松田:姿勢の話しとこか。
中垣:はい。
松田:姿勢ってさ、「姿勢がいい」「姿勢が悪い」って言うやん。
中垣:うん。
松田:つまり、
し‐じ【指示】(シシとも)
①それとゆびさし示すこと。
Source: 新村出編(2008)『広辞苑 第六版』岩波書店
②指図すること。「―に従う」
中垣:あー、
松田:そうそう。「彼はstraightだ」とか「彼はbendedだ」とかがないわけ。
英語で言いたいのならuprightだぞ
pos‧ture
/ˈpɒstʃə $ ˈpɑːstʃər/ ●○○ noun1 [countable, uncountable] the way you position your body when sitting or standing
Source: LONGMAN
good/bad etc posture
Poor posture can lead to muscular problems.
her upright posture
中垣:そういうことね。
松田:これって結構特殊やと思うねん。もちろん似た例としてはさ、頭がいい/悪いとかもあるねんけど…
中垣:でもそれはそういうものやん。長さの長い/短いと一緒で。
松田:そう、定量的なものやからちょっとちゃうねん。でも姿勢のいい/悪いは、
中垣:あー、なるほどね。理解した。
松田:まあこれやとまだ言葉が足らんから、もうちょっと丁寧に説明したいねんけど…
中垣:例えばさ、性格とかならいい/悪いとも言えるし、穏やか/激しいとも言えるやん。
松田:うんうん。
中垣:もちろん賢さとか長さみたいに定量的な評価しかできないものもあるんだけど、
松田:そうそう。
中垣:でもなんで姿勢はいい/悪いしかないのかが問題で、それは結局、
松田:だからさ、
中垣:あれでしょ、
松田:まあそういうこと。
中垣:それって姿勢の形容がいい/悪いしかないだけで、
松田:
言霊方面にスピっちゃいそうで危なっかしい
中垣:つまり自分は姿勢が悪いと思ってるやつって、
松田:そういうラベリングしかないってことやろ。
中垣:うん。そういう話な気がする。
松田:まあ難しいところでさ、それを指示する言葉がいい/悪いしかないから、言葉にしようと思ったらそう言うしかないっていうのはそうやねんけど、
中垣:え、どういうこと?
松田:同じgetでも意味内容にグラデーションがあるから、それらを分類してgetには複数の意味があるとすることはもちろんできるんだけど、でも、
例えばWikipediaで「多義語」の項目を見ると、全く異なる意味を持つ語として漢字の「経」が挙げられ、
・縦糸(用例:東経、経緯)
・治める(用例:経営、経済、経綸)
・平常(用例:経常)
・通る(用例:経由、経過)
の四つの例が出ているが、この四つだって大概同じニュアンスだし、やっぱり経は経だろって気持ちになる。
中垣:あー、はいはい。分かった。
松田:だから
もし、これはよくないと頭では思っていながらそれが実際に行動に反映されていないとすると、それを放置しておくのは自身の人生に対しての効力感を損なうから、意識して避けた方がいいってことが言いたいんじゃないかな。
中垣:え、
松田:そうやで。だからいい/悪いって言っている以上、意識されなくてもそこには判断的な態度は含まれているんじゃないかって。
中垣:同じ言葉でもいろんな意味を持つって話やと、
松田:あー、はいはい。
中垣:coolって元々「冷めてる」みたいな意味やのに、逆にhotの意味で使われて「かっこいい」みたいな意味も持ってるわけやんか。
松田:あー、なるほどね。
中垣:元々は「イケてる」って意味のときはhotって言っててんけど、それを逆にcoolって言い出したのがその意味の始まりやねんな。
うーん、まさにcool
松田:はいはい。
中垣:そういうのってよくあるやん。
松田:あー…
中垣:それはgetとかhaveみたいな、基本的な動詞やからいろんな意味を含んでいったっていうのとは違うやん。そういう
松田:なるほど…でもさ、hotがcoolで置き換えられるのってまあ分かるねん。だって全く真逆の意味やからさ。
中垣:うん。
松田:それって要はさ、Aとそれと背反なĀは記号的には同じと言っていい…つまりAって言ったときにはĀが暗示されていて逆もまたしかりであるみたいな話で、
中垣:あー、まあまあ。
松田:
松田:…ていうかこのテーマ、ちょっと扱いづらいな。
全員思ってた
中垣:まあまあ。とは言えたぶん、「自分は姿勢が悪いんだよな」って思いながらほんまに直そうと思ってるやつってそんなにいない気もしていて。
松田:うんうん。
中垣:
それで言ったら身体に悪いという認識があるかはともかく、積極的な理由を見出していないのに吸い続けているとしたらそれはやめた方がいいんじゃないかな。
松田:うーん、
中垣:確かに。まあそれも分かるけど…でも全面的に悪いと思っててもやめる気はない、みたいなのもあるんじゃない?
松田:そんなんおかしない?
中垣:どうなんやろ…でも姿勢が悪いのは楽やで。
松田:まあそうやな。それはそう。
中垣:だからまあ普通の話なんじゃない?とは思うけどね。
松田:うーん。
中垣:
松田:そうそう。
中垣:もちろん自分の姿勢がいいと思うかって聞かれたら悪いって答えるけど。だから、
そいつはもっと手前の段階で変なやつな気がする
松田:なんでこの話をこんなに言うかって、
中垣:あー、そうやんね。
松田:おれそのときは自覚なかってんけどな。
中垣:歩き方がヤンキーやったもんね。
松田:そうやんな。で、高校の先生に言われて気付いてん。「松田お前ヤンキーみたいやな」って。あ、ほんまに?とか思って、ほんでガラスの横通るたびに見てみたら、確かに結構ひどかってん。
中垣:ほんまにひどかったよね。
気付いてたんなら教えてほしかった
松田:ほんでおれは意識して直してんな。で、
中垣:あー、なるほどね。分かる分かる。
松田:
中垣:なんていうか、「ちゃんと育ちがよくて姿勢がいいんだね、でも私はそうじゃないんだよな」みたいな…
松田:そうそう。
中垣:「いや、自分で努力したことやし」って。
松田:そうそう。この話の始まりはそこやねん。
中垣:そういうことね。
松田:とりあえずのところ、今回の話はそういうものとして着地させといて。
中垣:まあね、マジレスしちゃうとただの日常会話やねんけどね。
松田:とは言え
中垣:まあそうやんな。
2020年7月3日
Aux Bacchanales 紀尾井町