中垣:複数性の話とはまた別にさ、コラージュについての話というか…つまり
松田:はいはい。
中垣:それで最近さ、この前クラブハウスで言ったみたいに、ネット上で気になった画像を全部プリンターで印刷するっていうのをしてるねんけど…
Pinterestやスクショでは満足できなくなった男
松田:うんうん。
中垣:で、おれはそれを
松田:はいはい。
中垣:…やねんけど、服を着てる人が写ってるけど「ファッション」には分類されないものとかもあるの。それはなんでかって、そこに写っている服というよりかは、
松田:うんうん。
中垣:なんかそういうことをすごい思ってて…例えばランウェイの完成されたスタイリングを見て「いいな」と思っても、それは別に、その服をいいと思ったわけでは必ずしもないというか。
松田:はいはい。
中垣:そういうことって結構起こりがちで…さっきの複数性の罠って、そういう話とも通ずるんかなって。
松田:あー…
中垣:つまり、
松田:あー、なるほど。
中垣:でも人によっては、例えば
松田:笑 うん、その話にも接続できる気はするけど…スムーズにつながってはいない。
中垣:まあその罠には気を付けようってことを自分では思ってるねんな。その服をいいと思っているのか、その服と一緒に写っている植物も込みで全体のビジュアルをいいと思ってるのか。
キムタクが着たものをそのまま着てもかっこよくはなれないんですよね
松田:はいはい。
中垣:それはすごくよく思う。
ロバート・B・チャルディーニ(2014)『影響力の武器』誠信書房
かのこ:なんか展覧会とかに行って、赤い壁に掛かっている絵をいいと思っても、その印象は壁の色も込みのものであって、絵だけを見ると言うほどよくはなかったんじゃないかみたいな…そういうことは確かにある気がする。
中垣:そうそう。
松田:うん、そうやな。おれはそのアーティストのジュエリーを買った時点で「うわすげぇ」ってなったんだけど、
みなと:なるほどね笑
松田:それがいくつか集まったとき、もはやそれらに共通する「そのアーティストのジュエリー」っていうタグしか残っていなかったっていう。
みなと:
松田:そう、そうそう。
中垣:確かに。だから
かのこ:笑
松田:いや、ほんまそういうことやねん。
かのこ:笑
中垣:そうなったら一緒に並べて置かへんもんね。ジョンにはジョンの置き場があって…
松田:せやねん、それで並べたのもよくなかってん。
中垣:よくないね。
みなと:でも中垣ってそういうの上手そうだよね。
中垣:まあそういうコストは払うタイプやね。
松田:しかしミスったな…しかも同種の別の物が複数あると、
みなと:笑
中垣:分かるわぁ。
松田:「これは技術的には申し分がないねんけどサイズがやや大き過ぎる」とか「作りは凝ってるねんけどデザインが好みじゃない」とかね。
中垣:あれやろ、
インスタあるある
みなと:分かる笑
中垣:この子はどこがよくて、あの子はどこがよくて…みたいな。
みなと:
かのこ:笑
中垣:でもファッションフォトとかもまさにそういうことやんね。あれは結構騙されるよ。
松田:まじで罠やわ。
中垣:もちろんそこまで含めて再現できるのであれば別にそれでもよくて、空間とかやったらそれができるねんな。光の入り方も含めていいなと思ったら、それも込みで再現すればいいし。
中垣:店員が愛想悪いとかじゃないねんけどね。でもそこのお店もすごくて、アメリカンダイナーというか「アメリカにはよくあるあの感じ」やねんけど、それをほぼまんま再現してるし、その上でちょっと今っぽさもあって、よくそんなことができるなというか…
松田:はいはい。
中垣:ほんまにすごいと思うよ。エンドツーエンドって言うとあれやけど、もしあの感じを言語に落とし込もうとしたらすごく大変やねん。それを言語を介さずに「あの感じ」のまま再現してる、そこがすごいよね。
松田:うんうん、なるほどな。
中垣:壁紙とかも「この壁紙にしたらその感じになるってよくまあ分かったな…」って感じやねん。これはおれには選べないよ…
Source: commmon
もっと前言語的フィールを鍛えないといけない
中垣:ただファッションやとね、どうしても着ることでしか再現できないから。
松田:しかし…
中垣:笑
2021年4月18日
Caffè & Trattoria Michelangelo 広尾
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