中垣:ネットサーフィン中にいいなと思った画像を保存してもさ、それが永遠に溜まっていくだけで、たまに「あの画像もっぺん見たいな」ってことがあっても、
松田:はいはい。
中垣:やっぱりデジタルは参照性が低いというか…もちろんちゃんとタグ付けしてたらいいねんけどするわけないから、結局カメラロールを延々とスクロールせんと見つけられへんねん。
結局は時系列が最強のソート術なのよね
松田:そうやね。
中垣:
松田:はいはい。
中垣:そういうフィジカルの強さってあるなと思って。それで前も言ったけど、今まで保存してきたのを印刷してみようと思って、そのためにプリンターを買って、L2版か何かで全部印刷したのね。
松田:インスタグラムでsaveしてたやつやんな。
中垣:おれこの前さ、インスタの「保存する」で保存してた3~4年分の投稿、あれ全部スクショして、全部印刷したの。
みなと:あー…
松田:いや、やば過ぎでしょ笑
中垣:あれ、インスタ上で参照するとめっちゃ時間かかるねんけど、紙なら一発やねん。パッって開くだけ。
松田:いやまあ分かるけど…
中垣:それで、結局印刷したのが800枚くらいなんかな。それをインスタ上で探すとめっちゃ大変やけど、紙やとほんまにすぐやで。ぺぺってやったらすぐ見つかる。
Source: commmon
中垣:そうそう。それでそのとき気付いてんけど、
松田:なるほどね。
中垣:…っていう中で、そもそもこういうのがサービスとしてあるべきだと思ったの。
松田:笑
中垣:これを思いついたのは昨日やねんけど、ちょうど河東と一緒にフロットサムブックスっていうカルチャー系古本屋に行ってたのね。それで今回は commmon の本の表紙の参考になるものを探してたから、中身はまじでどうでもいいと思いながら見てたの。
松田:はいはい。
動画で紹介する感じ超いいじゃん
中垣:そうすると変に尖った気持ちとかがなくなって、シンプルに興味ベースで、気になったやつをパッと手に取るわけ。
松田:うんうん。
中垣:それでも一方で、ネット上の画像とは違ってフィジカルな分、情報がよりリッチなのね。この辺りの差分を昨日はすごく感じていて…それで買った本があってんけど、それの表紙の感じがすごいよかってん。
松田:はいはい。
中垣:でも逆に、エーロン・ボンダロフの出してるZINEが置いてあって、それもすっごいかっこよかってんけど、でもそれはPNGでいいやつな気がして買わへんかってん。だから家に帰ってから画像を調べて保存した。それでよかってん。
松田:なるほど笑
-スケートボードが創造の原点- 特集 Aaron Bondaroff – EYESCREAM
中垣:そういうのもあって、ウェブで保存した画像に質量を持たせてみるっていうのはおもしろいんじゃないかと思って。
松田:何かしらね、質量を持たせることで立ち上がってくるものがあるんじゃないかと。
中垣:そうやね。だから…最初に言ったように、
松田:うんうん。
中垣:それでさ…まあ当たり前の話やねんけど、画像検索とかって見た目が全部決まってるわけやん。インスタグラムなら大体は正方形なわけ。
松田:うん。
中垣:でも実際の本って、形も違えば厚みも重みも全然違うわけ。紙の材質も違う。そういう意味では
松田:はいはい。
中垣:で、もしそれで満足できるのであれば、全ての写真集がそれでよくなるはずやん。ひとつの決まったサイズの紙に、同じサイズの写真が並んでるだけ。
松田:まあせやね。
中垣:でも世の中に存在する写真集っていうのはいろんな装丁を持っていて…つまり何が言いたいかって、
松田:あー、まあまあ。
うーん、極論
中垣:あるいはじゃあ、かつてデジタル的な何かがなかった時代は、ある意味では全てがリッチやったわけね。もちろんそのことは当時は自覚されていないけど。
松田:はいはい。
中垣:でもそれがデジタルになって、一回全てが破壊されたわけ。
松田:あー、はいはい。
中垣:結構おもしろいと思うねん。そこで「いやこれはまずいでしょ、せめて紙はこれがいい」みたいなことを考えるようになって。
松田:その瞬間「…はっ」ってね笑
中垣:「今までインスタに投稿してたのってまじでなんだったんだ」みたいな。
松田:そういう崇高なミッションが裏コンセプトなのね、なるほどね。
中垣:あるいは
松田:あー…
中垣:たぶん最初は嬉しいねん、「見てこれ、おれが保存してた画像が紙になって送られてきてん」みたいな。でもこれが3年くらい経つと「邪魔やし要らん…ってことはカメラロールのやつも要らんな」ってなると思うねん。
松田:まあ確かにな。カメラロールの画像ってわざわざ消さんでもいいもんな。
中垣:確かに笑
サマリーポケットはね、それはもう捨てろってことだと思うの
松田:なんか他にないんかな、サーバーに保存されてるねんけど、フィジカルに手元に落とした方がいいデータ。
中垣:
松田:うわ…それやばいな。
中垣:おれ車で音楽かけようと思ってアップルミュージック開くのがめっちゃ嫌いやねん。それよりもカセットがあって、適当に選んでそれを入れるって方が絶対にいいねん。
松田:うん、それは間違いないな。でも何が違うんやろう。
中垣:必然性というか…位置を占める感じがあるやん。
松田:カセットテープのスロットを占領するもんね。それを入れ替えようと思ったら、やっぱりちょっと大仰な感じになるもん。不可逆な感じあるよ。
中垣:デジタルのCtrl+Zが可能な感じは良くも悪くもというかさ…もちろん資料を作ってるときはそれができた方がいいんだけど、でも世の中の全てがCtrl+Zできるわけではないやん。
松田:うんうん。
中垣:
松田:うん、それはめっちゃ分かる。
松田:なんだけど、一度選んだ以上それが全てなわけ。
中垣:うんうん。ここで言う結果が全てって、別に努力の過程が大事なんじゃないかとか、そういう話では決してないやん。ただ、意味を生み出していく過程においては結果に落ちていかないものに価値は無いねん。ポジションを取らないとそこには何も生まれないねん。あり得た自分の残骸には意味がないねん。
河東:うんうん。
松田:引き受けなければいけないのは選んだものであって、選び得た可能性ではないのよね。
Source: commmon
c 「今持っているものは全て自分が獲得したものだっていう、そういう捉え返しをしようと思ってるねん」
中垣:そうなると何にもコミットできなくなるよね。
松田:だから…アップルミュージック野良アプリみたいなんを作ったらいいねん。このアプリはね、一度流し出したらアルバム通して最後まで聴かないと次のアルバムを選べないねん。
中垣:笑 でもね、アップルミュージックをカセットに入れ直すの、これは絶対にいいと思うよ。
2021年10月3日
commmonの部屋
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中垣が印刷した、自身のアカウントで保存した画像のスクリーンショット。「部屋」「ファッション」「その他」の三冊に分けて印刷した。写真に写っているのは「その他」の一冊。