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「今持っているものは全て自分が獲得したものだっていう、そういう捉え返しをしようと思ってるねん」

3 years

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一ヶ月も有給をとったのに、ベッドでTikTok見て終わった…

中垣:自分はこれまで…勉強をしなさいとか仕事をしなさいとか、そういうのを社会的要請として嫌々ながらこなして、その代わり余暇の時間に、抑圧されていたやりたいことをして過ごすみたいな感じだったというか。

河東:うんうん。

中垣:要は、 マイナスがある代わりにプラスがあるみたいなのに体が慣れ過ぎていて、ゼロベースで自分にとってポジティブなことをやっていくことを知らなかったと。

河東:バネ外されたら飛べなかったみたいなね。

中垣:そうそう。そういう感じに近くて…でもそれはおかしいだろうってすごく思ったのね。別にそれで言うと、仕事だって自分にとってはポジティブであり得るしっていうのも最近よく言っている話で。

松田:うんうん。

中垣:これまで仕事を…まあ辞めたいと言ったことはないけど、とはいえ云々言ってきたわりに、それがなくなった瞬間おれはこんなにも何もしなくなるんだって。「やりたくないけどやってるんです、あーだりー」って言いながら、そういう外部の駆動装置から切り離された途端にモチベーションがエンストするのを知って、これはあまりにも脆いなって。

河東:うんうん。

中垣:仕事辞めたいな。

河東:辞めたいなぁ。

Source: commmon

言うてるな

c サラリーマン辞めたいなァ

中垣:それが強烈やってん。なんかね…仕事がどうこう言ってる場合じゃないぞって、そういうことをすごく思った。

河東:なるほどね。

中垣:最近はだから…一挙手一投足の話であるとか、深夜にラーメンを食べるのがよくないと思うのなら食べてはいけない話とか、あの手の話が一番刺さっているというか。

松田:うんうん。

中垣:あー…たぶん思い出した。これは一般論として、例えば新入社員って、仕事の勝手も分からへんしで、最初は基本的なレベルの仕事から任されるわけやん。

みなと:うんうん。

中垣:でもそういう簡単な仕事を任せられている本人からしたら、それに違和感を覚えることもあるというか、頑張りたいと思っているのにそのための環境を用意してもらえていない、みたいに感じて文句を言うこともあると思うねん。

松田:あー、はいはい。

みなと:ただそれって、よく考えると結構やばい話だよね。

中垣:そう、そうやねん。頑張れる環境がないと頑張らないって、お前の頑張るってどういうことなんだ?というか、じゃあもう頑張るなよとしか言えないやん。

Source: commmon

c 一挙手一投足しか重要ではない

松田:今きむが言ってたのさ、すごいよく分かるねん。例えば飲み会終わった後にラーメンを食べたとして、で翌日になって、「いやー、飲み会の後のラーメンってダメだと思ってるねんけどなー」って言ってたとしたらさ、そいつの「ダメだと思ってる」ってなんなんってならへん?つまり、それが全く現実世界に反映されないんであればさ、お前の頭の中で行われている価値判断なんてなんの意味があるんだって、すごい思うねん。

Source: commmon

c みんなどんな人生にしたいの?

中垣:まさに今の自分の振る舞いによって自分自身が形作られているし、一挙手一投足がそのまま意味を作り上げているんだっていう。

河東:真理やね、あれはまじで。

中垣:そう、だからそれに対して無責任であることはあり得ないというかさ。

河東:そうやんな。

中垣:なんかね、矛盾するふたつがありながら程度問題でおれはこっちを取るんだみたいなのって…形而上の話としてならあり得るんだけど、でもあり得ないわけ。10:0なわけ。選んだならそれやねん

松田:うんうん。

中垣:前に松田が言っていた例やけど、ユーチューブのクソみたいな広告は良しとはしないんだけど、でもユーチューブを見るんであれば、それはその広告も含めてユーチューブを好きってことやねん

河東:うん。

中垣:戦地に赴いたのなら、それは国への愛を取ったってことやねん。その過程で母親への愛と国への愛との葛藤があったことはどうでもいいねん。国への愛が10やねん。

松田:うんうん。

しかしある感情の価値をどうして決定するのか。 母にたいする彼の感情の価値は何が与えるのか。それは彼が母のために残るという、まさにその事実なのである。「僕はこれこれの金額を犠牲にするほどにある友達を愛している」と私はいいうる。しかしそういいうるのは、事実その行為をした場合のことである。私が母のそばに残ったとき、はじめて私は「母のそばに残るほどに母を愛している」ということができる。私がこの愛情の価値を決定しうるのは、まさに、この愛情を確認し限定する一つの行為をしたときである。ところが私は、自分の行為を正当化することをこの愛情に求めるのであるから、私は循環論のなかにまきこまれることになる。

Source: J-P・サルトル(1996)『実存主義とは何か』人文書院

J-P・サルトル(1996)『実存主義とは何か』人文書院

中垣:あり得たもう一方なんてないねん。

松田:実際の行動とか結果と、それらを導いた判断の過程っていうのは切り離しては語れないわけで、6:4でどちらかを選んだとしても、それは選んだ限りにおいて10:0やねん

中垣:表現がむずいよね。確かにそういう葛藤があったことは想像できるんだけども…

松田:し、別にこれは、理性的な判断の可能性を否定するものでは決してないわけ。

中垣:うんうん。

松田:なんだけど、一度選んだ以上それが全てなわけ。

中垣:うんうん。ここで言う結果が全てって、別に努力の過程が大事なんじゃないかとか、そういう話では決してないやん。ただ、意味を生み出していく過程においては結果に落ちていかないものに価値は無いねん。ポジションを取らないとそこには何も生まれないねん。あり得た自分の残骸には意味がないねん

河東:うんうん。

松田:引き受けなければいけないのは選んだものであって、選び得た可能性ではないのよね。

中垣:そうそう、そうなんよね。そういうことを最近すごい思うし、それができていない自分が不甲斐ないというか。

松田:だからおれは、もし今日この後一時間で寿命がくるのであれば、大量のiPhoneを転がして一日で万円稼ぎましたと、そう胸を張って死んでいかないとあかんし、なにごとにもそういう気持ちで取り組まなければいけないねん。

アッ…

中垣:そうやんね笑 ほんまそういうことよ。

河東:うんうん。

松田:もちろんエクスキューズなんていくらでもあるんだけれど、でもそれら全てをひっくるめて、おれはこれをしたんだと言って胸を張らなあかんねん。それができないことに取り組んではいけないし、何かに取り組むんであればそうしなければいけないねん

中垣:そう、そうなんよ。これがすごく貧しい状況とか危機的な状況ならさ、そういうのってやりやすいんだけど、じゃあなんで我々は日常的にそれができないんだっていうとさ、半分は自分の意思かもしれないけれど、もう半分ではそうとも言いきれない、過程の問題で獲得してきた保険みたいなものがあまりにも多いからやんか

松田:うんうん。

中垣:仕事であるとか学歴であるとかね。で、それに対して甘えてしまえるねん。「別に自分が欲しくて手に入れたわけではないし」「でも手放すのもそれはそれで…」ってね。

河東:うん。

中垣:それでひとつの方法としては、それを全部手放すっていうのがあると思うねん。つまり貧しくなると。これは十分ではあると思うねん。

松田:はいはい。

中垣:なんだけどおれにはその度胸が無いので、やろうとしているのは、今持っているものは全て自分が獲得したものだっていう、そういう捉え返しをしようと思ってるねん。だからいったんは、仕事もきちんとやるし。

松田:うんうん。

松田:いつの間にか手にしていたものを全て獲得し直すと。

中垣:そう。

松田:全部捨てるか全部獲得し直すか、なるほどね。

河東獲得し直してる途中で捨てるものが出てきてもいいん?

中垣:いいと思う。例えばおれが真剣に仕事をして疲れるとするやん。そこで「こんなことでこんなに疲れたくないねんけど」って思ったら、それは仕事を辞めたらええと思う。

河東:なるほどな。

中垣:そうすることでやっと天秤に乗るわけ。一度怠惰さを捨てないと、自分にとって本当に必要なものは分からないないわけよ。怠惰やったりそうじゃなかったりすると、その日その日で判断が変わっちゃって何も問いが立たないねん。

河東:はいはい。

松田:ずっと前に西川が生きてる意味がどうとか言ってたときにカレーとラーメンの話したやん。あれでいくと、カレーを食べながらラーメンのこと考えるくらいなら、カレーを捨ててから改めてどっち食べるか選ぶか、超真剣にカレーを食ってから判断するかってことやんな。

中垣:そうそう。

松田:いや、ちゃうやん。まずもってさ、生きる死ぬって釣り合いの取れた二択じゃないやん。昼飯にカレー出てきてそれ食ってんのにさ、「これはもしかするとラーメンの方が…」って言ってるみたいなとこあるやん。

西川:笑

松田:何て言うか、とりあえず既にカレー食べ始めてるし。それに別に特別不味いとかないしさ、それやのにカレーを途中で残してラーメン注文する?みたいな。しかもさらに悪いことに、実際にはカレーを残したあと次にどんなメニューが出てくるかは分からないねんで。

Source: commmon

c 生きるの大変だし、いっそ自殺しちゃう?

河東:じゃあ今食べているカレーを主体的に引き受けた結果、やっぱラーメンの方がよかったっていうのはありなん?

松田:あり得るよ。

中垣:つまりカレーを引き受けるってことはさ、「カレーが美味い美味い…いややっぱりまずい」ってなって、その瞬間皿ごと捨てるみたいな、そういう感じやんな

松田:そうそう。

河東:なるほどね。

松田:でもそうやんな。最近始めたアルバイトもiPhoneを転がしてるのもそうやねんけど、おれは今まで、お金に致命的に興味を持てないながらもなんとかなってきたわけやん。

河東:うんうん。

松田:でもそれって、自分でそれを引き受ける責任を放棄しながらも、それを過程として必要な豊かさを享受してたって感じなわけ。

中垣:うんうん。

松田:だからおれは、生活費を稼ぐためにいったんはなんでもやると。その結果やっぱちゃんちゃらおかしいわと思ったら、そのときは胸を張ってぼろぼろの服を着て、「まあおれお金無いから」って言うわ

河東:うーん、確かにね。もうその通りでしかないねほんま。怠惰の伸び縮みを排除して初めて問いが立つっていうのはほんまにその通りやね。

2021年9月19日
commmonの部屋

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