中垣:
松田:はいはい。
中垣:例えばおれは音楽に詳しくて、いろんな音楽の楽しみを知っている。これは豊かなことだと。
松田:うんうん。
中垣:一方で、例えば当時やったら、
J-Pop暗黒時代
中垣:でもそれは音楽体験としては貧相なもので、おれからしたらあり得ないと。
松田:うんうん。
中垣:ただ彼らにそれを問いただしても、
松田:はいはい。
中垣:しかもなんならおれも、ジャズマニアに「ジャズの方が豊かだよ」って言われても、別に今ジャズ聞きたいとは思ってへんし…とか思うわけよ。
松田:そうねそうね。
中垣:そうなったとき、つまり
中垣:でもやっぱり、もちろん
松田:うんうん。
中垣:ただ、おれ個人の生き方としてはそれでいいねんけど、
松田:はいはい。
中垣:で、それを言うために、我々が普段から言っている「人生における~」みたいなことを言い出すのもちょっと違くて…
ですよね
松田:もっと実効性のある、ね。
中垣:そうそう。もっとシンプルな話として何か言えることはないかなって、すごい思ってる。
松田:確かになぁ。
中垣:
カローラの200倍円
中垣:なんだけど、
松田:おれが思うのはさ、例えば子供のとき、今ではその上位互換を知っているけれども、当時はそれがチョー最高って思ってたことってあるわけやん。
中垣:うんうん。あるある。
松田:例えばなんやろう、プッチンプリンとかもそうかもしれん。さっき中垣はクレームブリュレ食べてたけどさ、別に
中垣:あー、そうやね。
松田:要は「おれはおれなりに豊かだ」って言ってるのがなんで糾弾されるかって、
中垣:はいはい。
松田:それがなんであれ、
中垣:うんうん、まあそれはそうやんな。
松田:要は今どこにいるかが問題なんじゃなくて…
中垣:
松田:あ、そうそう笑
人生の線グラフにおいて最も重要なことは縦軸の値ではなく、任意の地点で微分した際の値が常に正であることだと思います。
Source: 上には上おり過ぎ問題 – commmon
松田:でもこれ、あんまメイクセンスしてもらえないねんけどな。
中垣:そうなんや。河東は超感動してたよ。
松田:普通の人にこれ言っても「…微分?」ってなっちゃうから。
みんなもしかして高校出てないの?
松田:でもそういう話で、河東の言うところの
中垣:あー、はいはい。
松田:ほんで問題は、
中垣:常に「?」がつきまとってるというか…
松田:
中垣:分かる分かる。大学のテニサーで金髪にする、みたいな。
松田:あー、そうそう。ほんまにそれが大事なんかって言われたら内心揺らぐねんけど、さもそんなことはないかのようなふりをしている、そこに問題があるんじゃないかな。
中垣:はいはい。
松田:だから「もっといいものがあるよ」って言うんじゃなくて、
中垣:そうやんな。でもどうしよう? 同期そんなやつばっかやけど、そんなん聞く気起こらへんで。「それの何がいいの?」なんて聞いても何にもならへん。
同期は仮想敵じゃないぞ
松田:笑 だからあれやって、目をキラキラさせながら、誠実な好奇心を持って聞くねんって。
中垣:
松田:そらもう、「なぜ」を5回重ねるしかない。
中垣:あー。
松田:あなたという個人に誠実な興味を持っていますベースで「なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?」って聞いていけば、
中垣:…まあそうやな。ただそこまでの興味が無いからね。
松田:まあまあ。
中垣:言う気が起こらへんよね。
松田:そういう期待をしないもんな。
中垣:
なぜを10万回重ねた結果「なんでお前の母親はそんな父親と結婚してん」とか言っちゃう
松田:笑
中垣:実際にいろいろ聞いてみたらどうなんのやろ。結局
松田:
中垣:でもそう言われたら
それはもう自分の人生にも周囲の世界にも興味が無いってことで、やっぱ一回死んだ方が…
松田:うーん、それを言わせたら負けやんな。だからやっぱり、ほんまもんのキッズの好奇心で聞かなあかんで。
中垣:あー、そうやなそうやな。ガード作られちゃうと終わりやもんね。
松田:そうそう。まあでも難しいよな、こっちが嘘つかんとあかんわけやし。
中垣:そうやで、やっぱ嫌やで。
松田:笑
中垣:なんか同期で…別に仲は良いから、彼のことがクソ嫌いとかではないねんけど、東大で、大学生のときにベンチャーで働いてたやつで、別におしゃれでもなんでもないし、服好きとかでもないやつがおんねんけど…
松田:はいはい。
中垣:
松田:あー、はいはい。分かるよ。
中垣:別に家になんもこだわりないくせに、
なんじゃこのセックスライティングは
松田:うんうん。
中垣:
完全食信仰は人間の身体性の滅却に他ならないので、そういうやつは人工知能の台頭とともに世界での居場所を無くすはずです。たぶん。
松田:はいはい。
中垣:
松田:あかんおもろい笑
中垣:そういうのをインスタにあげて「導入してみました」とか、なんかオーセンティックじゃない店の、
松田:はいはい。
中垣:コーヒーを煎れる器具も、
PHRASE OF THE WEEK:
「別にアプリとは連動しないけどそういうノリのある〜」
松田:笑
中垣:まあそういう連中っているわけじゃないですか。あいつらは大体MUJI Labo着てるんやと思うけど。
ラインナップ全てが日本製、8,000円の釣り編みパーカーまで出していたMUJI Laboも今は昔
松田:そうね。
中垣:
松田:クラブに連れてったらええんちゃう? ホステスのおるクラブ。ああいう
中垣:あー、そういうこと? お前ら去勢されたみたいになってるけど…ってこと?
松田:セックスに話の重心を置きたいわけではないけど、まあそうやね。
中垣:まあそうやんな。あれもそうやんな、
松田:あれにはね、こっちがバチバチのドレスアップで対抗する。フルオーダーですが何か?って。で、
ビーサンでパレスホテルのバーに行って追い出されたことあるくせに
中垣:あー、そうやね。昔ならさ、社会全体がそういう雰囲気で、良くも悪くもある種のスノビズムが漂ってたわけやん。でも今はそれがなくて、
むしろ現代の特徴は、凡俗な魂が、自らを凡俗であると認めながらも、その凡俗であることの権利を大胆に主張し、それを相手かまわず押しつけることにある
Source: オルテガ・イ・ガセット(2020)『大衆の反逆』岩波文庫
松田:だからあれや、そういう中途半端なやつと会うときは、
中垣:やばいな笑
松田:
中垣:でも確かにそうやんね。アプリと連動するコーヒー豆に生きがいを感じられましてもって感じ。
松田:そうそう。
中垣:どうすればいいんかな。結構課題やとは思ってるよ。
松田:そうやんな。
中垣:おかしいおかしい。でもやっぱ難しいんかな?
AMY MOSSオーダー会開催 – ATELIER HISTORIC INSTRUMENTS
松田:あー、確かにな。アテリエでさえそうやもんな。やっぱそうなっちゃうんかな。
中垣:いやー、むずいな。
2020年7月24日
Aux Bacchanales 紀尾井町
スペインの哲学者、オルテガ・イ・ガセット。自らに特別な才能や義務を認めず、その正当性を多数性によって主張する「大衆」による社会の支配を批判する主著『大衆の反逆』で有名。
思想の体系化にこだわらず、エッセイやジャーナリズムを通じて自身の思想を展開するスタイルであることに加え、この春に岩波文庫から新訳が出たこともあり、日本語でも非常に読みやすい文章で手に取ることができる。