太郎:最近、
松田:はいはい。
太郎:なんか
松田:はいはい。
太郎:その人は元はカリスマブラザーズっていう3人組ユーチューバーだった内のひとりなんだけど、その3人組は解散して、その人は元々バンドとかやってて音楽が好きな人だったから、
松田:うんうん。
太郎:そういうものを体系的に語っている評論って他にあんまりなくて、それを村上隆がたまたま発見したみたいで。
松田:へー。
太郎:特に80年代に流行った山下達郎とかのシティポップ、あの辺ってまだ海外に全然発見されていないのね。
松田:あー、そうなんや。
太郎:まあ最近になって海外の歌ってみた系の外国人がカバーしてプチバズってたりはするんだけど、それを
松田:ほうほう。
commmonの音楽ポリス、中垣です。ここでおやっ?と思われた方のために何点か補足させてください。
まず国内に関して言えば、山下達郎や大瀧詠一をはじめとするシティポップの再発見は2010年以降大変な盛り上がりを見せました。Yogee New Wavesの流行はその典型と言えますし、クラブシーンにおいてもディスコとの相性の良さから頻繁に流されるようになりました。また、2018年に山下達郎と星野源がコラボしたことも記憶に新しいかと思います。
次に海外の話ですが、こちらもNTS Radioで二度にわたり山下達郎特集が組まれるなど、耳の早い音楽ファンの間では既に知られた存在ではありましたが、マスのリスナーまで認知が広がったとは言えない状況です。
今回取り上げているのはまさにこの課題であり、日本のカルチャーがオリエンタリズム的にマニアに消費されるのではなく、例えば日本におけるOasisのように、広くその価値が認められるためにはどういったアプローチがあり得るか、批評もその一つになり得ないか、そんなことを話しております。
…余談ですが、結局マスに受けるのはNight Tempoのようなキャッチ―なやり方であって、参照元が持っていた本来の旨味は捨象されてしまうのね、といった課題意識を個人的には持っています。
太郎:で、その動画の中でも評論の役割っていうのが話されていて、やっぱりこう、
松田:うんうん。
太郎:これが欧米だと、
松田:はいはい。
なんでこんな解像度高いの…
太郎:だけど他方で日本だと、まさにYOASOBIの話じゃないけど、あんま儲からない仕事だっていうのもあって…
松田:だからああいうことをしちゃうんやんね。その線で誠実にやり切ったら食えるってもんでもないし、
大学の先生ってしんねりむっつりやってるだけで救われるし、Twitterでの発言にもそれなりに慎重になるじゃん?
太郎:そうそう。あとはまあ言葉の面での弱みもあって、日本のコンテンツに海外が食いついたときに、その文脈を説明したり価値を言語に落とし込める人がいないんだけど、
松田:へー。
太郎:まあなかなかおもしろいなと。さらにそこで言っていたのが、80年代の音楽番組って世界から見てもえげつないクオリティだったんじゃないかって。
松田:はいはい。
太郎:それこそ山下達郎とか大瀧詠一とかの有名どころが作詞作曲して、それをそこそこ歌が上手い人が歌っている、それがバンバン出てくる番組って
松田:うんうん。
太郎:まあそういう感じで…あんまこういう言い方は好きじゃないけど、そこは日本人が苦手としている分野だから、シティポップの他にも埋もれて発見されていない分野ってあるんだろうなって。
松田:うんうん、なるほどね。
太郎:役所に勤めているとどうしても、今後日本が生き残るにはそこは避けて通れないんじゃないかという気がしているので、
松田:はいはい。
太郎:だから悲しいのは、結局は前言語的確信が大事なんだけれど、とは言え、
松田:笑
太郎:それこそ commmon でよく批判されているように、「説明されているから価値がある」みたいに思っちゃうってところもあるわけで。
松田:いや、説明が大事っていうのは間違いないと思うで。だから要は、前言語的確信を大事にすることと説明することが大事っていう話をどう接続するかやねんけど…まあ話はシンプルで、
太郎:あ、そう。そうなんだよ笑
はい、今日はもう解散です
松田:ね笑 説明を聞くなり読むなりして理知的に納得することはゴールでもなんでもなくて、あくまでそれは自分が直接的に体験する、あるいはしたことの参照項を知るための間接的な道具としてのみ意味があるんであって…っていう。
太郎:
松田:うんうん、ほんまにそうやね。ほんでその前提の限りにおいて、やっぱり説明は大事やと思うねん。それこそ commmon を始めた様々な動機のひとつとして、大体の人が様々に悩むようなことについて、一人ずつ毎回最初から悩んでんのが意味分からんというか、それが明確な結論には至っていなくても、
太郎:はいはい。
松田:言ってしまえば「人間が30歳までに経験するモヤモヤ大全」みたいな、そういうものが存在しないことへのシンプルな課題意識はちょっとあったし、そういう意味で
太郎:でもそういうことをしようとしたやつっていそうだけどね。それこそ…キリストとか?
松田:まあブッダとかってそうなんちゃう?
太郎:そうだよね。
松田:それで言うと禅も偉くてね、徹頭徹尾
太郎:あー、うんうん。
松田:一方、とは言え一切の言語化を諦めては、こんなにクールな悟りなるものを衆生に知らしめることができないという次第で、
太郎:うんうん。
松田:そのあたり、前言語的確信とその言語的説明の関係を、禅は器用に扱っているなと思うな。
2021年2月13日
Aux Bacchanales 紀尾井町
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