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お金のこと 思索

お金があればしたいこと

自身の主体的な努力によって経験や知識を獲得する。その過程そのものに価値を見出す人にとって、上手なお金の使い方とはどのようなものになるのでしょうか。

4 years

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直前まで下の動画を観ながら、言語的分節によって部分の集合として理解できることと、部分に分節するには複雑過ぎて、部分に不可分な全体としてのみ理解できることの違いについて話していました。

白濱:今の話でいくとさ、僕は音楽評っていうのが苦手で

松田:あー、はいはい。

白濱:音楽評を読むのもそうだし、僕が音楽を語ることも苦手だし。まあほんとここで解説してくれた通りなんだけど、論理と言語で100%理解可能ではない対象に対して食指が動かないんだよね。どこまでいっても勝ち得ないと思っちゃう。

音楽の理解と再生産はAIに任せたらおっkーってことで

松田:うんうん。

白濱:別に語ろうと思えば語れるけど、無理に語ったその内容は自分の評価体系とは違ったものになってしまうだろうし。だから今まで、お金とか時間を音楽に向けようという意思決定はしてきていないんだけど

松田:あー、まあ確かに。

白濱:してる人にもしてる人で、難しさはあるんだろうなって。

だからこその妙みたいなものもあるわけで…

c ハウス・ミュージックのプリミティヴな喜び

松田:僕が食事をそこまで好きじゃないのも、やっぱり今日何を食べたから明日食べるものがどうなる、とかじゃないからなわけですよ。食事は出来のいいゲームではありますが、あくまでゲーム、エンターテイメントなんです

c 僕らが好きなのは一般化可能性の高い体験です

白濱:分かる分かる。

松田結局は一回限りのジャスト「美味しい」になってしまいがちというか。もちろんそれが食事の理解の仕方の全てだとは思いませんけど、僕が追求する価値観においては、食事よりも洗練されているものはいくらでもありますからね。

白濱:分かる分かる。資源を投下しても、それが自分の経験値やスキルとして積み重なっていくわけでは必ずしもないって話だと、旅行・食事・恋愛とかもそうだよね。

松田:そうですそうです。

白濱:あとはね、その辺はお金出しちゃえば経験できるからね。そこが楽しくないよね。

松田:そうなんですよ笑

白濱:楽しくない…まあ僕らは好まないという話だね。そういうスキルが世の中にあること自体は別にいいんだけれど。

ランボルギーニ ウラカン ペルフォルマンテ スパイダー
Image: LAMBORGHINI

Huracán Performante Spyder – LAMBORGHINI

松田:お金を出せばなんとかなるゲームって、そもそもがそういう人によってスポイルされてますしね

ツールドフランスに一人だけカワサキのニンジャで参加してるみたいな感じ

白濱:六本木ってことだよね。

松田:そうですね。それとは逆に…例えば井筒俊彦の本は、いくらお金があってもちょっと読んだだけじゃ分からないんですよ

井筒俊彦(2019)『意味の深みへ』岩波文庫
Image: Amazon.co.jp

井筒俊彦(2019)『意味の深みへ』岩波文庫

白濱:そう、そうなんだよ。でも逆にさ、僕らが無限にお金を持っていたらどういう意思決定をするんだろうね。基本的にはお金を持ってる立場からすれば、お金で全てが解決するゲームに参加した方がいいわけだけど…

オーバカナルで頼むオムレツを「ハム&チーズ」にする

松田:確かになぁ…

白濱:僕だったら…まあ少なくともそういうことはするんだけど、それだけでは自分に耐えられなくなって、すぐに嫌になってくると思う

松田:たぶん、そんなに今と変わらないと思うけどなぁ。

白濱:ただ人生って有限なわけだから、お金で解決できることであれば、同じ経験にかかる時間は短くするべきだよね

松田:うんうん。

白濱:それはまあそうなんだけど、お金で解決できるようなスキルとか経験に価値を感じていないっていう前提がどうしてもあって、自分の努力によって理解したり身体知になっていくようなものに価値を見出しているから、である以上…いやー、どうなんだろう。

松田:笑

白濱:まあ…例えば料理が好きな人なら、そのお金で美味しいものをたくさん食べて、美味しいものについての知見を深めるみたいなのはありなのかもしれないね。

松田:いやでもやっぱり、楽で素早い移動にお金をかけるのと、部屋にサウナを設置して寝付きをよくするくらいしか思いつかないですね。

白濱:まあそうね笑

松田:強いて言えばね、僕はジュエリーの類が好きですから、そこにジャブジャブお金を突っ込んで、その全てを体系化してさっさと飽きるっていうのはいいかもしれないけど

欲しいものリストです

brooch – The British Museum

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ペルレ ダイヤモンド パヴェ リング – Van Cleef & Arpels

Charles Loloma, Hopi Silver Ring with Red Mountain Turquoise Cabochon

白濱:飽きるまでを早くできるよね。まあそれはいいのかもしれない。

松田:でも分かりやすい使い方ってそれくらいだと思いますよ。

白濱:でもそこでさ、結局時間を買うためにお金を使うということさえせず、現状を幸福だと感じて、これから特に何も変わらないんだろうけどそれでもいいのかな、みたいなのも悪くはないと思うのね。

c 進歩主義的価値観と今ここの豊かさの対立

松田:あー、はいはい。

白濱:というのは、最近服が欲しくなくなってきたのもそうなんだけど、一定の豊かさが揃っちゃうとそれ以上に何かが必要だとは思わなくなる気もするんだよね。

松田:はいはい。

白濱:でも一方で、無限の欲望を持っていた方が自分の幸福っていう目的変数の上限は上がるから、主観的な幸福度は多少は下がるかもしれないけど、頑張ろうという気持ちは持ち続けられる、つまりプロセスを楽しむということは続けられるわけで、そっちの方がいいのかなとも思うし…

松田:まあまあ。

禅者なので「そこふたつは背反でもないけどな」という気持ちで聞いています

人生の線グラフにおいて最も重要なことは縦軸の値ではなく、任意の地点で微分した際の値が常に正であることだと思います。

Source: commmon

c 上には上おり過ぎ問題

白濱:じゃあさ、もしお金があったら新たに消費したいもの、これは何かある? 雑に使っていいお金が3億円あったとして。

松田:あー…

借金返す

白濱:僕は家具買うかも。今まで家具には機能性しか考えてなかったけど、言ってみれば桁が一個上がったファッションみたいなものだから、取り組みようはあるかなって。

松田:家具か…まあ確かに、今手元の予算では中途半端なことしかできないから留保しているジャンルのひとつではありますね。

白濱:今後自分の稼ぎが増えたからといって、そこに資源を投下しても得られる体験はたいしたものじゃないのかなと正直思っているから、雑に使っていいお金となるとそういうことになるかな。既にある程度知っていることだと、さらに資源を投下しても相似形の体験しか得られないけど、家具に関してはまだ何も知らないから、最初の入りくらいはやっておきたいなという気持ちがある。

松田:あー…まあ分からんではない一方で、家具ってちょっと、そもそもあまりにも記号的過ぎておもしろくないという話があるんですよね。もちろん僕にも「これはいずれ買わんといかんな」という家具はあるんですけど、それもむしろ純粋に記号を買うのであって、だからまじで3日くらいで飽きると思うんですよね。

白濱:はいはい。

松田:要は手元において初めて引き出せるポテンシャルみたいなものをそこまで期待できないんのなら、わざわざ買わなくてもいいんじゃないかって。まあ分かんないですし、だからこそやってみてもいいのかもしれませんけど。

白濱:でもそれって服も一緒じゃない?

松田:どうでしょう、僕としては程度においてやや違うと思うんですよね。同じく記号的であっても、服の方がフィジカルに近いですから、家具と比べてより主語が大事になるというか…

松田:この相違って、他で例えるならフレンチのコース料理とタイの屋台料理の相違にも通ずるものやと思うねん。前にも話したけどフレンチのコースの何が嫌かって、すごく主客分離的で鑑賞的な雰囲気があるというか、あれが自身の血肉になる実感が全然持たれへんところやん。なんか他人事っぽいやん。

中垣:うんうん。

松田:で、その対極にあるのがタイの屋台料理なのね。汗をかきながらガーっと食べる…すごくこう、ゼロ距離で feel する感じがあるやん。

中垣:あー、分かるわ。

松田:ああいう違いって服にもあると思うねん。その上でやっぱり、シトウレイが見て「おっ…」と思う服装って言っちゃうとアレやけど、変な服装やねんけど本人的にはすごくしっくりきているような、そういう服装を追求したいなと思う次第ですと。

Source: commmon

c 【シリーズ】今日のファッション #4

白濱:まあそうね、それはそうだけど…まあ程度問題かな。今の話は他人に見られるかどうか、みたいなところもあるの?

松田:そう…そうですね。「私」と「その私が存在している世界」との境界をどこかに引かなければならないとしたら、生身の身体と服との間にそれを引くことはないんですけど、その境界の内側に家具も含めることはないと思うんですよ。

白濱:まあオブジェクトだもんね。確かにな…でもアフォーダンスっていう考え方もあるよ

松田:笑

後藤武・佐々木正人・深澤直人(2004)『デザインの生態学 新しいデザインの教科書』東京書籍
Image: Amazon.co.jp

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白濱:ここに、それを目の前にすると確実に座っちゃうような椅子があったら、それを見て座るという動線も含めて自分なんじゃないかとか。

松田:そう言えば3億円あれば何に使うかっていう話に僕はまだ答えていなかったんですけど、たぶん家具とか、あるいは車も違う気がするんですよね。車に至ってはもう納車の前に冷めると思います。

まず免許持ってない

白濱:はいはい。

松田:なので、僕は3億円でコインランドリーを作りたいですね

白濱:えー…

松田:これはコインランドリー経営がしたいとかではなく、洗濯や乾燥のそれぞれに最適化された機械で服を綺麗にするあの空間がすごく好きなので、自分の好きな機種や内装で、自分一人しか使わないのに同じ機械がたくさん並んでいるコインランドリーを作りたいんです。外向きの出入り口はないガラス張りで、自分の家の内側からのみ出入りできるようにして。

白濱:笑 まじ無駄じゃん。

松田:ガラス張りなので、その前を通る人にはそれがコインランドリーであることは分かるんです。そうやってリアリティを担保しながら、あくまで僕一人で使いたいですね。

白濱:いやー。コインランドリーを軸にしたコミュニティーを、営利活動とプラマイゼロくらいでやっていきたいという話かと思いきや…

松田:違いますね、これはすごくエゴい夢です。ミニチュアで何かを作るみたいに、自分の理想を凝固させた空間を作りたいという話です。

2020年12月31日
LE CAFE DOTOUR GINZA

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カルティエ クラッシュ
HeaderImage: Sotheby’s

1967年に初めて発表されたCartierの「Crash」。Swinging Sixtiesと呼ばれる1960年代ロンドンのユースドリブンな熱狂を象徴するデザイン。一般的な円形ではなく歪んだケースに合わせて設計されたムーブメントは、通常とは全く異なる輪列の組み方になっている。
非常に人気のあるデザインで、1991年に400本限定で販売された写真のモデルを含め、現在に至るまでたびたび復刻されている。

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