松田:イランすごかったよ。
中垣:なんか言うてたね。
松田:イランに対するアメリカの経済制裁のおかげで、『地球の歩き方』の情報から想定していたよりも
サンキュートランプ
植竹:笑
松田:だからね、
中垣:まじで言ってる?
植竹:まじ?
松田:まじやで。
テヘランのペニンシュラ
ESPINAS PERSIAN GULF HOTEL TEHRAN – Iran Welcomes you
中垣:まじか。
植竹:すごいな。
松田:でもおれね、
テヘランの北部に住む富裕層や欧米的な思想をよしとする学生・文化人が集まるカフェで出会った、同い年の青年の運転する車に乗せてもらい、テヘランの街を案内してもらいながら考えていました。
その彼は、高学歴ながらも失業率の高さゆえ職につけず、特権的な富裕層の生活に憧れる一方そこに乗り越えがたい断絶を感じており、そこには自分の努力の及ばないところで人生の枠組みが決まってしまっている人の無力感が漂っていたのです。
植竹:確かに確かに。
中垣:それアメリカが決めてんねんや。
松田:まあ言うたらそうやで。
植竹:そんな簡単に決まるんだね。
松田:で、イラン人みんなめっちゃ話しかけてくるから、市井の人々といろいろと喋る機会もあってんけど、
中垣:うんうん。
松田:
中垣:笑
イラン人お茶飲み過ぎ
松田:「お前はいくらもらってるんだ」とか「そのiPhoneはいくらだ」とか。
中垣:iPhoneとか買われへんよな。
松田:いや、
植竹:パチモン? 本物?
松田:パチモンもあるねんけど基本的には本物やな。し、
中垣:ほう。
松田:それくらい高いのに持ってる人がそこそこおるんは不思議やってんけど、思うに、バザールとかで食料品見たらむっちゃ安いし、電車賃とかも一回乗って2円とかやったから、
イランのSuica
中垣:そうか…それは自国民にとっても?
松田:うん。食料品とか特に、他のものと比べても安かった。
植竹:あー。
松田:そこにはお金をそんなに使わなくて、賃金として入ってくるお金は、携帯電話とかの高度な工業製品に集中的に突っ込むって感じなんちゃうかな。
中垣:それってなんでそんなことが可能になるん?
松田:うーん…制裁のせいなんかな? たぶん国内の産業はそこそこ発展していて、
酒井:おれ前にアフリカに旅行行ったとき、iPhoneなんて一度も見ませんでしたよ。みんな中古のAndroidの割れたやつ使ってて。だから先進国以外では
松田:イランね、ちょっと不思議やったよ。
中垣:そうなんや。
植竹:イランか…
中垣:例えば…タイとかってさ、露骨に遅れてる感じするやん。
松田:あーそうそう、タイとかにありがちな、
東南アジアにありがちな、街はクソ汚いのにいきなりピカピカのショッピングセンターが現れるみたいなことがなく、街全体が同じ水準で発展していて、歩道や公園もまんべんなく整備されているという印象でした。
中垣:ないんや。
松田:
植竹:へー、そうなんや。
松田:アカンやつみたいなんがおらんし…あとさ、前にベトナム行ったとき道路横断するのむっちゃ苦労したやん?
中垣:苦労したな。
松田:ああいうのがない。イランも別に、横断歩道の数は少ないし信号にちゃんと従うって感じではないねんけど、
中垣:それさ、ちょっと話したかったことがあってさ、夏にアメリカに行ったとき、アメリカ人は絶対に運転荒いと思っててんけど実際はめっちゃ丁寧で、あと
ハイウェイの国だと思ってたのに
植竹:確かに半端じゃないね。
松田:へー、そうなんや。
中垣:「これおれ渡っていいの?」みたいな。
植竹:
酒井:へー。
松田:なんしかみんな民度高かったよ。文化的な人々って感じ。
中垣:はいはい。
松田:あとそうや、ちょっと感動したんが、お洒落な茶店のテラスみたいなとこで茶しばいてたとき、同い年のイラン人青年に声をかけられてしばらく喋っててんな。で、
植竹:うんうん。
松田:ほんでその物乞いの子は、ただお金をくれって言うんじゃなくて、なんかカードみたいなんを持っててそれを買ってくれって言うねんな。そしたらその
中垣:あー。
松田:「あれ、おれら万葉集とか言われても全然分からんけど…」みたいな。
中垣:しかもそれを買うんや。
松田:そうそう。なんかね、自分より貧しい人に対する優しさみたいなんはあるっぽかったよ。
酒井:イスラム圏って感じですね。
松田:でもそこは結構微妙で、確かに彼らの恵んであげるっていう心情はイスラム由来かもしれんけど、彼ら自身としては、
酒井:あー。
松田:むしろムスリムであるっていうことをアイデンティティにしてるやつはほとんどいなくて、それが自分の信じているルールだからというよりは、おれらが食事の前に「いただきます」って言うみたいに、
中垣:でも
植竹:日本は自分と自分じゃないものの区別がすごく強い気がする。
中垣:世界中どこに行っても、物乞いとかパフォーマーとか、みんなポンポンお金渡してるイメージ。
松田:あー…それで言うとさ、
マブめギャルでした
中垣:え、すご。
松田:だからやっぱり、弱者のために進んで募金するみたいなマインドは、他と比べてもある印象やったけどな。
酒井:それで言うと、
松田:笑
酒井:騙そうとするやつばっかですし。
松田:イランはね、騙されるはおろか、
酒井:へー。
松田:
植竹:へー。
松田:先に発券しちゃって、しかもその時点でおれらは金額も聞いてへんねん。結局
人類の誠実を信じてますんで
マット・リドレー(2013)『繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史』早川書房
酒井:笑
松田:だからなんて言うのかな、
中垣:はいはい。
松田:これが欲しいって言っても、
植竹:ふーん。
松田:加えて、これくらいの物に対してはこれくらいの価格っていう気分的な了解がみんなの中で共有されていて、その
中垣:へー。
2019年11月22日
DEAN & DELUCA CAFE 六本木
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エスピナスホテルから見たテヘラン市街。
左上に写っているのはイランで最も高い建造物であるミラード・タワーで、その高さは435mにもなる。2007年に建てられたテヘラン国際貿易コンベンションセンターの一部で、電波塔として利用されている他、中にはホテルなどが含まれている。