿名B:でもなんかわくわくするね。いっそ早く捕まればいいじゃん

匿名C:笑

匿名A:でもたぶんね、捕まるとかって話にはならないとは思う。しちゃだめなことをするのと捕まるのは、また別の話だから。

バダサイかな?

匿名B:まあそうか。でもいずれにしても、いずれ何かで捕まりはするでしょ。

匿名C:笑

匿名B:しかも 匿名A 、捕まっても案外平気な気がするし。

匿名A:「勾留されてる一週間で考えたんだけどさ」とか言ってね。

匿名C:言いそうだね笑

匿名A:しかしもう…捕まる以外には本当にどうしようもない気がする。なんなら今の話、それ自体がやりたくてやってるみたいなところもあるからね。

匿名B:それをやること自体の楽しさみたいなのも感じてるってことでしょ。だから…なんかあれだよね、本来は「こうあるべきだ」っていう規範みたいなものに沿った行動をしているはずなんだけど、結果としてそうじゃないことだって全然あるし、それは自分の意志の問題ともちょっと違うわけでしょ。「今日はちゃんとするのをやめとこう」って言ってそうしているんじゃないわけ。

匿名A:うんうん。

匿名B:経緯は定かではないんだけど、気付いた瞬間にはそうあるべきでない行動をとっていた自分がいて、そこで社会とあまりに大きく齟齬を生じると面倒なことになるっていう。まあもちろん前提として、多くの人はベースが真面目だから、規範をことさらに意識せずとも変なことはしないんだけどね

匿名A:うんうん。

匿名B:…まあそう言うと普通の話か。

匿名A:うん、まあそうなのかな。とにかく僕にとって、例えば人との約束に5分遅れちゃって「ごめんね」っていうのと、 ピー の話は全く一緒なのね

匿名B:まあそうだよね。

匿名A:そこには程度の差さえほとんどない。あとは…ずっと前に自転車を盗んで捕まったときも似た気持ちだったな。あのときはすぐに捕まって、よく分かんないうちに家裁に行くみたいな展開になったんだけど。

匿名B:あー、なんか言ってたね。

匿名A:で、家裁ではいろいろと聞かれたりするんだけど…僕なんて言ったっけな。

匿名B太陽が眩しかったから、でしょ。

509夜『異邦人』アルベール・カミュ – 松岡正剛の千夜千冊

匿名A:笑 なんかね、30前後くらいのそこそこ優しそうな女性がいてひとしきり話をして、その人に「まあ大丈夫でしょう」の認定をされたらOKって感じのプロセスだったんだけど…

匿名B:うんうん。

匿名A:そこで「今はどう思っていますか」とかって聞かれたのかな。それで「良い悪いはあまりよく分からないけど、ペイしないのは間違いないことが分かったから、今後同じことを絶対にしないとは思います」とかって言って。

匿名C:笑

匿名A:自分で言ってても「これはしっくりきたな」とか思ってたね。

匿名B:それ、聞いてる側はどんな顔してたの?

匿名A:それなりに納得してそうではあったよ。「…まあ妥当でしょう」みたいなね。

匿名B:まあそう言われたらそうなるか笑

匿名A:とにかく、僕にとってはそういう感じなんだよなぁ…

某日
某所

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