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したいこと 仕事 思索

よいものが売れる vs 売れるものがよいもの

大衆迎合的で無責任な生産の下に安逸を貪る、そのような資本主義のフリーライダーを糾弾する内容です。

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酒井信用を集めるのが大事、みたいに最近言われるじゃないですか。みんながインフルエンサーにならなくちゃいけないみたいな。

松田:あ、そうなん。

酒井:キングコングの西野とか、そういうことをよく言っていると思うんです。でも実際、そうなりそうっちゃそうな気もするじゃないですか、信用があるやつはマネタイズもできて、影響力があるからおもしろいこともやりやすいみたいに。それで自分も、一時期インフルエンサーなりたいなって思ってたんですけど。

c 「したいこと」をめぐる問題

松田:一般的に言って、まあそういうふうになるとは思うねん。だって今って、あらゆる人がいかなる話題に対しても、賛成か反対かを表明できるようになってるわけやん?

リツイートはゴミっていう内容の記事

The Man Who Built The Retweet: “We Handed A Loaded Weapon To 4-Year-Olds” – BuzzFeed News

酒井:うんうん。

松田:だからこそ、何をするにあたっても全体に訴求しなければいけないというか、広く浅くインプレッションを集めることが勝ち筋になると。そういう意味では酒井の言っていることも正しいだろうと思いつつさ…

酒井:はいはい。

松田:ただそれがちょっと不健全だなと思うのはさ、さっき言ったような状況だと、自分が何かをするにあたって、私自身がそれをどう思うかはもはやどうでもよくなるわけやん

酒井:あー。

松田:つまりヒカキンにとっては、変顔をしている動画をYouTubeにあげることが自分的にクールかどうかなんてどうでもよくて、自分自身がどう思おうとも自分以外の人達が、つまりn-1人がそれを支持してくれればそれでいいわけやん。

c 虚構の人格

酒井:確かにそうですね。

松田:そうやってヒカキンは、自分以外のn-1人が何を求めているかというところに適応していっているわけやん。でもな、もしn人全員がそういう原理で自分の行動を決定していたら…なんやろう、誰が何を望んだ結果そうなっているのかが全く分からん世界になりそうじゃない?

まあ知らんけど。ちゃうかったらすみません

酒井:うーん、確かに。

松田:全員が全員、自分だけを除いたn-1人を、自分の行動を決定する動機にしちゃっているわけやん。インフルエンサー的な適応の先に待っているのがそういう世界なら、それはすごく気持ち悪いなって

酒井:なるほどな…でも物事って全てそうじゃないですか? ビジネスに関しても、結局はn-1人がどう思うかを考えるじゃないですか。自分が何を作りたいかはもちろんあるけれども、それはそれとして仕事ではn-1人が求めているものを作って、そのサービスが結果として好かれるものになる、みたいな構造なのかなって思いますけど。

松田:確かにそういう見方も…つまり今話してんのはさ、実際に起こっていることをどういう理論の下で理解するかっていう話やから、別に酒井の言うような理解をしてもかまへんとは思うねんな。

松田:だから物事は結局そういうもんなんだと、そういう理解もまあなくはない一方で…あくまで気分的には、そうも見えるけれども実は、最初に「これこそは」と思うものを内に秘めた人がいて、それを人々に強いるためにこそn-1人に寄せていったと、そう理解した方が適切なものも案外多くあるんじゃないかとは思ってる。

酒井:うんうん。

松田:要はエルメスは絶対にマーケティングをしませんって話。

竹宮惠子(2000)『エルメスの道』中公文庫
Image: Amazon.co.jp

最高の一冊。ある種の自己啓発本でさえある

竹宮惠子(2000)『エルメスの道』中公文庫

酒井:なるほどな。

松田:まずはマーケティングありきでマーケットが求めているものを作りましょうというのではなく、「どうしてもこれを世に出したい」「なんとかこれが存在する世界に住みたい」って思っている人がいて…ただ残念ながら、そういう内に秘めている思いは外からは見えないからさ、目に見えていることだけを一般化して理解しようとするとさっき酒井が言っていたふうになっちゃうねんけど、でもそれは結果論で、彼らつまりエルメスに言わせたら、それはまず第一義的には自分達にとって理想的なもので、それを他の人にも受け入れられるようにして世に出しましたという話でさ。

“If I had asked people what they wanted, they would have said faster horses.”

– Henry Ford

Source: goodreads

Quote by Henry Ford – goodreads

“Some people say, “Give the customers what they want.” But that’s not my approach. Our job is to figure out what they’re going to want before they do. I think Henry Ford once said, “If I’d asked customers what they wanted, they would have told me, ‘A faster horse!'” People don’t know what they want until you show it to them. That’s why I never rely on market research. Our task is to read things that are not yet on the page.”

– Steve Jobs

Source: goodreads

Quote by Steve Jobs – goodreads

これ本文には全然関係ないんですけど、エルメスでベルトを買ったときに追加の穴を開けてもらおうと思ったら、「今日はフランス人の職人しかいないんですが、彼らは大雑把なので今開いている穴と同じ形の仕上がりになるかがお約束できないんですよね…」って言われたんですよね。自分的にも相手的にも特にしっくりきていない仕事をするそいつは全然良くないと思います。

酒井:うーん、なるほど。

松田:別にまあね、どちらが正しいという話ではないと思うけれどね

酒井:なんかYouTubeでも、いいもの作りたい系の人っているはいるんですよ。すっげえかっこいい動画を作りたい、みたいな。でもだいたい伸びないんですよ

松田:へー。

酒井:結果的にはなんか、有名になりたい系の人達が頑張ってターゲティングしていった動画の方が伸びるんですよね。だからいいもの作りたい系のクリエイターを応援するサービスも存在するんですけど、伸びないんで金にならないんですよ。逆に有名になりたい系の人達をサポートするサービスの方が金になったりして。それって悲しい世界ですよね。

c (続)「お金がないからできない」のなら辞めちまえよ

松田:まあどうやろな。とは言え伸ばすのはそいつの責任やとも思うけど。

正垣泰彦(2016)『サイゼリヤ おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ』日経ビジネス人文庫
Image: Amazon.co.jp

これはこれで真実なのである

正垣泰彦(2016)『サイゼリヤ おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ』日経ビジネス人文庫

2019年11月22日
DEAN & DELUCA CAFE 六本木

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サイゼリヤ
HeaderImage: Uber Eats

創業者の正垣泰彦が東京理科大学在学中の1967年にオープンした洋食店から始まった「サイゼリヤ」。創業当初の洋食店はやくざ同士のけんかがもととなった火事で全焼したが、その後洋食店からイタリア料理専門店に転換して店を再開した。
店が客足が伸びないことに悩んだ際にメニュー価格を7割引きにしたところ連日大行列ができるようになったため、徐々に店舗数を増やしていき、2013年11月には国内1000店舗出店を達成している。

サイゼリヤ 六本木 – Uber Eats