中垣:松田には言ったけどさ、
ネイバーフッドの逆襲
「人を場所から切り離して理解することはできない。人間は場所なのである」という哲学者ガブリエル・マルセルの言葉に倣うならば、ぼくの大部分は鎌倉という場所でできている。近所や徒歩圏にこれだけの友人知人がいるなんて小中学校以来だし、ホームコースである裏山のトレイルを走れば隣町に暮らす母のマンションや父が眠る峠の墓地も眺めることができる。何より、「未来のことを考えるなら、自然の中で考えよう」という信念を、『WIRED』編集部の鎌倉分室を起点に実践するフィールドでもある。
鎌倉や逗子の地元コミュニティが心地いいのは、ネイティヴであれ移住組であれ、この土地が好きな人々が集っている点だ。人類が自然の創造物に本能的に向ける愛情を「バイオフィリア」と呼ぶように、人と場所や環境との情緒的な結びつきを、地理学者のイーフー・トゥアンは「トポフィリア」と名付けている。こうした土地(トポス)への愛着は、ネイバーフッドを語るうえで欠かせないマインドセットのひとつだ。そもそも「ネイバーフッド」という言葉は多義的で、近所や近隣の人々、近隣住区、あるいは親しさといったニュアンスを含んでいる。ここでは、ある種の「場所」に根差した人間同士のつながりと定義してみよう。
都市の近代化は、こうしたネイバーフッドをことごとく解体してきた。それは、都市計画の宿命でもあった。建築家の黒川紀章は著書『都市デザイン』のなかで、いまからおよそ100年前のル・コルビュジエと近代建築国際会議(CIAM)の理念を引きながら、機能的な都市における近隣住区というコンセプトの限界をこう表現している。「都市は開いた構造を求めているのである」
パンデミックによるロックダウンは、移動の不自由という制約によって都市を閉じたことで、ネイバーフッドの再発見をわたしたちに促している。これまで都市という欲望を突き動かしてきた経済資本だけでなく、そこで人間同士が紡ぐ社会関係資本やその土地に固有の自然資本、蓄積してきた文化資本といったパラメーターが突如として前景化した。それは同時に、日本における「ネイバーフッドの貧困」を露わにもした。世界中でロックダウン中に自殺率が下がった一方、日本で女性の自殺率が上がったことは、海外でも驚きをもって報じられた。不況のしわ寄せが女性に向かう「She-cession」と呼ばれる状況は各国にあれど、日本ではそうした経済の貧困の先に人間関係の貧困が現れていると、法政大学の保井美樹は著書『孤立する都市、つながる街』で指摘する。
ノーベル文学賞受賞後初の長編『クララとお日さま』を発表したカズオ・イシグロはそのインタヴューで、「縦の旅行」と「横の旅行」について語っている。世界中を飛び回っても同じ価値観の人々としか会わず、グローバルな同質性を強化する一方の「横の旅行」に対し、同じ通りに住んでいる人々でさえ、まったく違った世界に住んでいて、そうした人たちをもっと知る「縦の旅行」が必要ではないか、というものだ。
いまや「縦の旅行」を促すネイバーフッドの再構築が、世界中で始まっている。市民の手で公共空間を真のコモンズ(共有地)へと変えていくタクティカルアーバニズムやウォーカブルシティの構想はすでにパンデミック前から存在した。成長か脱成長かという不毛な二元論を超えて、人も経済もカルチャーもあらゆる関係資本が循環することで、まるで電流から磁場が生まれるように、多様なネイバーフッドが立ち上がっているのだ。
「わたしたちはテクノロジーの影響を短期的には過大評価し、長期的には過小評価する傾向がある」という有名なアマラの法則は、当然ながら都市という太古からのテクノロジーにも当てはまる。パンデミックが都市にもたらした影響について、ワクチンが行きわたった国々で人々が続々と街に戻って賑わいを見せる様子を見ると、この1年で都心の人口が減り、オフィスの売却や縮小が相次ぎ、飲食店が苦境に立たされたのも、短期的で過大な反応だったと思えるかもしれない。でも都市がその機能を止めたことで、人類はまるでSFプロトタイピングのような決定的な瞬間を経験した。結局のところこれは、インターネット誕生後に人類が初めて経験し、共有し、オンラインでつながったパンデミックだったのだ。その長期的な影響を、決して過小評価してはならない。
スマートシティやデジタル田園都市といった「都市計画」は、これから世界中で実装されていくだろう。物理世界とヴァーチャル世界が鏡合わせになったミラーワールドになっても、ぼくたちはささやかなトポフィリアをそこに抱き続けるはずだ。なぜならそれが人間の本能であり、昔もいまも、リジェネラティヴな都市の唯一の原動力だからだ。ネイバーフッドの逆襲は、すでに始まっている。
Source: WIRED.jp
ネイバーフッドの逆襲:雑誌『WIRED』日本版VOL.41の発売に際して、編集長から読者の皆さんへ – WIRED.jp
みなと:はいはい…とりあえず
松田:せやねん、ほんまクソやんな。
みなと:最後まで読むからちょっと待ってね。
松田:…てかおれここ最近さ、何かについてクソだと言及したら元気出る説あるねんけど、ちょっと最低やんな。
中垣:笑
みなと:あー…うん。これ、彼は結局何を言いたいの?
松田:なんかこう…
みなと:うん…
中垣:そうやんね。どうせなら昔のWIREDも持って来たらよかったな。書き直すとしたら「僕は世間で言われているのと同じかそれに足らないほどに、ネイバーフッドを考えることが大事だと思っています。それを述べているより偉い人の名前とテキストは以下の通りです」でいいよね。
みなと:確かに笑
松田:ほんまちょっとね…コンサル一年目が教わる簡潔に伝えるやり方みたいなのを、誰かに教わってほしい。
中垣:ほんまそれやね。
松田:
中垣:そうそう。
大石哲之(2014)『コンサル一年目が学ぶこと』ディスカヴァー・トゥエンティワン
松田:なんかこれさ、既にここでも話してる『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読んだときも同じ感想を持ったし…あとは『阪急電車』を読んだときも思ってん。
中垣:はいはい。
c アホ向けの文章
松田:特に後者はほんまに最悪で、
当為から存在を刺して喜んでるのもどうかとは思うで
中垣:あとはあれね、
松田:あれもそうやな笑
今どき、いい男が完全にフリーでフラフラしてるなんてありえない。
Source: GINZA
普通にいい人で、小ぎれいで、話もまともに通じるような妙齢の男性は、他にも狙ってる女子が周りにいるのが普通だと思ったほうがいい。で、三角関係ですよ。
もしかしたら、付き合っている彼氏に、他の女の影がちらついているのかもしれないし、逆に、好きになった男に、すでに付き合っている彼女がいるのかも。
三角関係とは、不思議なもので。
自分以外にも狙っている女がいる!と思ったとたんに、あれよあれよと盛り上がる恋の炎。
最初は別に‥って思ってた男でさえ、ライバルが出てきたら急に気になり出したり。
そんなものですよね。人間て。
でも、三角関係こそ、まさに身の振り1つで自爆することもあるし、取り返しのつかない事態になってしまう、センシティブな事案。
振る舞いに、女の格が出てしまうのでご注意!です。
おもろい
恋愛部長「大人の恋の歩き方」vol.8 恋する女は、三角関係を制覇せよ – GINZA
みなと:やっと全部読んだけど…
中垣:そう、それが言いたかった。全然伝わってこないよね。WIREDってしばらく前に編集長が変わってて、前は若林恵やってんけど、今は松島さんって人らしい。
みなと:うんうん。
DIGITAL LOVE & PEACEな未来へ:編集長・松島倫明から読者の皆さんへのメッセージ – WIRED.jp
中垣:それで雑誌の質自体を言うと…まあ
松田:うんうん。
中垣:それをまとめたのが『さよなら未来』って本やねんけどね。
みなと:僕もあれ買ってときどき読んでる。おもしろいよね。
中垣:で、その彼が編集長をしているということで、何かしらビジネス的側面と信念みたいなところの妥協点を探っていたんだろうと思えてたから一応読めてん。
松田:うんうん。
中垣:けど…
松田:文章に血が通ってへんねんな。
中垣:ほんまにそう。それで…まあ具体例を挙げ出すときりはないんだけど、例えば冒頭のページ以外にもこのページとかもさ。
NEW NEIGHBORHOOD 都市の未来とネイバーフッド – WIRED.jp
松田:はいはい。
中垣:そもそも「視野」「視座」「視点」みたいな言葉って結構むずいやん。まあ視点って言葉はよく使うけど…視野は広いか狭いかしかほぼ言わんし、
みなと:うんうん。
中垣:それに「視座」って変なスノッブぽさがあるから、必然性を見出せない限りおれとしては使いたくもないわけ。でもここでは…
グローバル経済に対するオルタナティブは「ネイバーフッド」を起点に始まるかもしれない。そこで暮らす市民が協働し、地域に変革をもたらすためには、どのようなシステム/ツール/視座が求められるだろう。これからの経済の在り方を「ネイバーフッド」の視点から照射する。
Image: WIRED.jp
NEW NEIGHBORHOOD 都市の未来とネイバーフッド – WIRED.jp
中垣:なんかもう視座と視点がごちゃごちゃになってるし、
みなと:あー…笑
中垣:ここら辺のゆるさが許されへんというか、そういう
松田:うん、せやな。
中垣:さらに言うとこの5つのポイントも、特に必然性が無い…まあこれを雑誌に言ってもしょうがないねんけど、でもちょっと許されへんやん。
みなと:まあ週刊誌って感じだね。
中垣:そう、5つって言っても全部気分なわけ。こんなこと書いてる資料はボツやで。
MECE(ミーシー (Mee-cee); 英語: Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive (頭字語))とは、「相互に排他的な項目」による「完全な全体集合」を意味する言葉である。要するに「漏れなく・ダブりなく」という意味である。経営学、経営コンサルティングなどの領域でよく使われる言葉である。アメリカ合衆国の戦略系コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーに所属していたバーバラ・ミントによって開発された概念であり、ロジカルシンキング (論理的思考) の一手法として用いられている。
Source: Wikipedia
松田:うんうん。
中垣:なのになんやこれは、ちょっと信じられへん。プライドはないんか。
みなと:笑
中垣:で、
松田:笑
中垣:これがそうで…確かにメッセージ自体はあるねんけど、それでもほぼ駄文やねん。
わたしが「場所」に興味を持ったのは、バルセロナの道に座し(寝転がっていたかもしれない)、ミニトマトを片手に都市の人流を目に浴びていたときだった。
Source: SOMA SUZUKI(2021)「「場所らしさ」の再現可能性(と不可能性)をめぐって」, 『WIRED』VOL.41, p38, コンデナスト・ジャパン
SOMA SUZUKI(2021)「「場所らしさ」の再現可能性(と不可能性)をめぐって」, 『WIRED』VOL.41, p38, コンデナスト・ジャパン
みなと:確かにこれ、ちょっとあれだね。
中垣:「座し(寝転がっていたかもしれない)」ってね笑 あとはなんかミニトマトをかじってたんやったっけ?
松田:なんか…おもんないよな。こんなん言うたところで何も明らかにならない、ノイズでしかないねん。
これほんまクソまずい
中垣:でもまあザ・チャーハンはね、訴求してる世界観が二郎系のそれやから。
松田:そうか…つまりあれやんな、
中垣:まあ彼の名誉のためにフォローをしてあげると、言いたいことをまとめると5行くらいにしかならへんねんけど、でも一応のメッセージはある。
松田:はいはい。
中垣:つまり都市の豊かさみたいなのをはかる上で、これまで学者さんとかに語られてきた大事な要素っていうのはあるんだけど、そうじゃない機械学習的なアプローチであったりによって、そのファクターすらも人を介さず、あるいは人の解像度を超えて設定することが可能だし、自分はそういうことに関心があって研究をしてきたと。
みなと:なるほどね。
中垣:それで今日よく取り上げられるようなキャッチーな言葉も、それをスローガンにとどめておかず、丁寧に解明していく必要があるみたいなことを言ってるの。
松田:へー。
中垣:それは正しい、だからそれを5行にまとめて言えばいいねん。
それはブーメラン
中垣:で、そんなクソ雑誌がある一方で、最近すごくいいなと思ったのがこれで。
みなと:へー。
若林恵(2021)『はりぼて王国年代記 週刊だえん問答 第2集』黒鳥社
中垣:若林恵が最近出した本で、中にはポリティカルな内容もそれなりにあって、そこは俺も迂闊なこと言えないけど、これが何かって言うと、クォーツっていうアメリカのメディアで…
みなと:あー、ニューズピックスで広告出てくるね。
なぜ今、日本にQuartzが必要なのか – Quartz Japan
中垣:そう。まあクォーツに関しておれもあんまよくは知らんねんけど、その日本版の
松田:はいはい。
中垣:で、
松田:うん。
中垣:やっぱり『さよなら未来』同様、この本もまあおもしろいわけ。すげえキレキレでおもしろいし、あとは何よりスピード感もすごくて、収録されている一番最後の記事が出たのが6月20日で、この本が出たのは7月27日とかなわけ。
みなと:すごいね笑
インデザと印刷工場に四苦八苦してる我々からするともう…
中垣:一ヶ月でもう本になってんねんで。きっと彼は何かしらの使命感でこれをやってるし…
2021年8月8日
Aux Bacchanales 紀尾井町
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コロナ禍におけるロックダウンで、世界中の人々が改めて向き合うことになった「ネイバーフッド」。「場所」に根差した人間同士のつながりは、資本主義のその先を模索する時代における都市と衣食住の在り方を、ヒューマンスケールから再構築するための新たなプラットフォームとなるはずだ。その変化はすでに世界中で始まっている。「ネイバーフッドエコノミー」「ネイバーフッドシティ」「ディスタントネイバーフッド」という3つの視点から、選りすぐりのアドヴァイザーたちとともにその最前線に迫る総力特集。
Source: WIRED.jp