中垣:
松田:はいはい。
中垣:例えば最近の記事やねんけどさ、一番最後が「この後久しぶりに日産のショールーム行かない?」「いいですよ。GT-R見に行きましょう。」っていう感じで、
c 禅的公共観
みなと:うんうん。
中垣:それを見て「あ、これはおしゃれやな」と思ってんけど、そのときに
松田:うんうん。
中垣:で、
松田:はいはい。
中垣:つまり何かしらの良いアイデアとか良い物を見たとき、そのもの自体を良いと言うのではなくて、
みなと:うん。
中垣:それの行き着く先はフォロワーとフォロイーの関係でしかないというか、
「すごいね!」「うん、知ってる」
みなと:うんうん。
中垣:あれは何なの? なんでやたらと人に帰着させたがるの? だって…それこそ最近の話で言うと、
デジタルネイチャーとは、生物が生み出した量子化という叡智を計算機的テクノロジーによって再構築することで、現存する自然を更新し、実装することだ。そして同時に、<近代的人間存在>を脱構築した上で、計算機と非計算機に不可分な環境を構成し、計数的な自然を構築することで、<近代>を乗り越え、言語と現象、アナログとデジタル、主観と客観、風景と景観の二項対立を円環的に超越するための思想だ。
Source: 落合陽一(2018)『デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂』PLANETS
落合陽一(2018)『デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂』PLANETS
松田:うんうん。
中垣:例えばサイコロを10個投げて10個とも1の目が出たとき、
みなと:笑
中垣:まあもちろんそこまで単純な話ではないけど、でも基本的にはそれと同じやと思うねん。
松田:なんかあれやんね、そこにはいかんとも免れ得ない利己主義的マインドがあるというか…要は
中垣:まあね、生きていく上での適応と言えばそうなのかもしれないけど…
サラリーマンなもんで
松田:そう。確かに一般的にはさ、誰かの達成を前にして「これってすごい!」って言ってるやつ、これはちょっとハッピー野郎過ぎるとは言えると思うよ。
みなと:うんうん笑
松田:ウサイン・ボルトが世界記録を更新したときに
中垣:ウサイン・ボルトを褒めるのではなくね。確かに笑
松田:でも本来はそっちの方が正しいというか、心情的にはそういう態度を支持したいよな。
中垣:あー、確かにね。
なつき:うん。
松田:人類が月に行ったという達成をめぐっては、
中垣:笑
河東:
松田:そうやね。ここまでが自分でそれより向こうは自分ではなく彼だっていう、そういう
c 二種類の認知の膜
河東:それで言うと、禅マスターの「私」の範囲ってどこやったっけ。
中垣:それは無限遠方ちゃう?
松田:そうそう。
河東:なるほどね。でもさ、ウサイン・ボルトならええねんけど、
中垣:まあ相手が近い人の方が、わざわざ人に帰着させずに「ええやん」って言えそうな気はする。
松田:あるいはだからこそ嫉妬して、わざわざ「お前はすごいな」とか言っちゃいそうやけど。
河東:あー。
中垣:それでさ、結局なんでそんなことをしちゃうのかについてやねんけど、
松田:うんうん。
中垣:その上で、例えば自分と似ている対象を褒めることで間接的に自分を肯定するであるとか、そういう意図が何かしらあると思うねん。
みなと:うんうん。
中垣:あるいは逆もあると思うねん。
Twitterのリツイートはだいたいこれ
河東:うんうん。
松田:そうやんな…なんかこう、
中垣:そうそう。
松田:立派なことXがあってそれがAさんに帰属するとき、Bさんは「Aさんはすごい」って言うことで、
偉大な達成を見たときにすべきことはシンプルで、それが何かしらの形で真似できるものであればそうすること、そもそも自分には全く関係の無い分野でのそれならさっさと忘れて本分に戻ることです。相手に直接伝える場合を除き、いずれの場合も賞賛を口にする必要はありません。
河東:うんうん。
中垣:そういうことやんね。
松田:だから…
中垣:まあそうは言いたいよね。
みなと:これと似た話でさ、一年くらい前に「優秀」の話をしたことがあったよね。
松田:あー、そうそう。あれにも近いね。
松田:そうやな…そもそもなんでそんなこと言うん?って思うな。まあ言う人の気持ちも分からんではないよ。他人を有能と判断することで、判断している限りにおいてはその人にマウントを取れるわけやから。
みなと:あ、そういうことなのか…?
松田:原理的に評価って上からしかできないから、人を評価している限りにおいて、その人に対しては優位を感じていられるというか。だってそうじゃなければそれはライバルになっちゃうやん。
Source: commmon
みなと:「中垣くんって優秀だよね」って言わたときの
中垣:いや、まさにそうやな。あれはあれで気持ち悪いよね。
明示的に成果を誉めればいいじゃん?
みなと:それで一年前に話してなるほどなと思ったのは、優秀であることを指摘することで、
中垣:それに加えて、本当は自分もそのゲームに乗っているはずなのにこっそり抜けようとしてるよね。
みなと:そうそう。
松田:評価するという、原理的に外部からしかできない行動を通して、
なつき:なんかさっきさ、
松田:言うてたね。
中垣:まじ?
なつき:小学校の幼馴染なんだけどね。あとはそれに加えて、年末に行った知り合いの家にあるものが全部アムウェイだったらしくて、「おれもアムウェイの世界観はすげえいいと思った」とも言っていて。
中垣:うお…
なつき:それで今の話を聞いて思ったんだけど、そいつは西野が好きとかアムウェイが好きっていうよりは、
松田:うん。その友達はあれなんやろうな、主体的にいいと思えるものをなかなか見出せなくて、そういう焦燥の中で「いいっぽいもの」にすがってるんやろうな。
中垣:
なつき:うん、なるほどね。
中垣:…でもそれって結構あるかもな。カリスマ的なものをフォローする、
みなと:あー、それはあるな。
松田:主体的に価値を見出す責任を放棄してるよね。
モンクレールで意味分からんポロシャツを買っているやつ、あいつはダウンジャケットという成果そのものではなく、それに裏付けられたモンクレールというカリスマをフォローした結果、カリスマをカリスマたらしめている部分ではないところまで盲目的に称賛してしまっているのです。
中垣:まさにイデオロギー。
松田:まあそっちの方が楽やもんね。
みなと:考えなくていいからね。
2021年1月某日
某所
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