河東：これ2011年のシュプリームやねんけど、これは間違いなくあの頃のメンズノンノやろ。

中垣：分かるよ笑

河東：肩線ジャストやで、シュプリームのSでこんなことある？

松田：確かにそうやんな。

河東：これは春夏のショップコートやね。ちっちゃ…って思わへん？

中垣：松田もこういうショップコート持ってたよね。

松田：うわ…着てたわ確かに。てかいつの間に我々はね、肩がでかくなって腕が短くなってしまったんやろうね。

みなと：笑

松田：最近の服、肩を落としてる代わりに袖丈短いから、肩幅だけ見てもサイズが分からへんねんな。

河東：分かる、そうやねん。でもこれ着て思ったけど、サイズがちっちゃい世界にはもう戻らへんと思う。

中垣：あー…着てて楽やから？

河東：なんか不安やねん。裸で歩いてるじゃないけど、身体の線が出過ぎてるねん。

中垣：でも80年代とかさ、あんだけパワショルやったんがその後タイトになったりしてるやん。

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パワーショルダーはなぜ生まれたのか？ 大きなシルエットが意味するもの。 – Vogue Japan

河東：まあそうなんかな…でもさ、今日のおれはこんな感じやねんけど、まあださいわけよ。40代のおっさんみたいなのね。

中垣：うんうん。

河東：まあおれがジャン・トゥイトゥならかっこいいかもしれへんと。うん、それならかっこいい得るなと思った。

中垣：まあそれはね。

松田：それは…たぶんめっちゃ普通の話やんな笑

A.P.C. (アー・ペー・セー) デザイナー Jean Touitou (ジャン・トゥイトゥ) インタビュー – the fashion post

河東：でもやっぱ、ここまで「これがあの人なら…」と思う服装ってまあないわけ。なんか…不安がすごいねん。このコートはどうやっても上手くいかんくて。

中垣：どうすればいいんやろうね。

河東：だからガッキーには言ってたやん、メンノンの昔のを漁っても、ときめきはするけどかっこいいとは思えへんと。

中垣：でもさ、あのインスタのアカウントに載ってるやつは普通にかっこよくない？

河東：そう？ あれも全部こういうノリじゃない？

中垣：まあそうか。

河東：なんなんやろうな…松田はこれどう思う？ さっきみなとにも言っててんけど、あまりにIシルエット過ぎて「はい、人間河東くんが歩いています」みたいになるねんな。あまりに弱そうやねん。

松田：まあ分かるよ。たぶん今のファッションシーンって、RYO TAKASHIMAをバッサー着るみたいなそういう感じやん。自分はそこまではしないにしても、でかいストール羽織るみたいなことはここ数年でやっちゃってるわけで、そういう雰囲気に慣れてたらちょっと…不安にはなるよな。

インフルエンサー系のブランド、SNSを通して不特定多数にリーチしなければいけない業を負っているせいで、誰が着ても同じ見た目になる説明可能性の高い服を作るインセンティブが強過ぎる感じが、sacaiや岡崎体育を好きになれないのと同じ理由で…はい。

c てめえでてめえの脚食ってんじゃねえよ

河東：なんかほんまにその感じがあってさ、もう今の子とか戻られへんと思うんよね。

松田：だからそういう雰囲気の中で服にエントリーしたやつらが30歳くらいになって、人生諦めて無印良品を着るようになる、その世代交代のタイミングを待たなあかんのちゃう？

河東：なるほどね。

松田：彼らがそのシュプリームを着るのは、それはもう無理やと思う。

鷲田清一（2005）『ちぐはぐな身体』ちくま文庫

中垣：当時のルックとか見つけられたらいいねんけどね。

河東：もちろん見つけたよ。

中垣：どう着てたん？

河東：ジェイソン・ディルがTシャツにディッキーズ履いてこれ着てた。めっちゃかっこいいよ。ただジェイソン・ディルやからルックって感じではないねんな、それはもうジェイソン・ディルやねん。

Supreme Spring/Summer 2011 Lookbook – PODGEOPEDIA: BLACK AND WHITE, SIMPLE

中垣：あー、これはジェイソン・ディルやから着られてるやつやね。

河東：でしょ、これは別におしゃれではないでしょ。

中垣：確かになぁ。

松田：ちょっと河東のも写真撮らせてや。

河東：ええよええよ、どんどん撮って。タグとかの感じもめっちゃ古やからね。

いに‐し‐え【古】イニシヘ

(「往いにし方へ」の意で、時間的に遥かに隔ったあたりをいう語)
①遠く過ぎ去った時代。古代。万葉集16「―の賢さかしき人も」
②過ぎ去ったころ。過ぎし日。源氏物語末摘花「―のこと語り出でて」

Source: 新村出編（2008）『広辞苑 第六版』岩波書店

松田：笑

中垣：てかタグこんな感じやったんや。

河東：カルーゾみたいな綺麗な形のスラックス履くっていうのは、唯一いけ得る感じではあってんけど。

中垣：でもそれは正統派やんね。

松田：新しい服装ではないよな。

河東：そらそうなるというか、スーツ着るのと一緒になってまうねんな。綺麗な形に綺麗な形を合わせるのは、それはいつでもいけるから。

松田：でもコート脱いだときのその格好はええよ。まあコート関係なくなっちゃうけど。

中垣：かっこいいよね。

河東：いやぁ…でもまじでむずいよ。ちょっと松田も一回着てみてや。「この肩線の感じ久々～」ってなるよ。

松田：それだけタイトやとこのパーカー脱がなあかんよな。ちょっと待ってや…どない？

中垣：あー…松田それいけてんな。

松田：あ、ほんま？

中垣：肩幅がそんなないから、Iラインがめっちゃ綺麗に出るんやと思う。

松田：なるほどね。

2chで叩かれるの嫌なので写真は載せません

中垣：坊主なのもいいよね。当時のメンノン感がすごいよ。

c 【シリーズ】今日のファッション #6

河東：まさかやね、いけてるわ。

松田：しかしこれ、当時は思ってへんかったはずやのにめっちゃ窮屈やね。パターンを感じる着心地やで。

河東：せやろ、びっくりするよね。一応おれが資料用として保存するけど、でも全然プレゼントあるからね。

松田：笑

服乞食

中垣：おれも着てみる…どう？

河東：あー…これは真面目っすね。

松田：スタンスミス履いてそう。

中垣：そうなっちゃうよね、そうやんね。

河東：やっぱ人次第というか、肩張るとあかんのかな。今日は家で色々試して、スキニーでギャイーンって感じの縦感出したらええかなと思ってレザパンとかも合わせてみてんけど、それはそれで微妙やねん。そこの問題じゃないって感じがあった。

中垣：裾が8分とか9分やとやっぱあかんのちゃう？ 縦を強調せなあかんというか。

松田：あー、ちょっと分かるかも。

河東：ただ、それでパンツが太かったりしてもあかんと思うねん。だからあの頃のメンノンみたいに、靴全体を覆ってるフレアとかやったらええんかもしれん…いや、でもフレアのデニムは合わんかってんな。

中垣：さっきの松田の感じはよかってんよな。

河東：そうやんね。じゃあやっぱビーサンが正解なんか。

松田：そこじゃないでしょ笑

河東：立たずに座ってたりしたらええねんけどね。

中垣：それはもう…おしゃれとかじゃないやん笑

松田：じゃああれか、おしゃれの一環で車椅子とか？ こんなん言うたら怒る人いそうやけど。

います

河東：いやぁ…でもね、黄色のボーダーのソックスとかストールみたいな小技も効かせてみてんけど、そういうことじゃなかったっぽいねん。実験を通して分かったのは、もっとコート自体に向き合わなあかんかったってことやな。

松田：笑

河東：そして松田のそのパーカーいいね。ヒューマンメイドのパーカーは単純に形がいいねん。

サンキューウエアハウス

松田：いやね、おれはなんか…これを買って着て気に入っちゃってる、そんな自分が好きでも嫌いでもあるよ。

河東：あー…

松田：こんなん着てたらもう、おしゃれとかじゃなくなってくるやん。「ヒューマンメイドとKAWSのコラボね、はい」ってなっちゃうの。これを着たことで、河東みたいなおしゃれガチ勢との距離は一層開いたと思ってるよ。

河東：いやいや。

松田：おれは結局ね、マルジェラとか着ちゃう系やねん。ギリギリsacaiは着ないけど、それも程度問題でしかないねん。分かるでしょ？

中垣：うん、分かる分かる。

sacai、それはおしゃれが苦手な人のための服

c 余白のある服が好き

河東：え、おれはむしろそういうの着たいタイプですけど？

松田：お互いにないものねだりやね。でもやっぱ…ファッションの本義は、おしゃれな服を着ることではなく服をおしゃれに着ることにあると思うんすよ。だからどうしてもね、このパーカーを着るのは不誠実なのよ。

河東：いやいや、おれだってこのコートを羽織った3秒後には「ビッグシルエットしゅきぃ…」って言ってたよ。

中垣：笑

河東：今日でこのコートは葬り去ろうと思う。レスキューと同じで今着るのは無理やったわ。明日からは一枚袖のバーバーリー着て安心しとく。

2021年10月24日
commmonの部屋

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