松田:
中垣:まあどうなんやろうな。
松田:でもそれってヴィンテージじゃないとあかんの?
中垣:いや、別にヴィンテージじゃなくても全然いい。あくまで感情移入のきっかけやから、
松田:ならさ、
中垣:まあそれしかないっていうのはひとつにはあるけど…でもヴィンテージにしかできないことってなると、そんなものはないんじゃない?
松田:そうやんな。おれは個人的には、まあ断じ切るのにはやや抵抗があるけど…
中垣:
松田:笑
中垣:もちろんさっき言ったように、物にストーリーを感じられるのってすごく大事やとは思うねん。
加工物のデニムみたいに、iPhoneの画面をいい感じに割ってくれるサービスを探しています
松田:うんうん。
中垣:そういうのってすごく素敵なことだとは思うんだけど、その感情の持ち方として“““ヴィンテージ”””とか言い出しちゃうのって、あまりにも説明可能性が高いと言うか、
アップルに自社の哲学を仮託したふざけた広告が載っていた裏表紙を破り捨てた本
『WIRED×STEVE JOBS』GQ JAPAN 2013年11月号増刊, コンデナスト・ジャパン
松田:いやー、そうやんね。
中垣:
松田:うんうん。
中垣:そっちの方が大事なはずなのに、
松田:まだミーハーの方がいいよな。
中垣:
みんながどんぐり拾ってる中で稲作を始めたミーハーに感謝して今日もご飯をいただきます
中垣:いやぁ、しかしヴィンテージはやっぱりやばいよ。
松田:まあそらな、直感的に思うところを言っていいのなら「ヴィンテージは死ね」やねんけど…
中垣:だからあれや、
松田:あー、確かに。1,000円で入場できるパブリックなスペースにあるのならそれはいいことやね。
中垣:単純に、かつて存在したのに今はない物の価値っていうのはあるからね。
松田:うんうん。歴史を保存するのは大事やもんね、
中垣:であるからこそ、やっぱり個人が所蔵している必要はないねん。
松田:確かに。
2021年1月16日
西麻布 中垣の家
明石:
松田:いや、それは間違いないですね。
明石:ヴィンテージロレックスとかも流行ってるけど…
松田:あの価値観、
Apple Watch ゴールドステンレススチールケースとミラネーゼループ – Apple
明石:そう、僕も好きじゃなくて。それに
松田:うんうん。
明石:今までもなんとなくはそう感じていたんだけど、そのことをはっきりと確信した瞬間があったんですよ。
松田:はいはい。
明石:
松田:あー、はいはい。
僕が近所でちょいちょいすれ違うのは…ノーカンですね
明石:だったんですけど、ちょうど一昨年、その
松田:まじかよ笑
明石:でも会ったその日の帰りに死ぬほどへこんでたんですよ。もちろん会自体は楽しかったんですけど、自分のレベルが低過ぎて…
松田:どういうことですか?
明石:飯食うとき、そりゃあ 某カリスマ の持ち物を上から下まで全部見るわけですよ。で、
松田:あー、確かにそうですね。どんなんだったんですか?
明石:このバッグがすごくて…当時、ちょうどヴァージルがルイヴィトンのディレクターになった頃で、僕なんかは「いよいよかぁ」くらいにしか思ってなかったんですよ。
松田:うんうん。
明石:で、その日の 某カリスマ のバッグは、
Louis Vuitton et l’Art | LOUIS VUITTON
松田:はいはい、なるほどなるほど。
明石:
【まとめ】2018年最も流行ったバッグは、サコッシュで決まり! – LEON
松田:あー…まじか。なるほど。
明石:しかも
松田:それは確かにすごいというか…うん、へこんだって言うのはすごく分かりますね。
ミーハー過ぎて圧倒される
明石:「これもう勝てないじゃん…」って感じですよね。それで聞いたら、やっぱりすごい数を寝かしてるらしいんですよ。
松田:うんうん。
明石:だから、
松田:いや、普通そうですよ笑
当時まだ6歳だった僕は見逃してください
明石:だから今から始めても20年後にやっとそのレベルになれるかもしれない…そう考えるとなんか絶望しちゃって。
松田:いやー、それこそよほど好きじゃないとできないと言うか、
明石:だから松田さんの言う
松田:現行を買うことを通じて数十年後のヴィンテージにコミットするっていうのは大事なことですからね。
明石:確かに、そうですよね。
松田:それと同じで、僕はヴィンテージマンションをありがたがる風潮も好きじゃないんです。秀和でも何でもいいんですけど、
と言いつつ秀和に住んでいますほんとごめんなさい
明石:いやー、分かるわ。すげえ言語化された。
松田:だから、僕はできる限りそちらにコミットしたいと思っていますし、そういう意味でミーハーはいつの時代も価値のあることだと思っています。
明石:はいはい。でもそうなんだよな、
松田:うんうん。
明石:僕がヴィンテージロレックスが好きじゃないのはそこもあって、ロレックスってアフターサポートがしっかりしてて、
松田:あー、そうですよね笑
明石:「針変わってるじゃん」とか「文字盤変わってるじゃん」とか。だから今ヴィンテージロレックスとして出回っているものって、どこかのタイミングで正規のメンテナンスからは外れているわけですよね。
松田:うんうん。
明石:でもそれってロレックス側とは思想が合っていないわけじゃないですか、その辺りにも違和感を感じるんですよね。
松田:いやそうですよね。
明石:笑
ヴィンテージは、現行に欲しいものがなくなったやつがある程度の公共心のもとで集めるくらいがちょうどいいんだよ
「時」の流れに沿うて歴史が展開して行くと云ふことを聞くこともあるが、こんな無意味なことはないと思ふ。歴史と云ふものがあつて、時を流れるとは考へられぬ。時は前述の如く、白紙を瀑布のやうに拡げて居て、そこを歴史が或る高処から落ちて来る。而してそれを吾等が見て居ると云ふものではないのである。白紙を掛けたやうな「時」と云ふものは本よりないのである。さう考へるのは抽象の結果である。随つて歴史が其上に何か跡づけて行くと云ふのは、本当の歴史の影を追つかけて飛びまはると同じである。手に入れたと思ふのは抜殻に外ならぬ。そんな抜けがらを捉へて後生大事と心得て居るものに限つて、生きたものを死んだものに仕替へてしまふ。即ち死骸のミイラを仏壇なり神殿なりに祭り込んで、その前に三拝九拝して、その中から後光の流れ出るのを待つて居る。鰯の頭の信心よりまだ馬鹿げて居るのみならず、こんな手合ひに限つて、自分の抽象した干枯びたミイラの押売りをやらうとする。自分だけの信心ならそれもさうで、別に他から何とも云はれず、またそれで趣きのあるものである。が、干物の押売をやる連中になると、その禍の及ぶところ誠に図り知るべからざるものがある。
歴史の干物、「時」の影ぼふしを随喜渇仰して居る人々は、「過去」に膠着して一歩も前進し能はぬのである。干物はどうしても蘇息せぬ、影ぼふしはどうしても自分で動き出し能はぬ。それ故、彼等には現在も未来もない、また主観を飛び越えるほどの元気もない。彼等はいつも過去の影を背負つて居るので、而してその影の重きに堪へ得ないので、過去をぬけ出て、現在にはひることが出来ぬ。ましてそれから未来への飛躍を試みんとする意気に至りては、露ほどもない。本当の歴史は飛躍の連続である、非連続の連続である。独尊者はいつも現在の刹那において過去から未来へ躍り出る。彼は現在の一刹那において黒暗暗の真只中を切り抜ける。此一飛躍の中で所謂る「過去の歴史」なるものが、溌剌たる生気を取り返すのである。独尊者の巨歩は実に此の如く堂堂たるものである。何ものの閑人ぞ、敢て彼を干乾しにはせんとする。又何ものの「現実」主義者ぞ、彼を「過去」の棺桶の中に封じ去らんとする。
Source: 鈴木大拙『時の流れ』
2021年1月17日
Aux Bacchanales 紀尾井町
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2011年、スティーブン・スプラウスとルイヴィトンのコラボレーションで発表された「モノグラム・グラフィティ」。マーク・ジェイコブスのオファーにより実現したコラボレーションは、彼が女優シャルロット・ゲンズブールの家で見た落書きされたモノグラムのトランクにインスパイアされている。
2009年にはスティーブン・スプラウスの回顧展に合わせ、彼へのオマージュとして「モノグラム・グラフィティ」に加え「モノグラム・ローズ」が発表された。
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