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お金のこと 思索 未来

お金と利己心

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中垣:なんか昨日の記事でさ、いいと思うのなら対価を払え、ってやつがあったやん。

c いいと思うのなら対価を払え / いいと思うのならタダにするな

松田:うんうん。

中垣:あれは、確かにあの文脈ではまさにその通りなんだけど、みなとと二人でそれについてClubhouseで話してたとき、「読んでいいと思ったのなら金を払えって話だよね」ってみなとが言ってて、それはそうじゃないとおれは思ったのね

松田:うんうん。

中垣我々は、そもそもそういう理由でやってはいないわけ。で、そのときおれが言ったのが、例えば村全体で畑が虫に食われて困ってるってときに、ちょっと賢いやつが「これ撒いたら虫いなくなるんじゃね」って言って試して、実際に効果がありましたみたいな話で、それはそれだけで達成なわけ。それに報酬とかは要らんねん

ミヒャエル・エンデ(2005)『モモ』岩波少年文庫

河合敏雄(2020)『Momo ミヒャエル・エンデ』(NHK 100分 de 名著)NHK出版

松田:うんうん。

中垣:だから、commmon もそういうものとして取り組むのが理想であって、対価を払ってもらうことを前提にするのって途上の何かな気がするよね

c 世界からお金をなくすには

松田:それはそうやね。ただ…まあ非常に難しいところで、たぶんその最も理想的な村では、みんながそれをしてるねんな

西川:あー、うんうん。

中垣:そういうことか。お互いがそれぞれの得意分野でそれをやるってことね。

松田:そう。きっとその村では生産の交換がお金を媒介せずに行われていて、これは結構なことだと。ただ、結局お金を媒介するしかないっていう現状では、もちろん理想に基づいて生産を一方的に提供するところから始めるんだけど…でもある種の誠実さは信じたいぞという、そういう気持ちはあるよ

中垣:あー、それはそうやね。

松田こちらの誠実さの証明のためにそれをinitiateすることは厭わないが、だがしかし、それを一方的に消費されるだけではその関係に持続可能性は当然なくて、「お前は自分のすべきこと分かってんのかモゴモゴ…」みたいなね笑

中垣:まあそうやんなぁ…

松田:ただ、別に誰が何をしてくれなくて、そのことで commmon がなくなることはないよ。本当にどうしようもなくなったら、そのときはそのときで手段を講じるし。心の中では「お前らよくよく考えろよ」とは思ってるけどね。

誠実は本人の義務ではあるけれど、周囲の人にとっての権利ではありません。

c 優先席はてめえの権利じゃねえぞクソじじい

中垣:でもそれを聞くとそうやんなというか、貨幣によって捨象される、気持ちとか信念ドリブンで何かに取り組んでそれが共有される感覚ってあるよな。

松田:うんうん。

お金もフォロワー数も、人生の代替変数にさえならないってことに早く気付こうな

—— 若者世代の不安もあるのではないでしょうか。先行きが見えないからこそ「老後2000万円とか無理だし、今ワンチャン一発当てとけ」と。

若い人たちに言いたいのは、皆さん一体何が目的なんだ、ということですね。

金融市場からすれば、僕たちは競馬の馬なんですよ。

確かに1番になれば莫大なお金が入ってきます。でも残りの99人は負けて終わりです。

投資している側からすれば、ポートフォリオを組んでいるだけだから、100個に投資して1個当たればいいのです。だから、何かのきっかけで『鬼滅の刃』みたいにポンと大当たりが出るかもしれない。その可能性に「ワンチャン」賭けて、同じようなコンテンツが無数につくられていてもかまわない。

しかし、投資されている側であるクリエイターは100人中99人が死ぬ。自分の人生には、ポートフォリオは組めないのです。

本当は全ての人がお金儲けをしたいわけではないはず。その目的をはっきり自覚すれば、好きなことで生きていく方法はいくらでもある。でもそれを真剣に考えないから、みんな本当は馬なのに、投資家の発想になって「ワンチャン一発!」という考えになってしまうのです。

Source: BUSINESS INSIDER

新著『ゲンロン戦記』が異例のヒット…東浩紀氏に聞く「インターネットの失われた10年間」 – BUSINESS INSIDER

c 人生はカタログギフトとちゃうんやで

中垣:あとは…これはちょっと思ったってだけの話やねんけど、一方でお金によってインセンティブとディスインセンティブがきちんと設計されている方が、変なことが起こるのは防げるよね

松田:あー、はいはい。

中垣:村においては、その機能は村八分が担っていたわけ。村八分って要は、それぞれができることで協力しあって、村という小さな系の中で効用を最大化しましょうねっていう約束があって、それを守れないやつは完全に弾くっていう話なわけやん。

西川:あー。

松田:うんうん。まあやや理想的過ぎる一般化な気はするが、一応そんな気はするな。お金があると「それはあかんやろ…」みたいなことが小さい単位で露見するからええねんけど、みんなが信頼しあってやってるさっきの村みたいなところでは、最後のレッドラインを越えるまではそいつを弾かれへんもんな。

中垣:うんうん。

松田:で、レッドラインを超えて初めて弾くから村八分みたいな荒っぽいやり方になるねんけど、それはバイブスで生産を交換する理念とトレードオフっぽい感じはある。

中垣:そんな感じあるよね。

松田:あとはたぶん、村八分っていう言葉から想像されるような村では、進歩主義的バイブスは共有されていなくて中世的で封建主義的な価値観が蔓延ってるから、なんか陰険で湿っぽい印象やねんけど、もしそこで共有されている価値観が十分に今日的なものでさえあれば、案外それはそれでうまくいく気はするな

静岡県上野村村八分事件 – Wikipedia

中垣:うんうん。旧来的に硬直した個人の精神がお金によって解きほぐされた先に、再び村的なコミュニティーが意義を持つっていう…

あー、スピッた

松田:で、そこでの道徳って村八分的に実践されるような気がするな。

中垣:でもほんまにそうやんな。なんか…囚人のジレンマとかってちょっとしっくりこないやん?

松田:うんうん。囚人のジレンマの状況で自白しちゃうやつ、おれは嫌いやで

囚人のジレンマ – Wikipedia

中垣:そうそう。どうして利己的になる必要があるんやろうね…やっぱり貧しいから?

松田:まあそうじゃない?

中垣:でもそれだけじゃない気もするねんな、だってガンジーとかさ…

マハトマ・ガンディー – Wikipedia

松田:あー、うんうん。だからどれだけ貧しい状況においても、部分としての個人が全体としての社会に矛盾なく自己同一化できていれば、全然問題はないと思う。

c 禅的公共観

河合隼雄(2005)『ナバホへの旅 たましいの風景』朝日文庫
Image: Amazon.co.jp

全ての部分の相互相関のもとに全体を捉え、部分が矛盾なく全体に同一化されるネイティブアメリカンの世界観に、河合隼雄が迫ります。

河合隼雄(2005)『ナバホへの旅 たましいの風景』朝日文庫

中垣:し、いくら豊かになってもそこの成熟がない限り「おれの方がロレックスが欲しい」ってなるっていう。

松田:そう、そうやね。おれがヴィンテージロレックスが嫌いなのは、もちろんヴィンテージだからっていうのはあるけど、それに加えてあまりにそういう価値観に汚染され過ぎているからっていうのもあるよ

c ヴィンテージよりカッティングエッジ

中垣:うん、分かる分かる。

2021年2月28日
Aux Bacchanales 紀尾井町

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ガンジー
HeaderImage: The New York Times

A New Biography Presents Gandhi, Warts and All – The New York Times